4/7(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！②

今回の会談は習近平国家主席の再選への点数稼ぎ
7:02～ひでたけのニュースガツンと言わせて！：コメンテーター宮家邦彦(キヤノングローバル戦略研究所研究主幹･外交評論家)

トランプ米大統領(右)に出迎えられ夕食会に向かう中国の習近平国家主席=20170406米フロリダ州パームビーチ　写真提供：共同通信社

北朝鮮問題の挑発発言はあくまで中国へのけん制

高嶋）　トランプ大統領と習近平国家主席の初の首脳会談が始まり、フロリダのパームビーチにある「マール・ア・ラーゴ」という別荘で、ちょうど話し合っている最中だと思います。安倍総理も行かれましたが、習近平さんはゴルフをやらないと。それはそうですよね、彼はゴルフ禁止令を出した人ですから。そこで素人考えの単純な質問で申し訳ないのですが、トランプ大統領が北朝鮮問題に対して「中国が行動しないなら、アメリカ単独で行動する」と言いました。日本ではそこが一番の焦点になっていますが、これについてはどうですか？

宮家）　武力行使だとか戦争だとか言っていますが、そんなことできるわけがない。今回わざと会談前に言ったのは「アメリカは本気やで」と、オバマ前大統領とは違うと。「あんたちゃんとやれよ」と。そこまではいいですが、おそらくトランプさんが考えているのは、いままでは北朝鮮人ばかり制裁していたけど「あんたたちは北朝鮮と悪いことをやっているんじゃないの？」と。「だったら中国人も制裁の対象にする」と言いかねないことをやっています。要するに情報戦ですから。すぐにドンパチが始まるわけではない。

高嶋）　そんなことを匂わせながら。

宮家）　おそらく会談の中で必ず言っていると思います。あの人たちはすごいよく調べているので、どこの中国人がどこでなにをやっているのか全部把握していると思います。その気になれば中国人を制裁したいけど、それをやったらアメリカと中国の関係がめちゃくちゃになるから「今までは我慢していたけど」という感じだと思いますね。

高嶋）　決してアメリカ単独で北朝鮮の制裁や上陸作戦を考えているわけではないと。

宮家）　最後はやるかもしれませんよ？　一番大事なことは中国と北朝鮮のリーダーたちに「アメリカはもしかしたらやるかもしれない」と思わせること。そうしなければ本気で譲歩はしませんから。

高嶋）　北朝鮮がきな臭くなるまでは貿易でしたよね？　中国に対して赤字が加算されてしまい。

宮家）　貿易問題はもちろんありますよ。ほかにも南シナ海の問題や裁判、人権など腐るほどあります。

無難に終えそうな今回の会談

宮家）　一番心配しているのは、トランプさんがドイツのメルケル首相と会談したときに、メルケルさんはトランプを説教して途中で彼が怒ってしまい、会談が終わった後の記者会見では握手もしなかったということがあったでしょう？　中国の首脳は壊れた蓄音機みたいに一回ボタンを押したら止まらない。下手すると２、30分話し続けてしまいます。トランプさんが２、30分も一人の人の話を聞くと思いますか？

高嶋）　思いませんね。

宮家）　途中で爆発すると思います。習近平さんには悪いことは言わないから、短く1回２分くらいでやめたほうがいいと思います。20分もやったらとんでもないことが起きると思います。初めての会談なので成果が出るとかで出ないとかを期待してもしょうがないと思います。ですから大きなことが起きるとは私は思っていません。

高嶋）　平凡にというか。

宮家）　いい意味でね。なぜかと言うと、トランプさんよりもこの会談が必要なのは習近平さんだから。彼は今年党大会があり、10月には再選されなければならない。それでその年にアメリカの大統領が変わったのに一回も会ってないというのは話にならないでしょう。だからのこのこ出かけていくわけですよ。そこで変なことをされたら逆に大騒ぎになるので、国内のことを考えると絶対失敗しないのです。

高嶋）　なるほど。外交のプロの宮家さんに言わせると、優しい感じで「むにゃむにゃ」と終わるわけですね。