男子バスケットボールリーグ、Bリーグの2年目のシーズンが29日、開幕します。オープニングゲームのチケット販売は各チームが好調。昨年の、3倍以上の売れ行きです。田臥の所属する栃木はBリーグ初代王者。1年間のチーム売り上げが、初めて10億円を突破しました。ホームのブレックスアリーナ宇都宮は、400席増設するなどさらなる人気拡大を狙っており、連覇へ向けチーム一丸の姿勢が好印象。
田臥は高校時代から、日本バスケットボール界の顔として君臨しています。何しろ、世界最高峰、NBAでプレーした最初の日本人選手。もっとも、4試合出場で、計17分間でしたが、MLBとは比較にならないほど高い壁が待ち受けていたのです。2メートルを超える選手にまじって、173センチの小さな日本人は異彩を放ちました。
神奈川・横浜市出身で、「太くて勇ましい、男になってほしい」という植木職人のお父さんの願いで、勇太と名付けられたそうです。小柄ですが、足のサイズは29センチ。しっかりとした足元が、抜群のスピードを生みだし、36歳の現在もチームの中心として活躍しています。
米国から帰国した08年からJBLの栃木へ。当時は能代工時代の恩師、加藤三彦さんが監督をつとめていたのが縁です。レギュラーシーズンが60試合あり、コンディションをいかに保つかが難しい。田臥は、あのキングカズのように、節制に次ぐ節制の毎日。
「お酒はしばらく飲んでいません。元々、飲みに行こうというタイプではないし…。夜9時以降、一切の食べ物を口にしない」
など、頭が下がるほど自分へ厳しい。
では、息抜きはどうしているかというと、
「これといった、趣味がない。しいてあげると、オフになってアメリカへ行き、トレーニングをする。それが生きがいで、息抜きでしょうか」
と話しています。試合前、必ずコーヒーを飲む。
「集中力がアップするから」
と説明し、シューズへも他の選手の何倍も気遣いを忘れない。
「シューズを履く時、10分以上、時間をかける。5本の指が、しっかりと完ぺきに動く結び目の強さがありますからね」
と言います。
これは、プロ野球で守備の名手がグラブを、とても大事にすることと同様。
「新しいシューズで試合へ臨む際は、1カ月半から2カ月ぐらい時間をかけて準備をします」
と、徹底的なこだわりがある。常に初心を忘れず、最善の準備を整えることは、イチローをほうふつとさせます。
田臥にとって、自身の存在をアピールすることは低迷する男子バスケットボール界の発展に寄与することになります。女子代表はリオデジャネイロオリンピックでベスト8を果たしているものの、男子代表にいたっては、モントリオール大会を最後に出場がなし。2020年東京オリンピックでも、開催国とはいっても、実績をあげなければ出場資格が与えられない有り様です。
ようやくトップリーグの統一を果たし、19年に中国で開催する、ワールドカップへ最低でも出場しなければなりません。
「ダメだと言われ続けている。実際、やらなくてはいけない最後のチャンスでしょう」
と、連覇のその先も見据えています。
9月28日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」