ライターが語る「インタビューの秘訣」

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現在、ラジオ業界を中心に、雑誌やWebなど様々メディアでライターとして活動している、やきそばかおる。ニッポン放送吉田尚記アナウンサーらと共に、毎週月曜21時から配信中の『週刊ラジオ情報センター』では、独自の目線で発掘した注目のラジオ番組を、いくつもピックアップし提供している。

「日本一ラジオを聴いている」といっても過言ではないやきそばに、配信番組『週刊ラジオ情報センター』でも共演する放送作家シオンJr.が、インタビュー。やきそば自身の活動やこれまでの経歴、そして記事を書く上で行うインタビューについて大事な事を聞いてみた。

ライターが語る「インタビューの秘訣」

シオンJr.(以下、シオン):ライターや番組出演などいろいろ活動されていますが、やきそばさんの本業はなんでしょうか?

やきそばかおる(以下、やきそば):元々はテレビ雑誌や単行本などのライターをやっていました。ラジオが好きであることをアピールするようになったのって、BRUTUS (ブルータス)のラジオ特集を担当させてもらってからなんですよね。それより前も、Twitterでラジオの話をつぶやいていたんですけど、ラジオが好きな人ってわりと内に秘めちゃうんで、なんのイイねも付かないしリツイートもされなくて。それで一時期あんまりツイートしてなかったんですけど、でもBRUTUS (ブルータス)でラジオの特集をやるにあたってやっぱりつぶやこうと思って。だから、基本はやっぱり雑誌なんですよね。

シオン:ライターの道にはどうやって入ったんですか?

やきそば:25歳のときに上京してるんですけど、そこから文化放送の放送作家塾に行ったんです。15人ぐらい塾生がいたんですけど、なんか遠慮がちな人が多くて、授業始まる前もシーンとしてて。その中で、僕と同い年の会津くんの2人だけ、ずっとバカ話してたんですね。当時文化放送で、知念里奈さんの番組が放送されていたんですけど、その番組なぜか暗いお便りが多くて、ある週に読まれたハガキが、「高校卒業して卒業証書をもらったんですけど、高校生活なにもいいことがなかったので、卒業証書を破り捨てて帰りました。」と(笑)なぜ知念さんはこのハガキを採用したんだと(笑)思って。

シオン:(笑)

やきそば:そういう話を会津くんと2人で喋ってたら、2人は威勢がいいという話になって。そんな中、たまたまとあるテレビ局のプロデューサーが授業で来られて、企画を3つ考えてくださいと言われて、そこで出した企画の1つが、たまたまその人が考えていた企画に近かったんです。それで、「来週から音楽番組の会議出ませんか?」って言われて。

シオン:そこからいきなりデビューってすごいですね!

やきそば:運が良かったんですよ。で、リサーチャー兼作家としてミュージシャンの取材に行って、例えば奥田民生さんとかエレファントカシマシの宮本浩次さんとか。

シオン:それは1人で行ったんですか?

やきそば:先輩と2人ですね。僕はまだ上京したばかりで右も左も分からなくて。ポニーキャニオンに15時集合って言われたら遅れちゃいけないと思って、集合時間の1時間前に行ってたんですよ。それで近くのマクドナルドに行って予習をするとか調べ物をするとか。でも先輩は心の距離の詰め方が上手いんですよ。僕はド緊張してるけど、先輩は慣れてて「最近元気?」みたいなところから始まるんですよ。「うわ、タメ口で喋ってる!」と思って。僕はこのタメ口で話せるようになるまでに、何十年掛かるんだろうみたいな。でも質問をしないと仕事してないことになっちゃうんで、僕も質問も考えていくんですけど、2~3個出すのが精一杯で。

ライターが語る「インタビューの秘訣」

シオン:質問入れるタイミングって、自分で掴むんですか?

やきそば:そうですね、ちょっと間が空いたときとか。「ととと、ところで…」みたいな(笑)もう声カラッカラで、緊張してるのもバレてるんで。本当は質問を投げかけて盛り上がるのが理想なんですけど、何となく無難な会話に終わっちゃって、終わったあとずっと1人で反省してるような感じでした。

シオン:そうした経験をきっかけに、雑誌の世界へということですか?

やきそば:5年ぐらい作家の仕事をやって、そのあと雑誌にいきました。今度は形に残るものをやりたいと思って。一番初めは「テレビブロス」の高田純次さん特集でのインタビューでした。僕の尊敬する高田純次さんで、僕は2004年から「高田純次 発言集」というのを作っているんですが、それが縁で編集部から声をかけていただいたんですけど、ご本人を前にしてドキドキしてて。

シオン:雑誌の世界とテレビとの違いってありますか?

やきそば:空気が違いますね。番組にもよりますが、テレビは、気の利いた発言ができないと怒られるってのがあって、ピリピリ感がすごいんですよ。メインの全体会議と分科会っていうのがあって、分科会は数人でワイワイ話すんですけど、全体会議は30人ぐらい集まるんで本当に胃が痛くて。

シオン:僕の知り合いも会議参加してましたけど、大先輩数人が喋ってる中に割って入って発言しなければいけないので、やっぱり緊張してましたね。ちなみに、雑誌とテレビ以外もやってたんですか?

やきそば:もう1つ、浅井企画の作家セミナーに行ってたことがあります。コントってどうやって作ってるんだろうと思って。僕は元々コサキンが好きでハガキを出してたんで、関根さんと小堺さんに憧れがあったんですよ。それで同じ空気吸いたいと思って作家セミナーに通うようになって、そこでも文化放送のときと同じ状況が起きたんですよ。作家セミナー30人ぐらいいるんですけど、大人しい人が多くて。

シオン:作家になりたい人って結構そういう人が多いですよね(笑)

やきそば:頭の中ではいろいろ考えてるんだけど、静かっていう(笑)。僕も、基本的には静かなんですけど、大人しくしてるとこのまま埋もれてしまって、田舎に帰ることになるんじゃないかっていう恐怖感があって。会議室で毎週授業やってて、4列あるから前に4人座るんですけど、いつしか一番前の4人が固定になってて、授業が始まる前にゲラゲラ喋ってるんですよ。半年通って課題出したりお話を聞いたりしてたんですけど、最後に残ったのは一番前にいた僕たち4人なんですよね。

シオン:この話は、学校通っている人に参考になりそうですね。学校に行けば作家になれると思ってる人もいると思うし、学校に通ったけどなれなくて「なんでだろう?」と思ってる人もいると思うんです。そういう人は絶対に参考になりますね。

やきそば:結局、何かを残すことが大事なんでしょうね。マネージャーさんがいたんですけど、マネージャーさんが事務所の中で噂にしてくれないとダメなんです。マネージャーさんのお辞儀の仕方とかが独特だったので、そういうのを真似したりしていて遊んでいたら、それがやっぱり見られてて。

シオン:コントを作ってたんですね。

やきそば:僕もハガキ職人やってましたけど、やっぱりコントのネタって難しいなと。あと漫才は、僕は爆笑問題が大好きで、爆笑問題のネタを文字起こしして勉強してたんですよ。全部ビデオに録画して文字に起こしつつ。田中さんがまともなことを言ってて、そこにどんなボケを乗せると面白いかっていうことを自分なりに考えつつ、その緩急の付け方が面白いんだなっていうのを分析したりとか。あと絶対人に見せられない、「なぜこの人は話が面白いのか?」っていう分析ノートとか作ってました。今に思えば必死だったというか、痛い人間なんです…。

シオン:確か島田紳助さんも同じことしてたんですよね?

やきそば:紳助さんは、どうやったら自分が売れるかというノートを付けていたそうですね。ビートたけしさんはこういうことするだろう、明石家さんまさんはこういうことするだろう、じゃあ自分はどの位置に行くかっていう。僕は気の利いたこと喋れないし、大喜利のネタとか考えるのほんとイヤで、全く面白いこと言えません!ってなっちゃうんですよ(笑)だから、昔はバラエティ番組を録画して、なぜこの人の喋りが面白いのかというのを片っ端からメモしてたんですよ。それで、共通点があるんじゃないかと。

シオン:すごいですね。

やきそば:紳助さんがちょうどそのときに、当時12~13年前ですけど、「お笑いのトークはセオリーがあるから、若手はそれを見い出せ。」を仰ってたんですよ。それで自分なりの形として、トークの公式を150にまとめたんですよ。今、考えると恥ずかしいですけど。それを信頼している人に渡していたんです。「これほかの人には絶対見せないでください。」って言って。結構、30人ぐらいに渡したんですけどね(笑)

シオン:分析によって力を得てきたわけですね。

やきそば:センスが無いので、そこをなんとか埋められないかと思ったんですよね。とっさに面白いことを言える人には叶わないですね。だから今のライターの仕事も、8割準備していくんですよね。めちゃめちゃ調べてシミュレーションして。だから急に来た仕事に弱いんですよ。明日インタビューが…とか言われると大慌てで準備して。それを考えると、僕はまだまだだと思いますね。

ライターが語る「インタビューの秘訣」

シオン:「ラジオ情報センター」の下調べの充実具合も、そういう事情からなんですね。

やきそば:常にあるのが、とっさに浮かばなかったときの恐怖感なんですよね。インタビューで一番怖いのは、なんか間ができちゃうこと。、あとは、早く終わっちゃうこと。よくあるのは、「この番組が長く続いている秘訣は?」と聞いて、「やっぱりリスナーのおかげですね」で終わっちゃって、「・・・続きは!?」みたいなことあるじゃないですか(笑)そこもシミュレーションして、「例えばこれよくある話かもしれないですけど…」みたいに、あの手この手で引き出しを千手観音のように開けるわけですよ。一言で終わってしまったときのために、何でもいいから無理矢理引き出しを開けるっていう、そのストックをいくつ持ってるかっていうのが大事ですね。

シオン:僕もインタビューしてきたんですが、上手くいかなくて。

やきそば:前置きってすごい大事で、なんか自信のない質問とかあるじゃないですか、ありきたりな質問とか。「この質問って、ちょっと、ひょっとすると答えるのに難しい質問かもしれないんですけども・・・」とかっていうのを、すっごい下手下手にいくんですよ。普通の質問者って、わりとスッと質問するじゃないですか、「○○さんにとって、仕事とは何ですか?」みたいな。それって、なんか機械的なんですよね。そのときに、如何に下町的な人情を出すかってことなんです。あとは、地方から出てきて頑張ってます感を出すとか。「私分からないことが1つあって、今日はどうしてもお聞きしたいんですけど・・・」と前置きを長くして間合いを作るっていうのが大事で、要するに相手が答える気構えをするための時間を作るんですよ。そういう前置きを付けると、悪い方向には返ってこないですね。

シオン:前置きを付けることで、一生懸命な感じを出していくんですね。

やきそば:向こうにとって一番イヤなのは、コイツ機械的に仕事をしてるなと。僕は雑誌の仕事よくしてるんですけど、「この人、大丈夫かな」って思うことがよくあって。例えばバラエティ番組の制作発表だったら、本当は一番いいのは、細かい質問をするといいんですね。収録風景を見といて、「あのときこうだったんですけど、これについてどうですか?」みたいな、そういう狭い質問にトンと入るのがいいんですけど。

シオン:なるほど。

やきそば:最悪なのは、「この番組のウリはなんですか?」という質問で、これを一番初めにやっちゃうのが絶対ダメなんですよ。あまりにも機械的すぎる。「コイツはそんなに興味がないんだな」って思われちゃうんですね。相手にとって一番嬉しいのは、ピンポイントで聞かれることなんですよ。ちょっと素っ頓狂な質問でも、「あ、そうくるか!」っていう質問が来たら、芸人さんとか答えやすいんですね。

シオン:そのためには調べたり、普段のその人を見ておくのが大事ってことですよね?

やきそば:めっちゃ大事です。関根勤さんが人をホメるときに、「いや~その手の甲キレイ」とか言いますけど、あれ絶対大事なんですね。ちょっとズラしたことをやるっていう。

ライターが語る「インタビューの秘訣」

シオン:ほかに重要なポイントなどありますか?

やきそば:僕はあまり行かないんですけど、共同会見ってあるじゃないですか。囲み取材で、テレビ誌とかネット媒体とか10人ぐらい来ていて、ICレコーダー置いておいて取材するんですけど。例えば30分あったら、最初の15分は運営が用意した質問に答えるみたいなのがあって、最後の15分が質問タイムになるんですけど、そのときに一番良くないのは、共同会見だからって質問しない人。共同会見って、人が質問した答えを全然書いていいわけですけど、そのときに楽をしようとする人って、あとから呼ばれなくなったりするんですね。あれって関係者の人がちゃんと見てるんですよね。「あ、あそこの媒体さんは、気の利いた質問をしてくれる!」とか。質問が出ないのが一番イヤだから。やっぱりいい質問してくれる記者の人が好きなので。だからああいうときに、積極的に質問をしたり場を和ませたりすると、(次も)来てくださいよ!となるから、顔を売ったほうがいいですね。

シオン:それだけで興味ある感じになりますもんね。

やきそば:大事ですね。あと例えばアイドルの囲みで、本当に個別取材やりたいんだけど、人気どころだとなかなかできなかったりするじゃないですか。でも普段から足繁く通っていて、「この人いつも来てくれる」「いつも質問してくれる」「いい記事書いてくれる」って思えてもらってると絶対優先してくれるので、今後の人間関係の形成になるのでいいと思います。記者の中でも、負けず嫌いになったほうがいいですね。そのぐらい実はデリケートなことなんですよね。

シオン:今日はありがとうございました。

ニッポン放送・吉田尚記アナウンサーと、ラジオライター・やきそばかおる、放送作家のシオンJr.の3人が、担当する配信番組『ラジオ情報センター』は、毎週月曜日の21時からツイキャスで配信されている。

<配信番組「ラジオ情報センター」URL>
https://twitcasting.tv/yoshidahisanori/

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