5/15(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
日中韓米に波紋広がる
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
北朝鮮が新型の小距離弾道ミサイルを発射菅官房長官)5時28分頃、北朝鮮西岸より、1発の弾道ミサイルが発射され、30分程度飛行し、日本海に落下したと見られます。
北朝鮮が日本時間の昨日朝、弾道ミサイル1発を発射しました。韓国で文在寅政権が発足してから初めての発射で、北朝鮮側は、こうした中でも核ミサイル開発を継続する姿勢を鮮明にした形です。
高嶋)昨日の早朝から大騒ぎになってしまいました。詳しいところをニッポン放送報道部、畑中秀哉デスクです。
畑中)菅官房長官の記者会見にもあった通り、
ミサイルは昨日の朝午前5時38分頃、北朝鮮北西部の亀城から、東北東方向に発射されたと見られます。ミサイルはおよそ30分飛んで800キロ近く飛行して、日本海に落下したとのことですが、先ほど北朝鮮の朝鮮中央通信の報道が入り、新型の長距離弾道ミサイル、「火星12」の発射実験を昨日行い、成功したと報じました。このミサイルは、高度が2111.5キロに達し、787キロ飛行した、と報じました。また、このミサイル発射には金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会ったということです。「到達高度2000キロを超える」というのは、「ロフテッド軌道」と呼ばれ、国際宇宙ステーションの高度がおよそ400キロですので、5倍の高さになります。日本政府では「実際の射程は4000キロを超える」と見ており、そうなるとアメリカのグアムが射程に入ってくることになります。政府は、安倍総理大臣が「明確な安保理決議違反で、断じて容認できない」とした上で、昨日関係国との緊密な連携を強調しました。安倍総理大臣)今後も日米、そして日韓において、緊密に連携をしながら、情報を分析し、中国、そしてロシア。国際社会と連携をしながら、しっかり北朝鮮に対して国連決議を守るように強く求めていきたい。
畑中)いま「ロシア」という言葉がありましたが、ミサイルは落下場所が日本よりロシアに近かったということで、この辺り、「ロシアも仲間に取り込みたい」という思いが滲んでいます。一方韓国では文在寅大統領。大統領就任宣誓では「条件が合えば平壌にも行く」と、対話路線を明確にしていたわけですが、このミサイル発射については「強く糾弾する」と批判しました。「対話は、北朝鮮の態度が変化したときに可能になる」と述べ、早い段階での対話は、しばらく無さそうです。ただ、対話の可能性は開かれているとも話しており、北朝鮮への圧力強化にも触れていません。「北朝鮮が判断を誤らないよう、挑発には断固とした対応をとらなければならない」と述べていますが、韓国の文在寅政権が発足した直後、それから中国では一帯一路と呼ばれる、現代版のシルクロード構想の会議が始まる、というタイミングなので、中国にとっては、本当にメンツを潰された形になったそうです。
「一帯一路」国際会議に水を差された中国高嶋)須田さん、一言で言うと無茶苦茶というか、支離滅裂というか……何かの方針があって、金正恩氏はこれをやっているのでしょうか?
須田)方針がどこにあるのか皆目検討が付かない、というところが、支離滅裂なのではないかな、と。メッセージが伝わってこない。そしてもう1つ言うと、先ほど新型ミサイル、高度2000キロに達するロフテッド軌道と言いましたよね。このミサイルがなぜ驚異なのかというと、落下速度がマッハ10を超えていまして、通常の迎撃システムでは迎撃できないのです。迎撃できるのは、韓国に配備されたTHAADミサイルですね。そうすると、THAADの配備に、ある意味でお墨付きを与えてしまったということになりかねない。そうすると、一番ダメージを受けるのは、私は中国だと思うのです。文在寅新大統領が就任して、各国首脳と電話会談を行ったのですが、その中で一番長く電話をしていたのは、習近平国家主席なのです。40分間電話していて、非常に友好的なやり取りがあったと青瓦台が発表しているのです。そうすると、中国は韓国に対し、「THAADミサイルの配備を見直してくれ!」というようなことを、今後持ちかけるはずだった。それに対して冷や水をかけるような形になった。しかも今は一帯一路の重大な会議中。そういった意味で言うと、中国に取ってみると、北朝鮮のこうした行動は、はらわたが煮えくり返るのでは、と思いますね。
高嶋)そういう報道が昨日相次いでいて。それで、過去最大の2000キロ超に達し、30分間に及んだという。衛生が地球の周りを回っているのは、何メートルくらいでしたっけ?
畑中)国際宇宙ステーションの場合はおよそ400キロですね。ですから、相当高いところで、ということになりますね。ですから、「これだけの技術ができたのだよ。アメリカと話をしよう」というのが、単純に言うと、金正恩氏の思惑ではないかと思います。
アメリカにとっては、日本にTHAADを配備させるビジネスチャンス高嶋)習近平さんがムカッとしているのは当然だし、文在寅さんも踊りていると思いますが、アメリカ自体が「ムムッ」と思っているのでは……
須田)いや、「ムムッ」というより、「してやったり」だな、と。
高嶋)THAADを配備できるから?
須田)そうですね。それと、韓国ですね。こちら陣営に、アメリカ側にぐっと文在寅体制を寄せることができる、という点で、アメリカにとっては内心喜んでいるのではないかな、と。また、先ほどグアムが射程にはいると言いましたが、要するに北朝鮮サイドから見ると「点」なのですよ、あの島は。だから、それに当てるというのは相当難しいのです。むしろ、気をつけなければならないのは、今回の火星12号に関して言うと、日本列島が、そのターゲットになっている。日本列島の在日米軍がターゲットされているのです。そうすると、場合によっては「日本に対するTHAADの配備」という話にもなりかねない。というところを考えてみると、アメリカにとって見ると、ビジネスチャンスが広がるわけですからね。
高嶋)そう考えますか。ビジネスチャンス……
須田)THAADミサイルには何千億もかかりますからね。もちろんアメリカがお金を出すわけではないので、そういった点で言うと、もちろん在日米軍がリスクに晒されるということもありますが、それに対する対処として、日本にもちゃんとした体制を組まなければならないのではないか、という部分で、また日米同盟の緊密化、強化に繋がりますからね。
高嶋)よく言われる例の軍産複合体。もう人の命を何だと思っているのか、と言うような。そこを金儲けの焦点にしている。アメリカはむしろ喜んでいる……
須田)ですから、今回の文在寅政権が発足したことにより、南北会談というところも、これも楔が打ち込まれたような形になっていますからね。
高嶋)俗っぽい言い方かもしれませんが、とにかく、大陸間弾道弾、ICBMで、西海岸に届くとか、アメリカ本土の攻撃が可能になるとか、そういう物について、アメリカはすごく神経質になっています。一方で、今度は文在寅政権もできて、「今のままで、北朝鮮の核問題を凍結させてしまえ」という意見もある。そうすれば、アメリカ本土には弾は飛んでこない、ということで、これも結構有力だと言っている人がいたのですが、これから先はどうなっていくと思いますか?
須田)ムスダン火星12号は、去年に1度、成功しているのです。もう実用化段階に入ったと考えて貰っても良いと思います。そうすると、弾頭に搭載する核爆弾。これが開発できるかどうか、というところになってきている。次は核開発、核実験。これがいちばん大きなポイントになるのではないかと思います。
THAADミサイルによって、中国は包囲されてしまってる高嶋)一帯一路で、習近平さんは顔に泥を塗られたと言われていますが、THAADの配備によって、中国はかなりの部分を無防備にされてしまうように、レーダー網が届くわけでしょう?
畑中)そうですね。韓国だけではなく、上海や北京、西からも。今回の一帯一路の会議も、そういった安全保障面の側面。経済だけではなくて。そういうのもあるようですね。
高嶋)ということは、どこの当事国も、何となく浮き足立つ、みたいなところも……「落ちたところがロシアに近い」とか「ロシアも喜んではいないだろう」とか、いろいろなニュースも流れているし。
須田)先ほど畑中デスクがさらっと触れたように、実はTHAADミサイルというのは、日本ではほとんど放送されていませんが、ヨーロッパのルーマニアにも配備されているのです。そうすると、韓国とルーマニアの東西から、Xバンドレーダーが中国を監視する体制になってしまった。「中国包囲網」に近い形になっているのです。そういった意味で言うと、それを打破するためにも、今やっている一帯一路会議はものすごく重要な会議になってくるのです。
高嶋)とにかくTHAADについては、中国は滅茶苦茶神経質ですよね。
須田)あれを、飛んできたミサイルを迎撃することよりも、要するに中国に対する監視体制の設備、という風に考えていただくと良いかな。
高嶋)そこまでの大混乱というのを想定すると、北朝鮮からは何かすごいメリットがあるのですか?
須田)いや、だから「北朝鮮が何を望んでいるのか」というね。どうも、何ていうか、破滅に向かって走っているようにしか思えない。「これだけの物があるのだから、やるんだったらやっちゃえ」みたいな。そういう動きに見えなくもないですね。