高速道路が似合う名作アルバム【雑学と音楽 ザツオン Vol.19】

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先日、久しぶりに東名高速を走ることがありまして突然に思い出したのです。かつて、環8沿いの世田谷/用賀の東京ICあたりは、“世田谷アメリカ村”などと呼ばれていませんでしたっけ?白やピンクでオシャレなアーリーアメリカン風の特別外観なファミリーレストラン群があり、ドライブ前に寄り道してはテンション上げていたチョッと恥ずかしい想い出がございます。今は面影もなくなりまして時の流れを感じます。東名高速道路が東京から御殿場まで開通したのは1969年5月26日のことだそうです。48年も前のことなんですねぇ。用賀と首都高/渋谷が開通接続したのは2年後の1971年とか。ドライブしながら富士山を望んだり浜名湖を渡ったり。携帯なき時代ゆえに仲間とは足柄サービスエリアで事前に決めて待ち合わせたり。帰りには定番渋滞にハマったり、街の灯りチラチラしたり。青春時代のイロイロな記憶と共に東名高速があります(遠い目)。そんなわけで、今回の『雑学と音楽 ザツオン』は「高速道路」がテーマです!

まずは!高速道路ジャケと言えば…コレを思い出しました!
ウェス・モンゴメリー『ロード・ソング』1968年。

WES-MONTGOMERY,ROAD-SONG

あ~、なんて美しいジャケット写真!一連のA&M/ CTiのアルバムを手がけたピート・ターナーによるものです。そうです!オクターブ奏法のギター魔術師、ウェス・モンゴメリーのアルバムですね。クリード・テイラーのプロデュース、そしてドン・セベスキーのオーケストラアレンジ!それが大袈裟過ぎて苦手というジャズファンも多いですよね。でも!個人的には大のセベスキー好きなのでスミマセン。参加していたピアノのハービー・ハンコックは当時28歳!ドラムのグラディ・テイトは36歳です。若いですねぇ!ウェス自身の作によるアルバムタイトル曲から始まり、ジャズスタンダード、映画音楽、イギリス民謡、S&G「スカボロー・フェア」やビートルズ「イエスタディ」までバラエティ豊かなラインナップとアレンジスタイルで全9曲30分。「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」を聴きながら高速道ドライブすると、月まで走れそうな感覚にストーンいたします。このアルバムをリリースした後、ウェスは45歳で心臓発作で亡くなり遺作となりました。そんな意味でも歴史に残り続ける名盤ですね。

続いては、グッと胸に迫る高速道路な名曲です。
フラワーカンパニーズ「深夜高速」2004年。

フラワーカンパニーズ,深夜高速

4人のメンバー全員1969年生まれ、名古屋で結成されたフラワーカンパニーズ。ライヴ会場で限定発売されていたという曲が大好評過ぎて2004年に16枚目のシングルとして正式リリース。フラカンの代表曲となってしまいました!♪青春ごっこを今も続けながら旅の途中…♪♪ライヴを終えたバンド面々がファンの熱狂と自らの興奮冷めやらぬままにマイクや楽器を持っていた手でワゴン車のハンドルを握って、次の演奏地へと向かうハードスケジュールな情景in夜の高速道路。目的すら忘れてしまった終わりなき旅。聴く人の誰もが持っている人生の不安と重なります。その後、2009年には「深夜高速」だけを泉谷しげるサン斉藤和義さん湯川潮音さん怒髪天や他13組の皆さんがカバーしたトリビュートアルバム『深夜高速 生きててよかったの集い』までリリースされたり。歌詞全部をココにコピペしたいくらいなのですが諸般事情ありますので、是非に検索してお読み下さい!

ハイ!アクセル全開でブッ飛ばしますよ!あれれ、道路が!
ドゥービー・ブラザーズ『キャプテン・アンド・ミー』1973年。

ドゥービー・ブラザーズ,キャプテン・アンド・ミー

4頭立て馬車に乗り込んだ西部開拓史なメンバー野郎どもがタイムスリップして建設中の高速道路にビックリしてる図??いやいや、寸断された高速道路が暗示するのは移動手段の回帰や行きすぎた文明への批評、そして人間性を取り戻すことすらも表現か?!いろんな妄想が出来るアルバムジャケットですね。トム・ジョンストンの野太くてカン高いボーカルとツインドラムス期の3枚目はハイウェイを突っ走るようなドライヴ爽快感モリモリ!「ロング・トレイン・ランニン」(全米8位)や「チャイナ・グローヴ」(全米15位)のシングルヒットを生んだ大傑作です。レコードからカセットテープにダビングしましたよね!ラジオ番組でのオンエアはもちろん、ディスコでもかかりまくりでした。あのギターのリフやハーモニカを聴いてダンスフロアに大集合!バラード系のストリングス・アレンジに参加しているニック・デカロの隠し味も良い名盤です。現在、正式メンバーはトム&パット・シモンズ&ジョン・マクフィーのギタートリオになりましたが、この4月も元気に来日して21年ぶりの日本武道館公演をドン!音楽と観客が70年代に完全回帰したそうですね!いや~、すごい!

では、こんなハイウェイビートはいかがでしょうか?
クラフトワーク『アウトバーン/AUTOBAHN』1974年。

KRAFTWERK,AUTOBAHN

ドイツ語“クラフトブェルグ/発電所”と名乗り1970年に結成されたミニモーグ使用の電子楽器集団のピコピコ4枚目!ハイウェイを走るための音楽としてリリースされたそうで、まんまと作戦どうりにアメリカでもヒットしたアルバムとなりました。速度無制限道路をドイツ兄弟な高級車ベンツと大衆車ビートルが走っています!いや、疾走感ゼロな不思議アートです。太陽と車影もヘンだし。総延長、約13,000kmの世界初な高速道路ネットワーク。最初のボン~ケルン区間は1932年に完成したそうです。アウトバーンをドライブしたことがあります。東西ドイツが統一された1990年の2年後、1992年のことでした。ミュンヘンからライプツィヒに9号線(A9)を北上しました。快適な高速道路が使われなくなった国境警備所を過ぎるとイキナリ終了して細くデコボコな舗装道路と繋がっていて、旧東ドイツの小型車トラバントが2ストローク空冷2気筒エンジンからの白煙黒煙モクモク排気で奮闘走行していたのが印象に残りました。そのどれもが淡黄色や淡緑色の垢抜けない没個性なボディカラーだったことが強烈な印象です。また、それが逆にカワイイのですが。道路の先に国境があるという意識が無かった自分にとって、高速道路というインフラは国家や時代の象徴だということを再確認した経験でした。それから25年、あの道路はどうなっているのでしょう。いつか再走の旅をしてみたいものです。

そして!私の心に残る高速道路なアルバムです。
小川博史『You Love Me』1992年。

小川博史,You-Love-Me

“90年代シティポップの隠れた名盤”です。ドライでいて、それでいてウエットな魅力的ボイスのシンガーソングライター&ギタリストの小川博史さん。バックはG今剛さんやDs青山純さんという名うての面々。そして、アルバム全9曲を川村真澄さんが作詞しています。その1曲目「ハイウェイ・ドライヴァー」からラストナンバーまで一気に聴くと、一編の小説を読んだような気持ちになります。それもボブ・グリーンやピート・ハミルとかのアメリカ小説。ジャケット写真もCDというより単行本のようなデザイン感ではありませんか?セカンドシングルとしてカットされた「コヨーテ・カフェ」も素敵な曲です。このアルバム1枚だけをリリースした後、お名前を聞かなくなりました。調べてみますと!小川さんは現在「織川ヒロタカ」と改名して活動していらっしゃるとか。このアルバムからの曲を生で聴いてみたくなりました。

さて!最近、ドンドンと発展進化している「自動運転」。もう、そこまで来ている技術ですね。確かに便利で人間が運転するよりも確実で安全かも知れません。でも、ハンドルを握りアクセルやブレーキを踏むからこそ、高速道路のドライブにドラマや想い出が生まれるのではないでしょうか? でも!ここのところカーナビなしでは全くおぼつかない初老ドライバーの自分がいることも事実です(笑)。そんなこんなで、『雑学と音楽 ザツオン』第19弾いかがでしたか? 音楽のもうひとつの楽しみ方、次回もお楽しみに♪

神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。


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