やはり華がある。28歳になったハンカチ王子。昨日の横浜DeNA戦で、今季2度目の先発マウンドで5回3分の0を投げ、5安打、1失点。2015年9月16日、ロッテ戦以来、623日ぶりの勝利をあげました。
「うれしいです。いや、うれしくない。長かったという感じ。すいません」
と語ったのは、まさに心の声。加えて、ホームの札幌ドームでは、975日ぶりの勝ち星です。1勝がこれほど騒がれる。まだまだ、斎藤人気は絶大。
投球内容は以前とは違います。15アウトの内訳に、8つのゴロがあったことです。
「ゴロを打たせて、アウトをとることを念頭に置いている」
と言います。
スポットを浴びた高校時代から、常にこだわってきたのは、アウトコース低めのストレート。それから、空振りをとれるスライダー。いい時のピッチングが忘れられない。こだわりは、プロフェッショナルの証明でも、故障などでそれは不可能になった。おそらく、相当な葛藤があったのでしょう。
最大の理解者というべき、栗山監督は、この日のピッチングを、
「期待以上ではありません。もっとできる。ただ、いえるのは、勝ち方を知っているピッチャーだということは間違いありません」
と振り返っています。昨年オフ、栗山監督は外国特派員協会で会見。その際に、なぜ、斎藤がダメなのかとの質問に、
「ぼくが悪い。すいません」
と答えました。
シーズン中はほとんど選手と話しをしないという栗山監督。中田を4番から外した際も本人には一切相談をしていません。決める時にはきっちりと決めて行動に移す。しかしその裏側には選手に対する愛情がはっきりと見えます。栗山監督だから、チャンスを与えてもらえるのは、皆さんが感じることでしょう。斎藤佑樹投手も他の球団に行っていたら、今回の復活勝利はなかったかもしれません。
チーム内では、「体がカタい」という指摘がある。通常、130、140キロの軟投は、ゴロを打たせることが生命線。先発などとんでもない。中継ぎで起用するのがセオリーでしょう。にもかかわらず、先発で使うのは、「体がカタく、疲れが簡単に抜けない。連投が利かないから」と、ある関係者は漏らしていました。
斎藤も体質改善のため、巨人の清原で一躍有名になったケビン山崎さんの指導を受けました。そのおかげで不調の要因がひとつ発覚したそうです。卵アレルギー。それも遅炎性で症状があとから出てくる。疲労が抜けないのは、そんなところに要因があった模様。
食物アレルギーで有名なスポーツ選手に、男子テニスのノバク・ジョコビッチがいます。実家がピザ屋さんにもかかわらず、植物性たんぱく質のグルテンと乳製品に対して、不耐症であることが判明。食事を見直して、頂点を極めました。斎藤も、ここしばらく、食事にはさまざまな注意をする努力を続けています。
石にかじりついても年内にあと、7、8勝は挙げて欲しい。それが栗山監督の期待に応えることではないでしょうか。
6月1日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」