YouTuberから学ぶヒットの法則

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28日(日)夜放送の「高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと」で、前回の放送で予告していた通り、朝井リョウが、これまで絶対ハマるはずがないと思っていた、YouTuberにハマったという話を披露した。

今回は、“朝井リョウYouTuberにハマるスペシャル”と題し、朝井のYouTuberトークが番組全体に渡って展開された。まず始めに、チームY(リスナー)へ警告として、この番組で語られた内容をYouTuber本人へ伝えないよう口止め。

ラジオ番組でその場にいない誰かの話題が出た場合、「あの人がラジオであなたの話をしてましたよ」と、Twitterなどで本人に伝えるといった行動をするリスナーが度々見られるが、今回はそういった行動は禁止だそうだ。

「先週の日曜の夜、楽しみにしていたことがある」と語り出した朝井。それは『ヨブンのこと』を聴くこと…ではなく、テレビ東京系で放送されていた、『元祖!大食い王決定戦』。

朝井はこの番組が大好きだそうで、以前司会をしていた中村ゆうじの引退話や、ギャル曽根やもえあずなどのニックネームを実は中村が付けていたこと、朝井曰く「見たら分かることを大きな声で言っている」という照英の実況っぷりについてなど、ファンならではの知識を事細かに語り、それに高橋が共感すると、「え~!大食い選手権のどこが好き~?」と深く掘り下げようとしてを戸惑わせる場面もあった。

大好きな話を喜々として語る朝井に、「全然YouTuberの話になんねーじゃん(笑)」とツッコむ高橋だったが、話はここからYouTuberへと繋がっていく。

この『元祖!大食い王決定戦』は、数ヶ月に一度しか放送がないため、大食い選手権に出ているファイターたちをなかなか見ることができず、寂しい思いをしていたという朝井。しかし、大食いのファイターたちは今や半分YouTuber化しており、多くのファイターが自作の大食い動画をアップしているということに、最近気が付いたらしい。

朝井がYouTuberにハマったというのはそこが入り口で、見始めたら止まらなくなったそうだ。
特にイチオシなのが、大食いファイターの1人であるラスカル新井。新井は一度に8キロもの食事を平らげるのだが、その様子を定点カメラで、早送りなどはせず40分ほど流しており、朝井はそれを、休日の間ずっと見ていたそうだ。

「なぜ自分は、この動画がこんなに好きなのか?」について自分で考えてみたところ、ある結論が出た。小説家にはマラソン好きな人が多いのだそうで、その理由は、途方もない道のりでもコツコツ走れば終わりが見えてくるという点が、長編の執筆と似ているからだと語る。そして朝井にとって、その長編執筆と似ていると感じる対象が、“大食い”なのだそうだ。

大食いは、「これぐらい食べます」というのを、カロリー数やキロ数を含めて、最初に見せてくれる。最初は「絶対食べられないよ…」とボヤきながら始まるが、40分後にはそれが食べ終わっているという快感が、長編の執筆に似ているということに気が付いたといい、「こんなムリそうに見えることでも、1歩ずつ積み重ねていけば達成できるんだってことに気づいて、すごくスッキリした。」と朝井は感想を述べた。

そんな中、偶然おすすめ動画として出てきた、ほかのYouTuberの作品にも触れる機会があったそう。最初は、大食いの人が好きなのであって、ほかのYouTuberに興味はないと思っていたが、思わずクリックしたところ、意外にも、朝井の中で得るものがあったと語る。

朝井がたどり着いたのは、動画配信を行っている、ある集団のアカウント。みんなでゲームをやって盛り上がったり、卒業式の動画をあげたりといった動画を配信しており、朝井曰く、その1つ1つは正直面白くはなかったが、気がついたら1時間も経ってたという。

「なんで自分はこの動画を見てるんだろう?」と自分で考えてみたときに、朝井はあることに気がついた。それは、“人の人生を定点観測できる”ということ。1つ1つの動画は満足できるようなものではないが、これまでの動画を全体として見たときに、人の変化や成長していく過程などが見えてきて、気がついたら引き込まれていたのだそうだ。

大食いが長編執筆に似ているということと、人の人生を定点観測できるということ。この2つの発見を踏まえて、朝井の中である結論が出た。

朝井:この2つは私にとって、とても大きな発見で。

高橋:へぇ~大きいんだ。

朝井:その2つって昔からあった快感なわけですよね。コツコツと何かを達成する快感と、人の人生を長期的に見ていたいっていう欲は、昔からあるわけで。

高橋:うん。

朝井:世の中の名作に共通して言えることは?ってことを、最近国際政治学者の三浦瑠麗さんがコラムで書いててめちゃくちゃ納得したことがあったんですけど。

高橋:なになに?

朝井:「普遍性と時代性をどっちも含んでいる作品っていうのが、名作だと言われる」っていう風に言っていて、あ、めっちゃ分かる!と思ったんですよ。

高橋:うん。

朝井:めっちゃ現代的なアイテムとかすごい出てくるんだけど、意外と見てる人の年代は幅広くて、最近だと『ちはやふる』とかそうだったと思うんですけど。

高橋:あ~そうね。見てた見てた。

朝井:あれって結構大人の人が面白いって言ってるんだけど、書いてることは10代の青春だし。書かれている内容も競技カルタっていう、今まであまり書かれていないスポーツだけど、そこには昔から流れているカタルシスがちゃんとあるわけですよね。だからそれを、YouTuberから学んだんです、私は。

高橋:ははは(笑)まさかだなぁ~すごいなぁ~。

朝井:新しいカタチで、昔からある快感を差し出すっていう。

(中略)

朝井:これいろんなことで言えると思いますよ。その普遍性と時代性が同居しているものなんだけど、時代性のほうが大きいからYouTuberって。1:9ぐらいになっちゃってるから。

高橋:う~ん、そっか。

朝井:私今スポーツ小説書いてて。スポーツ小説って、正直やり尽くされてるのね。展開として、もう超新しいものってなくてさ。

高橋:あ、なんか立ち向かう感じですね。

朝井:セオリーがあるから、どうしようかなって、全然プロットができなかったんです。

高橋:え、スポーツむずくない?

朝井:そう、すごい難しいんですよ。でも悩んでいたときにYouTuberと出会って。

高橋:進んだの?

朝井:進みました。そうだ、それが気持ちいいって分かってることを、新しいカタチで差し出せば、新しく見えるってことを学んだわけですね。

高橋:はぁ~!はいはいはい。

朝井:見たことある人生の定点観測も、YouTubeってカタチで差し出されると急に新しいもののように感じたけど、掘ってくと、結構今までやられてたことをやっている。

高橋:うん、元々あるものね。

朝井:元々ある感動を与えてくれてるってことに気づいて、進んだんです、プロットが!

高橋:おめでとうございます!

朝井:みんなありがとう!ありがとう!YouTuberのみんな!大食いの新井さん、応援してます!

高橋:あはは(笑)

大食いファイターやYouTuberを通して、思わぬ収穫を得た朝井。これらの発見を経て創り出される、朝井のこれからの作品に期待が高まる。

この日の放送は、期間限定でradikoタイムフリーサービスで聴くことができる。

<期間限定!radikoタイムフリーで聴く>
番組名:ニッポン放送『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』
放送日:5月28日(日)22時30分~23時
パーソナリティ:高橋みなみ、朝井リョウ
タイムフリー:http://radiko.jp/share/?sid=LFR&t=20170528223000
番組HP:https://www.allnightnippon.com/yobunnokoto

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