4/27(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
アメリカ国境税見送りへ~トランプ政権税制改革案断念
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター山本秀也(産経新聞論説委員)
トランプ政権発足からもうすぐ100日目 成功した公約はTPPの1件だけアメリカのムニューチン財務長官は、国境税の導入見送りを表明しました。アメリカから製品を輸出する企業の法人税を軽くする一方、輸入企業の負担を重くする国境税は、海外からの製品に頼るアメリカの国内企業が猛反対しており、トランプ政権の今回の税制改革案に盛り込むことは断念しました。
高嶋)トランプ政権が誕生してから、明後日で就任100日目。いろいろやりますけれど、さてどうなのでしょうか。まずはニッポン放送報道部の森田耕次解説委員です。
森田)国境税は、アメリカの製造業の復活と、雇用拡大を目的とする、与党共和党の構想で、輸入企業には増税、輸出企業には減税。となります。ですが、輸入製品が値上がりし、国内物価の上昇を懸念する声もあり、ムニューチン財務長官はワシントンでの講演で国境税の導入を見送ると表明しました。26日発表の税制改革案に盛り込むことを断念しています。これで日本やメキシコなどから自動車をはじめとした製品を輸入しアメリカで販売する、日本メーカーへの打撃は、ひとまず回避される形になります。ニューヨークタイムズによると、ホワイトハウスの中では過激な主張で知られる、バノン首席戦略官兼上級顧問が国境税の導入を主張していましたが、経済政策の司令塔を務める、NEC(国家経済会議)のコーン委員長は反対していたとのことです。トランプ大統領の娘婿の、クシュナー大統領上級顧問は、コーン委員長の意見を尊重していたということです。税制改革案はこのほか、“法人税率を今の35%から15%に引き下げる”と明記したほか、所得税の減税も盛り込んでいます。ただし、所得税については“どの所得層がどれだけ減税になるか”、“減税の穴を埋める財源をどうするか”など、詳しいことの公表は5月以降に先送りにしています。税制改革を法案化する議会からも、財源確保などの面で懸念の声が上がっています。一方、トランプ大統領は就任から100日となる明後日29日を前に、連日のように大統領令に署名する予定で、今週中に、エネルギー関連の大統領令も打ち出す予定です。一方で、カリフォルニア州の連邦地裁は、「不法移民に寛容な西域都市への補助金を停止する」としたトランプ政権による大統領令を、一時差し止める仮処分命令を出しました。命令の効力は全米に及ぶということで、トランプ大統領は「馬鹿げた決定だ」とTwitterに投稿しています。
高嶋)一生懸命、大統領令を書いて、選挙期間中に公約した、自分が発言したことを実現しようとするのですが、これがさっぱり動かない。そのような気配。
山本)100日ですけどね。今まで彼が選挙中に言っていて、いざホワイトハウスに入って、満額でできたことは何か? TPPを蹴飛ばした1件だけですね。あとはやろうとしたら茶々が入ったり、出しなおしたり、修正したりひっこめたり。そうなってますから、100日目の成績表としてはあまりよくないと思います。
税制改革掲げるも財源の裏付けできず高嶋)オバマケアの時に、身内の共和党から造反が出てうまくいかなかった。あれが象徴的ですね。
山本)そうですね。新しい法案が言うほど得か? という話になってきています。
高嶋)ということは、法人税とか所得税の減税と言っても、これは選挙の時に言われると「すごいな」と思うかもしれないけれど、何をやっても全部だめになっているのを見ていると、「そんな大風呂敷を広げても、またうまくいかないだろう」と。
山本)なりますね。この税制改革の最大の問題は、財源が無いのです。削りに削るのは良いのですが、新しい財源をどこから? ということです。しかももう一方で、「国防予算は10%以上増やす」と言っていますよね、6兆くらい。そうなると、他官庁の予算をガタガタに削った程度では賄えませんから、どうするのか……?
高嶋)その辺のきめの細かさというか、説得力が無い訳ですね?
山本)無いですね。特に、彼の思想的なブレーンであるバノン。もちろん彼は“大戦略”という立場でものを考えることになっているのですが、実際の足元が付いてこないので、先ほどのNECのコーン委員長のように実務をやっている側からは「待ってくれ」という話が出ますから。これは100日としては厳しいところですよね。普通、政権が変わってから100日は野党側も少しは手控えて様子を見よう、という感じなのですが、これから100日過ぎますと、いかに上下両院、いま共和党が有利とはいえ、やはり議会対策も厳しいことになって来るのではないかと思います。
この先もトランプ流のポーズをとり続けるだけ?高嶋)カナダの木材にも24.12%の課税をすると言って。トルドー首相が怒ってしまった。
山本)それは怒りますよね。カナダの主要輸出3品ですから。
高嶋)それでこれからのことなのですが、100日間でこれだけいろいろあって、ほとんどが大統領の意のままに動かないというのが明らかになってしまった。これから先、トランプ大統領の活路としては、どのように動いていくのでしょうか?
山本)それでも、選挙で彼を支持してくれた支持層、労働者層。これに応えようとして、要望を満額でやろうとしているポーズだけは見せないと、化けの皮がはがれたということになりますから、「そうではなく、一生懸命にやっているんだ」というポーズをとり続けていくと思います。ここで現実と折り合うという要素ももちろんあるでしょうが、やはりトランプ流かと。
高嶋)ホワイトハウスに上院議員を全員呼ぶ、というのは何をしようとしているのですか?
山本)あれは北朝鮮対策の説明でしょう。おそらく北が絡んでいると思います。なかなか異例のことかと。
高嶋)困ったというか、変わったというか。いろいろなことをやるのですね。まだ100日しか経っていませんが、3年も経った気がします。
山本)存在感はあったということですね。