スイーツ男子が注目の期間限定で復活の昭和菓子【報道部畑中デスクの独り言】

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私は普段、報道部で仕事をしていますが、自称「スイーツ男子」でもあります。("男子"と言うにはおこがましい年齢ですが)先日、コンビニでこんな商品を入手しました。
グリコのロングセラービスケット「ビスコ」の「ダブルチョコ」です(5枚×2パック 110円)。これは2014年、3年前にコンビニ大手のセブンイレブンとのコラボで出した期間限定の商品で、この時期になると「コロン ダブルチョコ」とともに店に並ぶようです。

ビスコとコロン 何やら人気デュオのよう「ビスコ ダブルチョコ」(右)「コロン ダブルチョコ」(左)

これまでのビスコの優しいおいしさに深みが加わった、まさに「おとなビスコ」とでもいう味です。ちなみにダブルチョコというのはビスケットの部分とクリームの部分両方にチョコ(正確にはココアパウダー)が使われているということ、江崎グリコによると、何でもアイスコーヒーに合うビスコを目指したということです。

私はこれを食し、約40年来離れ離れになっていた大切な人に再会したような思いがしました。往年のある菓子が私の脳裏によみがえってきたのです。
その菓子の名は「チョコナッチェル」…同じ江崎グリコの製品です。ビスコは「グリコ」や「ポッキー」と並ぶ、押しも押されもせぬグリコの定番商品ですが、このビスコを事実上、高級化した「ナッチェル」というビスケットがありました。私が小学生のころ、記憶が正しければ昭和50年代初頭、当時のビスコはひと箱50円、対するナッチェルは70円。何でも遠足のおやつ代の上限が150円の時代です。子供のお小遣いではやや厳しいお値段でした。しかし、カタカナで書かれたビスコに対し、アルファベットで「Natchel」と書かれた朱色の箱は高級感があり、ビスコから一皮むけた風情でした。中身も小麦胚芽入りという、当時はその意味がよくわかりませんでしたが栄養価も高く、確かに美味。サクサク感が一段とアップし、何か大人に近づいたような気分になりました。
このナッチェルにその後、チョコレート味が追加されました。「グリコ チョコ~ナッチェ~ル♪」と口ずさむ岡田奈々さん(AKBではありません、念のため)とともに箱が映し出されたCMがありました。"ノーマル"ナッチェルの縦長のパッケージを横倒しにし、チョコの茶色を縁取ったデザインはさらなる高級感を漂わせます。サクサク感にまろやかなチョコレート味、価格はノーマルよりさらに10円高い80円。なかなか買えないこのお菓子は私にとっては宝物でした。
この製品、やはり高価で売れなかったのか、短命に終わります。ある日、私の家にいとこがやってきました。母親はせっかく来てくれたのだから何かお菓子を持たせたい。が、あいにく持ち合わせがありませんでした。母は私が持っていたチョコナッチェルを「後で返すからいまだけ譲ってくれ」と言います。私にとっては少ない小遣いで買った大切なチョコナッチェルです。内心いやいやでしたが、いとこのおみやげ用にしぶしぶ渡しました。
思えば、この時がチョコナッチェルとの"今生の別れ"でした。その後、チョコナッチェルはひっそりと生産を終えます。母は店を方々捜したものの見つけることができず、代わりに渡されたのが明治のストロベリーチョコでした。(名誉のために…もちろん明治のストロベリーチョコはおいしい。現在にも続くロングセラー商品です)

あれからほぼ40年。実はナッチェルという商品そのものは数年前に一度復活しています。しかし中のクリームはメープルシロップ味で、チョコ味の再来はありませんでした。チョコナッチェルはビスケットの部分にチョコチップをまぶしたという凝ったもので、今回の「ビスコ ダブルチョコ」のような全面にココアパウダーを練りこんだものではありません。しかし、今回のビスコのこれまでの世界から突き抜けた製品は、離れ離れになっていた大切な人を思い起こさせるのに十分なものでした。
チョコナッチェルという製品、インターネットでググってもほとんどヒットしません。江崎グリコ内部の人からも忘れられた存在なのかもしれません。しかし、小学生の私にとっては宝物であり、豊かさと喜びを感じさせてくれたお菓子です。「ビスコ ダブルチョコ」を食すたびに、こげ茶のラインが入ったパッケージのチョコナッチェルの復活を願ってしまいます。
ちなみにこの話を妻にしたところ、妻は子どもを見守るような目で聞いていたことを付け加えておきます。

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