サッカー日本代表・井手口陽介を一念発起させた母の言葉とは?
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90分間、フルに走り続けるフィジカル。そして、相手の強烈なガードにも倒れることがない。久々にすごいシュートを見ました。6大会連続ワールドカップ出場を決めた、昨日のオーストラリア戦でMVPといえば、井手口でしょう。J1ガンバ大阪の守備的ミッドフィルダー、ボランチは、大一番で輝いた。アジア最終予選、最大の収穫と言っても過言ではないでしょう。
その容姿から、エーッと思われるかもしれませんが、チーム最年少の21歳。すでに妻子がいて、母の亜紀子さんとともにスタジアムで声援を送っています。福岡県福岡市生まれ。現在、JFLのFC大阪に在籍する、兄・正昭が阪南大学でプレーしたことがきっかけで、母とともに大阪へ転居、ガンバ大阪のジュニアユースへ加入します。全国的には無名でしたが、「とんでもない選手が来た」と大評判。高校時代にすでにトップチームへ昇格させるほどの逸材だったそうです。
追手門学院高では、遅刻魔。一念発起したきっかけは、亜紀子さんが高2の時、大病を患ったことでした。
「もう勉強はいいから、サッカーだけは一人前に。誰にも負けない選手になってほしい」。
とうとうと病床で諭された。本気になれば、年齢など関係はありません。他人をほめたことがない元日本代表の遠藤が、
「陽介は本当にすごい」
と大絶賛。長谷川監督も、名指しでほめることはなかったものの、リオデジャネイロオリンピック代表へ選出されると、
「遅すぎるぐらい。A代表で十分にやれる」
と太鼓判を押しました。もっとも、ヒゲや茶髪がお気に召さない印象もありますが…。
ハリルジャパンへ見出されたのは今年。3試合目の出場でした。評価をあげたのは、前回のイラク戦。
「相手をけずるぐらいの気持ちで、勝負しろ。それがボランチだ」
と送りだされ、試合中に後頭部を強打。脳震盪で途中交代しています。が、この激しさはハリルホジッチ監督がボランチに求めていたもの。今回も体調の良さを評価されスタメン起用されました。
最も苦しい時間帯だった後半37分に放ったミドルシュートは、オーストラリアの反撃をしぼませた、値千金弾。
「たまたまです。狙って枠へ入れればいい」
と振り返っていますが、この発言にガンバの担当記者が驚いた。寡黙で多くを語らないタイプだったからでしょう。さらに、
「代表で、活躍すれば育ててくださった人に恩返しができる」
とも語っています。
レギュラーを固定せず、就任28試合で27通りのスタメンを試す。何をしたいのかわからない。その発言からも、食えない人だったハリルホジッチ監督が、事前に予告した、
「わからない選手が出る」
と語った1人が井手口。4-3-3のシステムで、香川と本田を起用しない。新しい日本代表が来年のワールドカップロシア大会へ向けて、スタートを切ったメモリアルゲームです。
9月1日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」