ヤクルト・小川淳司新監督 再建めざして4年ぶりに現場復帰
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セ・リーグは、レギュラーシーズンがまもなく終了。阪神-中日戦を2試合残すだけとなりました。当然、クライマックス・シリーズ進出を逃したBクラスのチームは、来季へ向けて動いている。最下位に終わったヤクルトは、真中監督の退任で、前監督の小川シニアディレクターの再登板が今週中にも発表されるでしょう。
今季は、45勝96敗2分。勝率が何と3割1分9厘という惨たんたる状況です。そして、リーグ連覇を果たした広島には、44ゲーム差をつけられた。2005年、スタートしたばかりの楽天も、かなり負けた印象が残っていますが、97敗で、ヤクルトとは、わずか1敗の差。それほど悲惨です。いくら故障者が多かったといっても、これを再建するのは並大抵ではありません。
真中監督がシーズン中、辞意を表明してから、高津2軍監督の昇格、古田元監督の名前が浮上したものの、決め手はいまひとつ。9月中旬、小川SDが現場復帰することが内定したようです。10年途中で高田監督が辞任して、監督代行となり、11年から4シーズン監督をつとめました。託せるのはこの人しかいない。確かに、そうかもしれません。
歴代監督で野村、若松に続いて勝ち星では3位。しかも、2年連続でAクラス入り監督は広岡、野村、若松、そして小川の4人だけです。今回の再登板にはたらいまわしなど、というファンの声も聞かれたものの、フロントから現場を常に見ていた小川はうってつけの人材といえるでしょう。
小川SDは以前から、
「おれは、勝負の世界には向いていない」
と言います。1年間、トレードで移籍した日本ハム時代を除けば、スカウトなどの編成業務を含めて、ずっとヤクルトひと筋で働いてきた。
「人にやさしすぎる。自分で言うのもおかしいけど」。
小川SDを悪く言う選手、スタッフ、それから担当記者もいない。
山田、川端、畠山など中心選手を育ててきたのも、小川SDです。とりわけ、山田は小川SDを恩人として慕っている。山田はヤクルトが希望球団でした。10年のドラフトといえば、早大・斎藤佑樹が話題を集め、ヤクルトも1巡目で指名しますが、日本ハムが交渉権を獲得し、失敗しました。重複2回目は塩見貴洋でしたが、楽天と競合。これまた、はずれとなり、3度目でようやくオリックスとの一騎打ちで、山田を引き当てた。ヤクルトに入団できたのは、当時の小川監督のおかげと山田は感謝しているわけです。
人情家の父は、保護司という顔もあった。犯罪者を更生させるサポートを行っています。「悪い出会いがあったから、犯罪の道へ。犯罪者は出会いの失敗」という父の言葉を聞いて育ってきただけに、指導者になってからは、「選手にとって、(自分との)出会いが失敗にならないように」と心掛けているそうです。
組閣も急ピッチで進行中です。ヘッドコーチへ、うるさ型の宮本慎也氏の招へいするなど、話題も多い。どん底状態から、どうやって這い上がるのでしょう。小川SDは、
「プロ野球チームにとって一番大事なことは、お客さんが入ってくれることです。そのためには、勝つことが重要です」
と何度も話している。独自の観察眼をもって、偉ぶらずに、最大のサポートを行います。
10月5日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」