横浜DeNA・乙坂智 お父さんは元アイスホッケー選手の米国人

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乙坂智

【プロ野球セ・リーグ DeNA対ヤクルト 24回戦】9回、ソロ本塁打を放ち三塁へ向かうDeNA・乙坂智=2017年9月7日午後、横浜市中区の横浜スタジアム 写真提供:産経新聞社

試合時間、4時間35分。雨中の大接戦で勝利を引き寄せたのは7回、1点を勝ち越し、1死1、3塁の場面で登場した代打・乙坂のひと振りでした。

「最高の結果。チームに貢献できて良かった」

絶対に負けられない試合で、今シーズン最高の仕事をしています。チームメートからは、やさしさの魔人と呼ばれるほどのナイスガイは、福井県生まれで、横浜出身。

小学生時代から横浜スタジアムへ通った、筋金入りのベイスターズファンです。最寄りの関内駅に降り立つと、目が輝く。

「駅を出て、屋台を通り抜けると、スタジアムの照明が見えてくる。その瞬間、ワクワクしてドキドキ。それがたまらない」

夢見たのは、自身がベイスターズのユニホームを着て、活躍することでした。あこがれたのは、2塁手だったこともあり、石井琢朗。そして、金城龍彦となかなか渋い。

横浜高時代は、甲子園へ出場。横浜スタジアムへ足を運ぶと、周囲の観客から、

「乙坂くん、ぜひ、ベイスターズでプレーしてください」

と激励されたそうです。高校1年時、3年に筒香がいた。

「常に謙虚でいることを教えてくださった。プロに入っても、野球人である前に、人は謙虚でいなければならない」

と言われています。

「通用するわけがない。進学をした方がいい」

と、両親はプロ入りに猛反対でした。プロ志望届を出す前、反対されたことが原因で、家出をしたこともある。それほど、一途な気持ちを持ち続けました。さすがに両親も本人の希望を聞き届け、2011年ドラフト5巡目で指名を受けた経緯には、頭が下がります。

1軍初打席は14年5月31日のロッテ戦。9回、代打で登場します。その直前までベンチでジッと精神統一。「いくぞ」と声をかけられると、目薬をさした。史上57人目の初打席、初本塁打を達成。ダイヤモンドを1周して、ベンチで出迎える中畑前監督が大喜びしていたシーンを思い出します。

お父さんは元アイスホッケー選手の米国人。端正な顔立ちで、ダルビッシュにも似ている。とはいえ、いわゆるチャラい面が全くなく、天性の人見知り。生まじめで野球ばかりに取り組んできました。たまたま、電車で隣り合わせた女子高生が、スマートフォンを取り出すと、そこには乙坂の写真が待ち受け画面に。あまりのはずかしさに、逃げ出したエピソードもある。やさしさの魔人は、

「横浜で育ち、横浜の人からずっと応援してもらっています。とにかく、恩返しをしたい」

と初心を忘れません。

プロ入りしてからも、ファームで過ごした際は、横浜スタジアムへ通っていたそうです。

「スタンドから自分が活躍する姿をイメージするため」

雨中の打撃戦での大仕事は、小さな努力の積み重ねがもたらしたものでした。

10月16日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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