5/11(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
解任前にロシア疑惑の捜査強化を要請していたコミー前長官
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
解任された理由はトランプのロシア疑惑をめぐる捜査の妨害かアメリカのトランプ大統領が、FBI(連邦捜査局)のコミー長官を解任したと、ホワイトハウスが9日に発表しました。クリントン元国務長官が、個人のメールアドレスを公務に使っていた問題で、訴追を見送っていたことを問題視したと見られます。
高嶋)この件の成り行きを、ニッポン放送報道部、森田耕次解説委員です。
森田)FBIのコミー長官はLAでFBI職員たちに訓辞をしている最中に、近くにあるテレビが伝えたニュース速報で、自らの解任を知ったということです。また、FBIに解任の通知が送られたこと自体も、ニュース速報の直後だったとのことです。コミー長官はオバマ前政権で2013年にFBI長官に就任しており、任期は10年なので、トランプ政権でも長官を続けていました。コミー長官は大統領選挙中だった去年の7月、民主党候補だったヒラリー・クリントンさんのメール問題で「訴追を求めない」と発表し、捜査終結を7月に宣言したのですが、その後10月に、新たなメールが見つかったとして、捜査再開を発表し、大統領戦投票日直前の11月はじめに、再び訴追見送りの方針を明らかにしました。これについて最近、ヒラリーさんは、「FBIがメール問題を蒸し返したのが、トランプ大統領に破れた原因だった」と主張しています。一方トランプ大統領も10日、「コミー長官は共和党、民主党、どちらの党からも信頼を失った。事態が収束すれば、彼らは私に感謝することになる」とTwitterに投稿しています。今回の解任の経緯ですが、司法省のローゼンスタイン副長官が、セッションズ長官への書簡で、メール問題での訴追見送りなど、コミー長官の判断を「誤りだ」と批判し、これを受け、セッションズ長官がトランプ大統領に解任を進言した、とのことです。ただ、FBIはトランプ大統領周辺とロシアとの不透明な関係もいま調べている最中で、今回の解任に捜査の公正さが保たれるか懸念する声もあります。ニューヨーク・タイムズによると、コミー長官は最近、このロシア疑惑を巡る捜査で、追加予算と捜査員の増強を司法省に求めたばかりとのことです。一方、野党の民主党はこのロシア疑惑について、独立した、特別検察官の任命を要求しています。
高嶋)かつてのニクソンの二の舞になるだろう、とかいろいろ言われていますが、山本さんも非常に驚いていましたね。
山本)ここ数日いろいろなことがありましたが、唯一驚いているのがこの件です。これは予想していませんでした。
高嶋)100日以上たってから、とにかく、オバマさんのやったことはみんな嫌いですが、いままでずっとやっておいて、突然これを出してくるということは、今、森田解説員の話にあった、例のロシア問題。これが切羽詰まってきたのかな……
山本)それしか、普通は思い当たりませんよね。このタイミングで首を切ったというのは……実際、ホワイトハウスでその後の記者会見でもこの手の質問が集中するわけですが、いずれにしても政治的に動きすぎた長官だったと思います。特に、大統領選の終わり頃ですね。メール問題を突くのか突かないのかで揺さぶって、最後の投票動向に間違いなく影響があったわけですが、それにしてもFBI長官というのは、CIA長官や国防情報局の長官と違い、政治とはある程度距離を置かないといけないポジションだと思うのです。なにせ、誤り、非理があった場合は正すポジションですから。普通はこのタイミングではいじらない。任期が10年なので、途中で変わることはもちろんあるのですが、それからFBI初代長官のフーヴァーさんが滅茶苦茶に政治的な人間だったという歴史も確かにありますけれども。
高嶋)相当矛盾をはらんでいることもあるのですね。
山本)それはもちろんあります。ワシントンという、政治の固まりの町の中ですからね。ですが、このタイミングで長官の首をこういう格好で取ったのは、絶対にあとで揺り戻しがきますね。
この件はウォーターゲート事件とニクソン大統領との1件に似ている高嶋)よく日本的な表現で「人の顔に泥を塗る」というのがありますが、コミー長官にとっては泥どころか、後ろから袈裟斬りですからね。
高嶋)因果応報というと、今度は誰が長官になるかは分かりませんが、このトランプさんのロシア問題というのは、相当つつかれるということになりますね。
山本)これは日本でいうところの指揮権発動に持って行きたいところなのでしょうけれど、これは露骨にやると議会も黙っていないでしょうし……後任長官を誰に据えるのか、いま話に出た副長官のローゼンスタインを挙げるのか、他から持ってくるのか。この辺りも重要だと思います。
高嶋)CNNはウォーターゲート事件を捜査していた特別検査官を1973年に解任した、ニクソン大統領を引き合いに出して、「アメリカの史上に残る権力の乱用だ」と。
山本)おっしゃるとおりだと思いますね。後任を誰に据えるか、そこまで含めて見たいと思いますね。
高嶋)まあ、トランプさんはCNNに何を言われてもへっちゃらでしょうけど。でも本当によく言いますね。「将来、私に感謝することになるだろう」いけしゃあしゃあとね。