横浜DeNA・桑原 大躍進のきっかけとなった意外な理由とは?

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桑原将志

【プロ野球CS1阪神対DeNA第3戦】1回 ホセ・ロペスの先制適時打で生還したDeNA・桑原将志(中央)=2017年10月17日甲子園球場 写真提供:産経新聞社

セ・リーグのクライマックス・シリーズ ファイナルステージ。横浜DeNAが19年ぶりのシリーズ出場へ、王手をかけました。ペナントレース終盤からよく耳にするのは、ラミレスチルドレン。名将への階段をのぼりつつある、ラミレス監督が独自に見出した選手たちです。首位打者を獲得した宮崎、倉本、戸柱に加え、桑原もその1人。

「セ・リーグでは、ナンバーワンのトップバッターだと思う」

とタイコ判を押しています。昨日は見事な同点タイムリー。

ラミレス監督は就任1年目の昨年、1番バッターを9人入れ替えました。その中で今季、レギュラーに抜てきされたのが桑原です。信頼が厚く、乙坂、荒波などかなりのいい選手がいるにもかかわらず、少々の不振でも替えようとはしません。唯一の指示は、

「ファーストストライクから積極的に行け」

です。

「仮に、私がジャイアンツの監督だったら、もっとガミガミと選手へいうかもしれない。でも、若い経験のない選手へいろいろなことをいえば、それはプレッシャーに変わるだけ」

とラミレス監督の期待は相当なものです。

桑原は2011年ドラフト4巡目で、福知山成美高から入団。よく言われる1軍半の選手でした。転機となったのは、2015年。10月21日の中日戦でデッドボールを受け、左手首を骨折しました。「気分転換も必要だ」と先輩の林昌範からアドバイスを受け、左目付近にあったホクロを切除。オフは、リハビリと単独でトレーニングを精力的にこなしたこともありますが、これで気分も変わった。

16年は乙坂とセンターのレギュラー争いを行い、6月からレギュラーへ抜てきされています。174センチと小柄ながら、長打力がある。今シーズンは巨人戦で大活躍しました。6月24日は、菅野から6打点をあげ、7月1日にはマイコラスから先頭打者ホームランを放ち、9回に逆転の満塁弾を叩き込んでいます。ちなみに、初回の先頭打者本塁打を放った選手が、9回に逆転満塁ホームランを打った記録は、日本球界はもとより、MLBにもなし。そんな大仕事をしても、

「たまたまです」

と、控えめな言動は変わりません。

ラミレス監督は、いつも、

「桑原が活躍しないと得点があげられない」

と言います。チーム断トツの87得点。理想の選手は石井琢朗。横浜が日本一になった98年、マシンガン打線と呼ばれました。桑原は、

「174安打、103得点。それから、出塁率が3割8分9厘でした。その記録を抜くことが目標。そうすれば、チームはもっと強くなると思います」

とスラスラと答えます。

「とにかく、つなぐことを考えている」

とフォア・ザ・チームに徹しているものの、ベンチを常に盛り上げている。昨日、3連勝を飾ると、外野の3人が勝利のヒップタッチを行いました。いわゆる儀式。ところが桑原はうまくいかずに転倒し、スタンドの笑いを誘っていました。不思議な魅力の持ち主です。

セ・リーグ初の下剋上なるか。キーマンは桑原です。

10月24日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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