右を見ても左を見ても猫も杓子も…ネコだらけ!今やニッポンのエンタメは空前の「猫ブーム」なのでは?!
動画サイトで3億2,500万回以上も視聴され、世界記録に認定されたのは…日本の「まる」という猫だそうです!テレビをつけると国内外のアチコチで生きる猫の生態や、有名人が愛してやまない猫の紹介な番組。書店にはコーナーが作られてズラリと並んでいるのは、猫が主人公な絵本や図鑑や写真集に行動学に検定本。猫世界の恋愛小説もあるし、人気女性週刊誌のスタッフが作った雑誌「ねこ自身」も!美術館ではネコ系アート展いろいろで、街へ出れば名物猫店長で、旅行をすれば名物猫駅長がお出迎え!
そこで!今回の『雑学と音楽 ザツオン』は「猫」がテーマです!それでは、ニャンニャンじゃ!
猫ジャケとして、まず最初に思い出したのがコチラです!
アル・スチュワート『イヤー・オブ・ザ・キャット』1976年。
イギリスのシンガーソングライター、アル・スチュワートの歴史的名作です!
アルバムは77年に全米5位を、タイトルシングル曲は8位を獲得してロングセラーになりました。ジャケットはハイセンスなデザイン集団のヒプノシスが制作です。ホノボノとした中に何か妖しい雰囲気が漂うサウンドは、かのアラン・パーソンズがプロデュースしたからでしょうか?!あのアビーロードスタジオのエンジニアとしてキャリアをスタートして、ビートルズ『アビー・ロード』やピンク・フロイド『原子心母』の名盤を手がけ、その後は自身のプロジェクトでもヒットを連発。悠久サウンドを創らせたら一番の職人ですね。ピアノの旋律が始まりドラムの律動が加わり、男の声が聴こえてくれば不思議な街を彷徨う6分40秒の夢幻旅行のスタートです。
♪ここは時間を巻き戻した国。ハンフリー・ボガードの映画ような朝に人混みの中を歩いてる。シルクのドレスの女が現れて、こう言うのさ。“私の人生なんて流れる川のようなものよ、ネコの年だから”。一夜を明かすと観光客たちは去っていた。バスもないから、選択の余地はない。ここに留まるしかないんだよ、ネコの年の間には♪♪
さぁ、十二支の中にない「猫年」にようこそ…。
続いてのネコ系。児童文学に登場する 「帽子を被った猫」を、自分のアルバムタイトルにしたのは…そうです、ミスター・センチメンタルです!
ボビー・コールドウェル『ロマンティック・キャット/Cat In The Hat』1980年。
退屈な雨の日に子供たちを不思議な冒険に誘い出してくれる猫の紳士、その名が「Cat In The Hat」!!アメリカで1957年に初出版されたということですから、彼自身も楽しんだネコの絵本なのでしょう。まさに自分のことを絵本の主人公に例えたのでしょうか?!でも…退屈な子供たちでなくオシャレな大人たちを、不思議な冒険に誘うのがボビー・コールドウェルですよね!前作『BOBBY CALDWELL/イヴニング・スキャンダル』で、衝撃的なデビューを飾った男のセカンドアルバムです。1曲目「Coming Down From Love」。ゴキゲンなピアノのイントロが11秒、そしてソウルフルでエモーショナルな、独特のボーカルが聴こえて来ます。この声を聴いて恋に落ちない理由がないですね。あの日、この曲をばクルマをドライヴしながら、あるいはサイドシートで聴いた方も多いことでしょう!ああ、かく言うワタクシもロッポンギのカフェバーで何度聴いたことでしょうか。メロウでア~バンな想い出にチョッと切なく感涙です。
続いては!忘れてはいけない猫ちゃんです!人類史上最高のポップアルバムに猫ニャン!ソングライターとして数々のヒットを生み出したキャロル・キングの音楽人生第2幕が開いた歴史的名盤。全米15週連続1位、その後も302週に渡ってトップ100にランキングしたアルバムに、当時29歳のアーティスト御本人よりも手前にドンしちゃっているのは「テレマコス」!ちょっと太めな猫ちゃんだ!ギリシャ神話に登場する名前だそうで、パートナーだったジェリー・ゴフィンが名付けたそうです!
キャロル・キング『Tapestry/つづれおり』1971年。
音速ライン『三枚おろし』2007年。
すごい!これがアルバムジャケットですから!いや~、美味そうに焼けてんニャ~!サンマ塩焼きを狙う猫「まこ」です!猫というより人間みたいな顔ではありませんか?!ぶちゃカワ系の猫として大きな話題になりましたですね~!藤井敬之さん、大久保剛さんのハイセンスなポップデュオ。この3枚目の名作アルバムだけでなく、藤井さんの紡ぎ出すメロディと言葉は何だか懐かしくて切なくて良いですよね!インタビューしたことがあるのですが、つかみドコロのない魅力がある人でしたニャン。
続いては…新しきキャットソングの名曲が、このアルバムに!
冨田ラボ『SUPERFINE』2016年。
ポップマエストロ冨田ラボが若い才能たちと創り上げた5枚目アルバムから、水曜のカンパネラのコムアイさんをボーカルに迎えた超個性ポップナンバー、冨田ラボfeat.コムアイ「冨田魚店」です!午前4時に始まる築地市場の魚セリに参加する男と、そのサカナを横取りニャンと狙う猫とのバトルストーリーな面白ソング!まさにキャットファイト?!「東京都中央区築地5-2-1は顔を洗う猫の街」と表現するスバラシキ歌詞は、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミ氏が書いています。いや~、平成ニッポンの「買い物ブギ」ですわ、この曲。ジャケットには猫がおりませんね!神様が動物たちに言い渡した十二支認定のタイムレースに、猫ちゃんは遅刻しているのでしょうか?!あ!女神さまだしライオンやヒョウやクマもいるから、東洋民話と違いますね。3月1日にはアナログ盤のアルバムもリリースされたそうなので、是非どうぞ!
そして!猫と言えば…やっぱりコチラ、谷山浩子さん!デビュー45周年になる、この4月26日にリリースされるベスト盤的なメモリアルアルバムがコチラ!
『HIROKO TANIYAMA 45th シングルコレクション』(Blu-spec CD2)。
15歳でのデビューシングル「銀河系はやっぱりまわってる」から最新の「同じ月を見ている」まで、45年間で発売した23枚のシングルと24曲のカップリング、さらにボーナストラックとして3曲カラオケを追加した3枚組CDで全50曲ド~ン!ゆるゆるメルヘンだったりダークファンタジーだったり、ネコ目線の名曲が沢山あります。歌詞カードを見ながら確認して下さいませ!言葉の中に隠れてますから、いろんな猫たちが。もちろん、あのオールナイトニッポンのテーマ曲になった「てんぷら☆さんらいず」も収録です。
現在、谷山さんは「ニコニコチャンネル」で『谷山浩子のオールナイトニッポンモバイル』を配信しています。あの懐かしいANN的な世界まんまにオシャベリや企画コーナーやナマ歌をしちゃっていますよ!是非お聴き下さい!ハッキリ言いましょう、谷山さんは天才です。そして…猫の生まれ変わりだと思う。いや!ひょっとしたら…猫かも。
そんなわけで、お別れの時間がきてしまいました!最後に、この「猫ブーム」の中で個人的にヒジョーに気になるのをフタツ。ひとつめは、あるコスメブランドが香水「Kitten Fur」を発売!つまり「子猫の毛皮」ですよ!「15年の開発期間を経て実現した、温かで居心地のいい匂いのエッセンス。子猫の首のちょうど後ろの匂いです。猫好きでもそうでなくとも、あなたの好奇心を満たしてくれるでしょう!」…だって!どんなのかな?!そして、ふたつめは『写真集 ネコとフトモモ』。「可愛い猫たちと無防備な太もも」…だって!どんなのかな?!あぁ、この世はすべてモフモフだ!『雑学と音楽 ザツオン』第16弾いかがでしたか? 音楽のもうひとつの楽しみ方、次回もお楽しみに♪
神部恒彦(a.k.a 北大路おさんどん)
1960年北海道生まれ。
1981年「オールナイトニッポン」のADとして放送業界で活動開始。
音楽やドキュメンタリーを中心としたテレビ・ラジオの構成/選曲を担当する。
1992年いったん全ての仕事を終了してシベリア鉄道で渡欧。
1年間に渡りフランス/スペインを拠点に欧州各国の景勝地や美術館を見て回る。
さらに渡米、自動車でアメリカ大陸を横断しながら様々な音楽聖地を巡って帰国。
幅広い音楽/雑学知識と好奇心でジャンルを問わない番組/イベント構成を手がける。
趣味:大相撲/F-1観戦、全国各地の居酒屋訪問と見知らぬ人々との会話。