「こんなに打てないことは記憶にない」ロッテ・伊東勤監督(54歳) スポーツ人間模様

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西武に敗れファンに頭を下げるロッテ・伊東監督=2017年5月16日 ZOZOマリン 写真提供:共同通信社

西武に敗れファンに頭を下げるロッテ・伊東監督=2017年5月16日 ZOZOマリン 写真提供:共同通信社

とうとう心配されていた事態が…。ロッテは昨日6連敗を喫して、自力優勝の可能性が消滅し、9勝27敗1分けの最下位。勝率は2割5分0厘で借金が18もある。首位の楽天には16ゲーム差という惨状です。

最大の要因は打線にあることは一目瞭然でしょう。チーム打率が1割9分0厘では、手も足も出ない。そんなことはないでしょうけど、このまま1割台で終われば1944年、中日の前身だった産業軍以来、73年ぶり。伊東監督が、

「こんなに打てないことは、記憶にない」

と言うのは、ごもっともです。

これほどの弱さとは、それこそ想定外。昨年は31年ぶりに2年連続でAクラスを確保して、就任5年目の伊東体制は優勝を口にしたほどです。オープン戦が13勝2敗3分けで、25年ぶりに12球団首位。ただし、ふたをあければ、37試合を消化して、わずかに9勝をあげただけです。これは、05年、1年目の楽天が6勝24敗で4月30日に自力V消滅しましたが、それに続いての不名誉な記録になります。

新外国人2人の不振、昨年の首位打者、角中の故障など、主軸が機能していません。ということで、貧打解消のため、デーゲーム、ナイターを問わず、試合終了後にも、ホームゲームでは選手が室内練習場で特打を行っているものの、なかなか結果が出てこない。

伊東監督は、フロントへ「補強をお願いしたい」と何度も頭を下げ、訴え続けてきました。ここまでの不振は想像できなかったと、フロントも動いてはいますが、現状で何とかするしかない。

今年1月、伊東監督は野球人として最高の名誉ともいっていい、殿堂入りを果たしました。現役時代は、西武黄金期の司令塔として名をはせ、04年西武の監督就任1年目で日本一になった。3年連続でAクラスを確保しましたが07年、5位に低迷すると辞任に追い込まれています。フロントとの確執で、実質は解任だったとも。その最終戦では、ビジターということで、セレモニーなど一切、予定がなかったそうです。

それでは、あまりにさびしい。自分で花束を購入して、対戦した当時のソフトバンクの王監督へ頼み込み、花束を渡してもらったエピソードは有名です。そんな事情もあって、西武戦では異常な闘志を燃やします。

熊本県出身で、同郷の縁から、監督就任時には、野球の神様・川上哲治さんから激励の手紙が届けられています。「体に気をつけて」、「奥さんを大事にしろ」など、指導者の極意がしたためられていました。

今の低空飛行が続けば、シーズン終了時点で103敗になる計算。「責任はおれにある」と言い続けています。ここまでの不振なら、監督が悪いとファンやチーム内から声があがってくるのが通常ですが、不思議なことに、そんなムードはありません。

この日も、試合が終わると、ファンに深々と頭を下げていた。果たして、この泥沼状態は、いつまで続くのでしょうか。光明が見出せません。

5月17日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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