イ・ボミ「ようやく叶う7年間の願い」とは?
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2017年、女子プロゴルフ界、最大のニュースといえばイ・ボミの不調でした。昨年、11月以来、優勝がなし。しかし、昨日まで神奈川・箱根で開催されたCAT(キャット)レディースで、9カ月ぶりのツアーVを果たしました。
ゴルフは知らなくても、ボミだけは知っている。今や、日本のゴルフ界でナンバーワンの知名度と、人気を獲得しています。他の外国人選手が優勝すれば、ネット上で、日本人選手、もっと頑張れ。だらしない。そんな意見が飛び交います。ところが、ボミの場合はおめでとうの書き込みばかり。どれほど強くても、アンチファンのいないスーパースターと言えます。
「絶対、良いことばかりは続かない。スランプは必ずやってくると思った」
「1位でい続けることは、とてもしんどいです。これから、私もどんどん年齢を重ねていくのですから、フィジカルもきつくなるでしょう」
と覚悟をしていたそうです。
その上で、
「ゆっくりと下がっていきたい。今年は、自分にとっていいことばかりを考えようと思ってきました。でも、わかっていてもできなかった」。
スーパースターの孤独とは、そんな状態を言うのでしょう。加えて、2年連続の賞金女王を獲得し、一種の燃えつき症候群に陥ったわけでした。
「悪い時は、どれほどあがこうとダメなものはダメ。かといって、あきらめてはいけない。必死に努力を続けていれば、きっと解決する時がくる。今の苦境を這い上がれば、もっと強くなれる、と自分へ言い聞かせてきた」
と、笑顔の裏の苦悩を激白しています。
また、20日は28歳最後の日。今日、21日は誕生日です。大会が開幕する前から、
「いい週末にします。なるような気がしている」
と復調をアピール。昨日、試合終了後、韓国へ戻りました。今週は、生まれ故郷で開催される試合へ出場予定。
「来年の平昌オリンピックの広報大使をしている関係もありますからね。ふるさとも盛り上げなくてはいけません」
と話しています。
久々の優勝を喜ぶのは当然のことですが、それ以上の悲願が昨日の勝利で結実しました。まだ本決まりとはいかないものの、日本女子プロゴルフ協会の会員に加わる権利を獲得したのです。これまで規定では年に1度のプロテストを受験して合格しなければ、いくら強くても会員にはなれなイ・ボミは、事あるごとに、
「私がどれほど日本ツアーで優勝しても、会員として認められません。何とかなりませんか」
と訴え続けてきた経緯があります。ここまでアピールしたのは、ボミが日本ツアーでずっとプレーして、日本で現役を終える覚悟を決めているからです。
昨オフ、トーナメント規定が改正されました。17年シーズンから、ツアー優勝を飾った選手には、申請を行えば、理事会の承認を受け、会員になることができる、いわゆる『イ・ボミルール』がスタートしたわけです。
この日、
「7年間の願いがようやく叶います。本当にうれしい。私って、ストーリーのある選手ですね」。
今日は、晴れ晴れとした気持ちで、29歳を迎えたことだと思います。
8月21日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」