6/12(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!①
1億総活躍社会の目玉政策として検討されていた「65歳定年」
6:29~ニュースやじうま総研ズバリ言わせて!:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
なぜ65歳定年なのか?安倍内閣がアベノミクスの第2ステージとして掲げた「1億層活躍社会」。その中の働き方改革の目玉政策が「65歳定年制」。希望する従業員全員の雇用を65歳まで確保するよう「定年退職制度の廃止」「定年年齢の引き上げ」「再雇用制度」のいずれかを実施することを義務づけるというもの。
高嶋)「1億総活躍社会」の目玉政策で、「65歳定年」が検討されていました。政も官もみんな一律でやってしまおうと、コレが検討されていましたが、これは良い話なのでしょうか? それとも、という話なのでしょうか。
須田)両方でしょうね。結果的にコレは財界経済界の強い反対にあい、お蔵入りになっているのですよ。そもそも1億総活躍社会というのは、一昨年の9月に安倍さんが総裁選で再選されたことを受けて出てきた政策コンセプトなのです。しかも去年の9月に、このプランが閣議決定されています。それをもって動き始めた、ということなのですが、その間が1年あったわけですよ。一昨年の9月に出てきて、閣議決定のプランが承認されたことを受けて。その間に、「65歳定年」というのが文言として盛り込まれ、その通りに企業、あるいは官公庁が動くという青写真を描いていたのですが、それが先送りになってしまった。では、「なぜ65歳定年なのか?」ということを考えてみると、いくつかポイントがありますが、その1つに、年金財政の問題があります。「70歳で支給開始しよう」とかね。僕が取材や見聞きしたところでは、将来的に厚生労働省は75歳程度まで年金の支給年齢を上げていくと考えているフシがあるのです。そういったところがチラチラ出てくる。
高嶋)背に腹は代えられない、というやつですね。
須田)ええ。それで、75歳年金支給となると、その間どうするのか、と。現状の60歳前後の定年という状況では15年もあるわけですから。そうすると定年を延長してもらい、さらにそこから先の再就職ということを考えていかないと、15年も再就職、新しい職場で、というのはちょっと長すぎるぞ、というところがあって。その間については、最初に新卒で雇用、採用した企業にも負担を持ってもらおうという、そういう発想なのです。だから年金問題と1セットですね。
65歳まで働けるが、年金は75歳から高嶋)働く側はどうなのですか? 65歳まで、というのは。定年制になって保証されるというのは、これは有利なことなのでしょうか。
須田)身分が固定されるということですから、安定性は持ちますよね。ただ、その間の給料、退職金がどうなるのかという話はさておき、とりあえず雇用が確保されるという点では、安定に繋がる。
高嶋)でも、とりあえず財界はそれを拒んだ、と。
須田)もちろんそうです。人件費の増大につながりますからね。雇用の計画に狂いが出てくるということもありますから。
高嶋)政府は、その65歳、官も民も一律の定年制にして、どういう風にその後をしていこうと目論んだのですか?
須田)65歳まで定年を延長して、その間にきちんと老後の蓄えができた人に関しては、言ってみればリタイアしてもらっても良いですが、大多数の人たちは再雇用、再就職という道になっていくという、そういう考えだと思います。
高嶋)「75歳から年金」となると、これは相当つらいですよね。
須田)生活設計が全部狂ってしまいますからね。
高嶋)みんなそうやって尻をこっちへ持ってくるのですよね、本当に。何か、言ってやってくださいよ。
須田)ええ。加えて、あとは消費税の先送りの問題もありますからね。年金、介護、医療。この財源確保という点では、上手くいっていないという状況もありますから。
高嶋)何となく釈然としない話ですが、これはもう全部消えたと考えてよろしいのですか?
須田)いや、そんなことはないと思います。だって、年金財政のところは何も結論が出ていませんから。
高嶋)では、いずれこの流れになっていくということなのですね。65歳まで、喜んでばかりもいられない、そういう話ですね。