6/14(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
「テロ等準備罪」週内成立へ~加計問題・安倍総理は危機感を感じていない?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
「組織犯罪処罰法改正案」が今週中にも成立の方向~野党は成立の前に内閣不信任決議案を衆議院に提出して対抗共謀罪の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を創設する「組織犯罪処罰法改正案」の参議院法務委員会での採決阻止に向けて、民進党などが提出した金田法務大臣の問責決議案は与党が今日の参議院本会議で否決する見通しです。与党は今週中に参議院本会議で法案を可決・成立させる方針ですが、学校法人加計学園の問題もあり、終盤国会は与野党の攻防が激しくなっています。
民進党・共産党の両野党は昨日「テロ等準備罪」を新設する「組織犯罪処罰法改正案」をめぐり、金田法務大臣への問責決議案提出に踏み切りました。昨日中の参議院法務委員会での採決を阻む為、温存していた切り札を使って採決・強行を防いだ形です。
昨日日比谷公園の抗議集会で挨拶した民進党の蓮舫代表、そして金田法務大臣です。蓮舫代表)刑法の大原則を参議院では採決ありきの行動に出るのでしょうか。絶対にこれは許してはいけないと、改めて訴えをさせていただきます。
金田法務大臣)いずれにしてもこの法案が重要である、必要であるということをこれからも訴え続けていきたい、こういう風に思っております。
与党の方は金田法務大臣の問責決議案を今日の参議院本会議で否決しまして、組織犯罪処罰法改正案については明日の参議院法務委員会で採決して今週中の参議院本会議で可決・成立させる方針です。野党4党はその成立の前に内閣不信任決議案を衆議院に提出して対抗する構えです。
終盤国会は加計学園の獣医学部新設問題もありまして、与党としては早く国会を閉めたいという意向はあるのですが、政府与党としては性犯罪の厳罰化を柱とする刑法改正案の成立も期そういうことで、国会の会期を今月の18日から小幅延長する案を最終調整しております。
一方民進党はその加計学園問題に絡み、獣医学部新設をめぐる事実の隠蔽に加担したということで、国家戦略特区制度を担当する山本幸三地方創生担当大臣の問責決議案も参議院に提出しました。こちらも今日の参議院本会議で否決される方向です。
山本大臣は昨日“総理の意向”などと記載された文書について「既に調査して“総理の意向”などという発言は全くなかったと確認している」とし、再調査をしない考えを改めて示しています。一方松野文部科学大臣は記録文書の再調査について「聞き取り対象の職員は新たに20人前後を加えて、合わせて30人近くになる」と明らかにした上で次のように述べ増ました。松野文部科学大臣)文部科学省では既に追加調査に着手をしているところであります。公表の時期でございますが、今営為調査に取り組んでいるところでございますけども、速やかに公表していきたいと考えております。
こう述べて結果の公表時期は明らかにしなかったのですが、野党民進党は今日正午までに公表するようにという風に求めているのですね。
世論の関心が重要になってきている高嶋)もう本当に安倍さんの“日程ありき”というような、スケジュールというのがバッチリ決まっていて、世間がどう騒ごうと野党が何を言おうとそこで閉めてしまうのだという、その強い意志が一番先に感じ取られるのですよね。
この共謀罪、テロ等準備罪、これについて国民に「そんなに心配することは無い、政府を信用してくれ。具体的にはこういうわけ」という説明が無い。“277”というのがとても問題になっていますけども。全く関係無いようなものまで全部入っていて、そしてとどのつまりはいわゆる我々の電話とかメールといったものも全部調べられる、そういう風なある種世の中に「テロ」というものの名の上に我々の生活を縛ろうという、そんな意図が見え隠れする。
野党は、さっき蓮舫さんは金切り声を上げていましたけど、あれはあれで全然響かないのですよね。「あんたそれもまた違うんじゃないの?」と。どうしたら良いのかという、この辺について鈴木さんはどういう風に思いますか?鈴木)どうしたら良いのかなかなか難しいところですけど、ただひとつの例を言うと、もちろんいわゆる共謀罪と言われているものもそうですけども、いろんな政治テーマがある中で僕がひとつポイントになると思うのは加計学園問題だと思うのですね。
文書がある・ないだとか調べる必要が無いとか確認できないとか、もう子供騙しみたいな答弁をずっとやっているわけですよね。これをやはり調べようと動かしたのは、メディアのある種の政権に対する厳しいチェックではないかと。これは例の菅さんの記者会見でかなり激しく記者たちが迫った場面がありましたよね。それに伴いやはり世論が盛り上がって来る、世論調査なんかで数字が上がって来る。ここが最終的には政権に「これはまずいぞ」という危機感を与える訳ですよね。やはりポイントはそこなのだろうなと思う。
もちろん第一には「野党もうちょっと頑張れ」っていう話ですが、高嶋さんもおっしゃるように響かないのであれば「じゃあ手は無いか」というのではなく、やはり僕は世論の関心だと思うのですよね。高嶋)文科省の“総理の御意向”問題ですけど、あれだって受け取った側だけ調べるというのは変なことで、それを出した内閣府の方もなぜ併せてやらないのですか? おかしいじゃないですか。
鈴木)おかしいです、おっしゃる通り。結局その辺が手順としてはまず文書が本当にあったのかどうかそこが入り口ですけど、これはもし文書があったら、高嶋さんがおっしゃるようにそこに載っているのは内閣府なのだから。
しかも前川さんは実際に内閣府の人と会って「言われた」と証言しているのですから、そういう意味では内閣府の方も同じ土俵に上がって来て、私はいつも「全員証人喚問」と言っていますけど、これをやらないとこの問題は解決しない。だけど政権の方が風穴を開けてしまったと僕は思うのですよ。
だから文書があったら、今言った様に当然「じゃあ次の人に聞かなきゃね」と。話はどんどん大きく広がっていきますからね。高嶋)世間の空気は、もうあの文書は皆あったと思っていますよ。それで前川前事務次官も個人攻撃をいろいろされていましたけども、ついこの間まで事務次官をやっていた人が、記者会見で告発した、あれは何だか信じられる言葉だなと。
それに対していわゆる政府側が誠意を以て答えていないのですよね。とぼけようとしていて。菅官房長官もボケは下手なのですよね。
加計学園問題の都議選への影響は少なくない高嶋)ひとつ不思議なのは、私は世論調査というのを少し注目していて、この間のNHKの世論調査で支持率が50%を切りまして48%の支持率となっていましたね。
それで人によっては「東京都議会議員選挙で加計学園は関係無いでしょう」と言っている人もいますが、それはどう思われますか?鈴木)これは実際に自民党の都議選の候補の人たちと何人か取材をさせていただきましたが、これはやはり響くと。特に東京というのは無党派層が非常に多くて、そういう無党派の人たちは地域の問題よりも風とか時の政権のテーマとかに非常に左右されるのですよね。
あるベテランの自民党の候補が言っていたのですが、今度の選挙は自民党が総理をはじめ皆全力で入って来て応援すると言っているじゃないですか。この加計問題が引きずればむしろ応援に入って欲しくないと。そういう風になってしまうかもしれないという本音を言う人もいるのですよね。
あとは支援者。自民党の支援者が「流石にこの加計問題の対応はまずいだろう」と。無党派だけではなくて支援者もそう言っているので、これは都議選にはかなり影響が出る。だからこそそれまでに何とかケリをつけるように動いているのだと思います。高嶋)これはもしかすると、安倍総理なんかは「俺たちは関係無い、何もしていない」と。森友のときもそうでした。「何かあったら俺は辞めるよ」のような売り言葉に買い言葉みたいなことも言ってしまった。だけどつまずいた石くらいにしか思っていない。大事だと思えばもっと説明するはずですよね。
だけどこの調子でいくと、憲法改正云々と言っていますけど、来年の総選挙とかを打てなくなるじゃないですか。鈴木)おっしゃる通りです。さっき言ったように風穴が空いた、文章のところで突っ張っていたものを「調べます」と態度を変えた。少し穴が開いているけど、これはどんどん広がっていく。それがボディーブローのようになって支持率に影響してくる。そうすると思い描いている憲法改正とかもできなくなってしまいます。
高嶋)加計学園は蟻の一穴であると。
鈴木)そこまでイメージして安倍さんがどういう風に謙虚になるかというところですよね。
高嶋)本当の意味で危機感を感じていると思います?
鈴木)僕はそんな感じは、安倍さんの周辺でもしないですね。ただ安倍さんの官邸から離れているところ、例えば自民党本部にいる幹部とか、それから今一線の都議選で戦っている人たち。離れたところの人たちの方は危機感を持っています。
高嶋)とりあえず東京都議会議員選挙で、いろんな問題があるけれども、やはり自民党に対しての色合いというのを消しきれないという風に分析されているのですね。
鈴木)そう思うし、それが今後の政局に影響を与えると思います。