会場はクラシカルな洋館?空間を感じる舞台の魅力とは
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今日8日(木)から、東京・旧細川侯爵邸で、公演される「サロン劇場 B-side」。舞台を中心に活躍をする女優の村松えりが主催するこの「サロン劇場 B-side」では、岸田國士の『驟雨(しゅうう)』が芝居で、森本薫の『記念』が朗読で公演されます。
旧細川侯爵邸は東京都指定有形文化財で、昭和11年(1936年)に建てられたクラシカルで趣のある洋館。今では、テレビドラマや映画の撮影、週末は結婚式場としても使われていますが、昔は、歴代の総理大臣や軍師たちが、会議をされた場所としても知られています。
今回の企画にかける想いを、村松えりさんにお聴きしました。
編集部:会場が旧細川侯爵邸ということですが、普段は一般公開されていないですし、とても貴重な空間での公演なんですね。
村松:サロン劇場というのは劇場でも公演しますが、“ウェルメイド・プレイ”と呼ばれる、とても上質で、言葉も綺麗で、いいお話をする、ということを趣旨で始まっていて、旧細川侯爵邸のサロンを「お芝居で使っていい」と言われたのは母の村松英子だけなんです。
編集部:お母様の村松英子さんといえば、文豪三島由紀夫さんに女優として育てられ、演劇で数々の主役を演じられていますね。
村松:母は、三島由紀夫さん書き下ろしの劇団を持っていて、ヒロインをしていました。三島由紀夫さんが亡くなった後、サロン劇場を立ち上げて自分で演出家やスタッフを呼び、プロデュースするというのを40年前からしていました。
編集部:今回は、村松えりさんにとって初めての主催で、村松英子さんも出演されるんですよね。
村松:母の主宰するサロン劇場に対して、私の主催する「サロン劇場 B-side」と名付け、母と先輩の胸を借りてお芝居をします。この素敵な空間を使って、皆さんが疲れないちょっと短めの作品で、このお屋敷に合った時代背景の作品を探し、明治時代の岸田國士さんと森本薫さんの作品を選びました。時代背景は大正時代くらいなので、“古き良き日本語”や、のんびりした時代の雰囲気が楽しめると思います。
編集部:“古き良き日本語”ときくと、ちょっと難しそうなイメージですが、改まった言葉を遣って演じるのは大変そうです。
村松:私は特に改まった言葉遣いで育っていませんが、舞台台詞で綺麗な日本語を読んだり、声に出していると不思議と正しい言葉が身につきました。言葉遣いってどんどん変わっていくものなので、元の綺麗な言葉遣いや日本語を残すことは大事だなと思いました。
編集部:舞台を楽しむのはもちろん、言葉の勉強にもなりそうですね。印象に残った素敵な日本語はありましたか?
村松:「~していらっしゃい」って言葉が印象に残っていますね。「ゆっくりしてったら?」ではなく、「ゆっくりしていらっしゃい」と言われた方がゆだねる感じで、思いやりが入っていいなって思いました。
編集部:比べてみると確かにそうですね。「ゆっくりしてったら?」だと上から命令している印象で、「ゆっくりしていらっしゃい」は気を使われている感じがしますね。
村松:LINEのようにテンポのいい、速い会話に慣れているとまどろっこしく思うかもしれないですが、素敵な日本語ですから残していきたいですよね。
編集部:村松さんのお話を聞いて、綺麗な日本語が生きている『驟雨』『記念』という作品に更に興味がわきました。こういった作品を舞台で見る良さは、どんなところだと思いますか?
村松:舞台はとにかく「生」に近いんです。座った場所で見えるものや、感じることも違ったりするんですよ。隣同士で見ていても、それぞれが見たいものにフォーカスするので、同じ感想にならないことが多く、一度見に行き始めるとまた行きたくなるのも、そういったことだと思います。色々な舞台がありますが、今回の私たちの舞台は昔から今も残っている作品ですから、ハズレが少ないと思うので、舞台を初めて見に行く方にはピッタリだと思いますよ。
編集部:舞台などのお芝居は、テレビや映画のように大きく宣伝していないこともあって、行くきっかけもなく、何となく食わず嫌いというところがありましたが、これを機にどんどん出かけてみようと思います。本日はありがとうございました。
村松:ありがとうございました。
村松えりさん初の主催公演『サロン劇場 B-side「驟雨」「記念」』は、今日8日(木)夜から11日(日)まで、「和敬塾本館 旧細川侯爵邸」で公演されます。
<公演詳細>
●作:「驟雨」「記念」
●会場:和敬塾本館 旧細川侯爵邸
●住所:東京都文京区目白台1-21-2
●公演日程(開場は30分前)
6/8(木)19:00
6/9(金)14:00/19:00
6/10(土)14:00/19:00
6/11(日)14:00
●チケット料金
3,500円
●主催:サロン劇場 B-side
文:allnightnippon.com 編集部 望月知世
写真:allnightnippon.com 編集長 長浜純