6/16(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ！』今日の聴きどころ！①
“東京対地方”の構図はもう成り立たない
6:29～ニュースやじうま総研ズバリ言わせて！：コメンテーター石破茂(前地方創生大臣･自民党衆議院議員)
地方にはまだまだ伸ばすものが沢山ある本日はスペシャルコメンテーターとして自民党の石破茂氏をお迎えしています。自らの著書に著した「日本列島創生論」をテーマに、地方活性化の為にできる様々な事業についてお話して頂きます。
高嶋）今日の新聞に「安倍景気拡大53ヶ月 でも賃金消費は低迷 国民実感無き景気回復」とあります。それと同時に「脱アベノミクス 自民40人 石破・野田聖子氏ら勉強会」と、こういうものも出ています。
最近お書きになった『日本列島創生論―地方は国家の希望なり―（新潮新書）』という本、これは“改造論”と同じようだと言う人がいますけど、私は全然違うと思うのですよね。というのは、田中角栄さんのときはもうコンピューター付ブルドーザーで、高速道路を全国にガーッと伸ばして、あっちやこっちで穴を掘って、建てる物をガンガン建てて、ガリガリ行こうぜみたいな。
石破さんがおっしゃっているのは、やはり地方との関わりがとても長くて地に足が付いていますから、要するに「地方創生」というのは「こういうことで成功例がこんなに出て来ている、まだまだいけるよ」という、これが基本だというそういうお話ですよね。石破）私は田中先生を崇拝している人間だから、それはそれとして、経済がガンガン伸びていて人口が増えていったときの政策なのですよね。
地方が元気だったのは「道路を作るぞ」「下水道を作るぞ」「基盤整備をやるぞ」「港を作るぞ」「空港を作るぞ」みたいな公共事業と、それから繊維とか家電とか「同じ物を安く沢山大勢の人で作るぞ」というのがあって、地方に雇用と所得があったわけですよね。だけど今はそんなに経済が伸びないし、人口はガーンと減るし。それで今まで「公共事業だ」「企業誘致だ」で伸ばしてこなかった農業とか漁業とか林業とか観光とか「伸ばすものがいっぱいあるでしょう、それって地方だよね」という話なのです。
だからこのまま地方がどんどん衰退して、東京は薔薇色の未来かというと、そうでもない。これから首都直下型地震は間違いなくある訳で、超高齢化ってただ事じゃないですからね。結局東京も地方もどんどんと低落していきますよ。それって日本の終わりじゃないですか、という話です。
今まで東京対地方の対立の構図、なんとなく予定調和みたいなものがありました。だけどこれから先は東京のいろんな負担を減らす為に「地方は何ができるかな」「地方の衰退を防ぐ為に東京は何が出来るかな」という、お互いが考えていかないといけない時代だと思います。
地方活性化の事業で成功した例高嶋）それで地方でも具体的に、“成功例”と言うとたまたまそれだけが上手くいったように聞こえるかもしれませんが、言いたいところはいっぱいあるわけですよね。
石破）あります。
高嶋）例えば新潟とか。
石破）新潟は農業特区で、今まで「農地にレストランなんて建てちゃいかん！」って言っていたのが、レストランを建てました。最近「国家戦略特区」と言うと何だかいろいろあらぬ誤解を招きますが、農地法で「そんなものを建てちゃいかん」とあっても戦略特区で建てた訳です。そうしたらいっぱいお客さんが来る。
あるいは兵庫県の養父市で「株式会社が農地なんて持っちゃいかん！」ってあったけど、持ちました。そうすると「あ、儲かるんじゃない？」というので人がやって来る。そういう伸ばし方もいっぱいあるし。
先週私は高知の山奥に行っていたのですよ。そうしたら「国が何かやってくれる」「県が何かやってくれる」「町が何かやってくれる」じゃなくて「自分たちに何ができるのだろう」と。高嶋）面白くなってくるのですよね。
石破）すごく活き活きしていましたよ。それでお店を開いたら、10時の開店なのに8時から人がやって来て、10時にはもうほとんど商品が無い。
「あ、やったら出来るよね」「今まで駄目だと思っていたものを、皆こんなに喜んでくれるんだね」という、良い話ばかりではないけど、それをやらないと何も始まらない。高嶋）朝一番に獲れた魚を羽田に空輸して飲食店に直接売り、年収1,000万円を稼いでいる漁師さんもいるというような。
石破）これ羽田空港のど真ん中に市場がある訳ですよね。でも今まで九州だろうが北海道だろうが、獲れた魚は現地でセリにかけて、トラックで運んで、築地でセリにかけてと、結構時間が掛かってしまっていた。それが今朝獲れたものが食べられるという新しいビジネスですよね。
高嶋）何だってできるぞというような、地方元気のというか、これが本来の姿だと私は思いましたけどもね。こうなるのが当然だろうという風に思いました。
石破）でも今まで気付いて来なかった訳です。
