組織犯罪処罰法改正案成立!高嶋ひでたけのあさラジ!

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6/15(木)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

「共謀罪」成立強行~「加計文書」は今日にも公表
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター佐藤優(作家・元外務省主任分析官)

共謀罪,参議院本会議場

「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が可決成立し拍手する与党議員ら=20170615午前7時46分参院本会議場 写真提供:共同通信社


金田法務大臣の問責決議案、山本順三議員解任決議案は否決~荒れる夜通しの国会

共謀罪の趣旨を盛り込んだテロ等準備罪を新設する、組織犯罪処罰法改正案を巡り、参議院法務委員会での採決を省略するための中間報告が、今日未明の参議院本会議で行われました。
その後、参議院本会議は午前6時前に再会され、まもなく、組織犯罪処罰法改正案は、成立する見通しです。

国会では、昨夜、与野党の攻防が一層緊迫の度合いを増しました。金田法務大臣の問責決議案を採決する、参議院の本会議の開会は大幅にずれ込み、昨夜20時過ぎに、与党などの反対多数で、問責決議案は否決されました。本会議は続いて、参議院法務委員会での採決を省略する、中間報告を求めることを、議題とする動議を可決しました。さらに、民進党が提出した、山本順三参議院議員運営委員長の解任決議案も否決しました。舞台は日をまたいで衆議院に移り、今日未明の衆議院本会議で、内閣不信任案が否決されています。参議院の方は今日未明に本会議を再会し、組織犯罪処罰法改正案の中間報告を求める動議を可決し、公明党の秋野公造参議院法務委員長が、中間報告を行いました。「秋野委員長と直ちに審議するべき」という動議に反対した民進党の田名部匡代議員です。

法務委員会)委員長といたしましては、十分に審査を尽くすべく、努力を続けて参りましたが、遺憾ながら全会派の協力が得られる状況にはならず、今日に及んでいるのでございます。以上、法務委員会における審査の経過をご報告申し上げます。

田名部議員)いかに数の力を持ってしても、単なる「状況の変化」という、与党の身勝手な理由で中間報告をするなどと言うことは、許されるはずがありません。

異例の中間報告というのを行いました。参議院本会議は、午前4時半ごろに休憩に入り、午前5時45分ごろから再会されています。現在の国会の審議状況はどうなのか? 国会からニッポン放送報道部、後藤誠一郎記者に伝えて貰います。

後藤)国会は昨日から引き続き、深夜国会を超えて徹夜明け国会となっており、組織犯罪処罰法改正案の採決成立に向けた動きは、まさに大詰めを迎えています。中間報告の採決の後、休憩を挟んで、参議院本会議は午前4時45分過ぎに再会され、質疑、そして討論に移っています。いまは最後の討論者、日本維新の会の東徹議員が討論している最中です。

森田報道部長)この後、採決ということになるのですね。

後藤)そうですね。次が採決ですから、段取り的には、もう最後ということで、法案成立は、午前7時30分ごろになるのではないかと見込まれます。

森田)今回の中間報告という、なかなか聞き慣れない作戦を使った与党ですが、「公明党への配慮ではないか」という声も聞きますね。

後藤)そうですね。これには東京都議選が深く関係していると思われます。東京都議選の告示日は、来週金曜日の23日に迫っています。候補者全員の当選を目指す公明党としては、いまイメージダウンとなる動きはなるべく避けたいところです。ただ、法案を審議していた、参議院の法務委員会は、公明党の秋野公造氏が委員長ですから、強行採決を行えばイメージダウンにつながる。そこで、この中間報告でそれを回避しようとした、と言えるのではないでしょうか。


組織犯罪処罰法改正案成立~問責、内閣不信任案は虎と素手で取り組むようなもの

森田)国会は、これで18日で閉じてしまう、ということになるのでしょうか?

後藤)そうですね、これで主要法案の国会内成立にめどが立ったわけですから、会期の延長はなさそうです。なおかつ、与党が中間報告という手法を取ったことで、野党は内閣不信任案をはじめとする対抗カードをすべて出し尽くした形になってしまっています。たとえば今日、文部科学省から加計学園の疑惑に関する文書。これに何らかの報告が出されたとしても、不信任案が否決された後ですので、与党側に会期延長による集中審議などを拒否する口実を与えてしまった形となっています。……いま、7時15分、まさに国会で採決が始まりました。記名投票を、いま行っているところです。

森田)わかりました。ご苦労様でした。国会から、後藤記者でした。

高嶋)いつも思うのですが、本当に虚しい民主的な手続きでね。これだけ徹夜で一生懸命反対やら何やら言っても、絶対、いっさいひっくり返る、そういう可能性はないわけじゃないですか。日本の場合。

佐藤)強引なやり方ですよね。しかし野党も、問責とか内閣不信任案というのは、ひっくり返った場合は信任になってしまうのですから。それで、逆にフリーハンドを与えてしまう。それならば何故、国民的な世論を啓発して、むしろ審議を長引かせる方向に持って行かないのか。負けることがわかっていて、それで虎と素手で取り組むような、そういったやり方は、どこまで真面目なのか、逆に思いますね。


安倍総理は、テロを封じるための法であることを、赤裸々に説明するべきである

高嶋)根本的なことなのですが、「テロ」は今、全世界で一番の驚異ですよね? そして人によっては、「今度の法律なんか作らずとも、日本はカバーできる」と言っている人もいますが、たとえば、「ISの影響を受けて」とか、「一人で決意して」とか、いろいろあるじゃないですか。そういうのをいろいろ考えると、どこまで調べても、たとえばイギリスとかだと、「内心の自由」を犯しても、通信傍受を何から何までやっても、テロは起きるわけじゃないですか。

佐藤)ただ、裏返すと、もしイギリスがやらなければ、もっとたくさんのテロが起きていた。それを封じ込めることが、これで出来ている、という見方もあるのです。

高嶋)そうです。だから、私が佐藤さんに伺いたいのは、「なぜ、そういったことを赤裸々に安部さんは国民に向かって、この法案を説明しないのか?」ということです。

佐藤)あの、この法案ではそれが出来ないわけで。この法案というのは、そもそも「マフィア対策」のやつを持ってきて……でも考えてみれば、「マフィアは銭を扱う。テロも資金がいるから、これは使えるんじゃないか?」と。でもテロと戦うためには、あらゆる道具を使わなければいけないのですよ。率直に言って、最近、私の周辺でもありますよ。大学生に接近して、「俺はイスラム国から帰ってきた。2週間、向こうでパクられて(捕まって)強制送還されて、いまはパスポートを持っていない」と学生を煽る。すると煽られた学生が「学校燃えろ」とか書き込みを始める。そういったことがあるのですよ。こういうことに対する対策を「現行法でとれる」と言う人たちは、「イスラム国に送り出そうとしているような、そういったイスラム国の共鳴者がいる」と、ちょっとメンタルをやられている学生をね。捕まえられないじゃないですか。

高嶋)何で、訳の分からない金田法務大臣とか、ああ言うのを矢面に立たせて、のらりくらりになって。

佐藤)だから、本質を分かっていないのです。野党もおかしくてね、現行法で対応できるなら、なぜやらないのか? それは、日本国家の強い意志が分からないから、どう適応すればいいのか分からないのですよ。


国民を信頼し、もっと強く訴えかけるべきである

高嶋)私はすべてにわたって、安部総理というのは、もっと国民の正面に、矢面に立ってほしい。やはり指導者なのですから。

佐藤)脅威の形は変わった。たとえばこの前の、46年間逃げて捕まった中核派。中核派は、「暴力によって日本の革命を行おうと思い、機関誌を持って発表する」と言っていましたが,
実際に行動に着手するまでには距離があるわけですよね。ところが、イスラム国は思想、即行動。だから、思想の中まで入ってそれを見て、「こういう思想を持っている奴は殺せる可能性が極めて高い」ということだったら、内心に踏み込まざるを得ないと、イギリスは考えている。「実は我々もそう考えている」と。それから、あともう1つは、いままで裁判所から令状を取っていた件にしても、そういう「司法傍受」ではなくて、これからは「行政傍受」、つまり「警察の判断でやらせてください、テロに関しては」と、多分政府はそういうことを考えていると思うのです。しかしそれが乱用されたら、国民の権利自由の大きな侵害になるので、この仕組みは与野党を超え、日本の国家としてテロを防ぐために作る。「みなさん協力してください」とそれこそ総理大臣はテレビで訴え、もっと時間をかければ良いのですよ。「オリンピックに間に合わない」と言っても、まだ2年あるのだから。

高嶋)それで、マスコミは、「加計問題があるから、あれを隠すために国会も早々に閉じるんだ」と、だいたいこういう風になっています。

佐藤)そうなると、テロ対策なんて重要な問題に関して、「加計問題」が政争の具になるのですよ。こういう問題は政争の具にしてはいけない。問題の本質というのを見極めて欲しい。選択肢は2つ。「内心に踏み込むリスクはあるが、テロ対策に万全を期す」というそういう道具を警察に持たせるのがシナリオ1。2つ目は、「テロの危険がある。爆発で何百人死ぬかもしれない。しかし内心の自由はもっと大切だから、やらない」、結局、このどちらかしかないのです。どちらを選ぶか? 僕は前者ですね。そして、それはやはり国民の代表である国会で決める。となると、今の法にはいろいろな問題があって、いろいろな反対派の議論があるし、政府の説明も不十分だけれど、「テロ防止」という方向で使えるものは、何でも使っていく。マフィア対策法だって、使えるものがあれば、それは使う。この方向性は嫌じゃないのです。

高嶋)ちょっとズレた言い方かもしれないけれど、昔、「人命は地球より重いから、捕まえた過激派は釈放だ」と判断した政治家がいましたが、なんだか似てますね。もっとギリギリのところまで安部さんは説明すればいいのですよね。

佐藤)そこのところで、国民を信頼してほしいと思うのですよ。それで決まったことに従うというのが、政治の姿勢だと思いますけどね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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