男はなぜ痴漢をするのか? 森永卓郎
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今日11/1(水)「9時の聴きどこ!」はモリタクが衝撃を受けた1冊をご紹介します!
モリタク衝撃の1冊「男が痴漢になる理由」
森永)8月に発売された「男が痴漢になる理由」という本をご紹介します。
著者は精神保健福祉士兼社会福祉士の斉藤章佳さんという人で、斎藤さんは「榎本クリニック」という依存症患者の社会復帰や更生をサポートするクリニックにお勤めです。
依存症なので薬物やアルコール、ギャンブルなどを更生する施設ですが、ここと痴漢が私は最初全然結び付かなかった。「え、何で?」と思ったのですが、斎藤さんはここで痴漢をした人の依存症を治すお仕事をされているのです。
痴漢はただの犯罪ではなく“依存症”である
垣花)依存症と言うとやはり“症”と付いているわけですから病気ですよね?
森永)そうです。痴漢は犯罪なのですが、私は“病気”という認識は全然無かったのですよ。でもこの本を読めば読むほど「痴漢って依存症なんだ」ということが分かってきました。
痴漢は再犯率が意外と高いので、これは薬物と同じで治療しないと刑期を終えて出所して来てもまたやってしまう。だから治療しないとこの膨大な女性の被害者というのを減らすことができないというのが斉藤さんの主張です。
痴漢しながら勃起していない男性が多いという異常性
垣花)これはちなみに去年、2016年に都内における電車内の痴漢行為が、これは迷惑防止条例違反になるのですが、全部で1,800件起きていると。警視庁の捜査によると、痴漢行為に遭った女性のおよそ9割近くが警察に通報も相談もしていないということから考えると、痴漢行為というのは少なく見積もっても実際は都内だけで1,800件の10倍以上あるのではないかと言われています。
森永)痴漢のイメージというのが間違えているのだというのが斉藤さんの主張です。多くの方は私と同じだと思うのですが、私は “性欲を持て余した若者が、全然女性にモテないから性的欲求の捌け口として痴漢をしている”というのが私の思っていたイメージです。
しかし斉藤さんは事実とは全く違うのだと言います。彼は痴漢をやってしまった人と付き合っているので、「痴漢は女性に相手にされない寂しい男」「性欲をコントロールできないから痴漢に走る」「肌を露出した女性は痴漢に狙われやすい」「電車内に防犯カメラを設置すれば痴漢は減る」、これらは全部間違っていると。私も痴漢の報道があるとこういうことを言ってきたので、すごくショックだったのです。実際は、年齢層は幅広い。若者から高齢層までいて、既婚者が多い。それから普段からちゃんと暮らしている、つまり“変な人”ではなくて普通の人が痴漢になっているのです。
敢えて言うと、痴漢をしながらも勃起をしていない男がすごく多い。垣花)それは「性欲をコントロールできないから突っ走ってしまっている」というよりは、何かもっと精神的なもの、心の闇のようなものを満たす為にやっている可能性があるということですね。
森永)そうなのです。ここがある意味で薬物とすごく似ているところなのですが、つまり1度手を染めてしまうとずーっとやっていって、それがエスカレートしていくというのがこの痴漢の最大の特徴だということなのです。
私も覚醒剤と麻薬に手を染めてしまった人にインタビューをしたことがあるのですけが、彼も全く同じことを言っていて、とにかく“1回目”をやったら人生は地獄に堕ちると。その人は更生施設に入って、今はもう小康状態を保っているのだと。でも「万が一目の前に覚醒剤がポンって置かれたら、私はきっとやってしまうと思います」と。痴漢の常習者と同じです。
痴漢は依存症 偶然触れた者が最初のきっかけになる場合も
森永)彼の場合はそこまで自分を客観視しているので再犯していないのですけど、でもそこまで治っていても目の前にあるとやってしまう。
だから本当に1回目というのを絶対にやってはいけないそうなのですが、この最初のきっかけというのは実は意図的で無い場合もあると斉藤さんは書いていて、満員電車に乗って普通に立っていても、例えば電車が急ブレーキを掛けると揺れるので、掌を自分の身体に付けていても手の甲に女性のお尻が当たってしまうことってあり得るのですよ。垣花)あります。つまりそれは最初偶然触れたものが、いつしかまた「急ブレーキを踏んだら良いな」という風に待つ心理が生まれ、今度は待っていられなくなって手が伸びてそういうことをやり始めるということですよね。
森永)それでどんどんエスカレートしていく。本当に極々普通の人です。「自分は関係無い」と男性の方は思っていらっしゃるかもしれませんが、アナタもなる可能性があるので注意しなければいけないのです。
痴漢が蔓延する大きな原因~初犯から逮捕まで8年も掛かっている?
森永)しかも痴漢が蔓延する大きな原因、私がこの本を読んで一番ショックだったのは、最初に痴漢をしたときの平均年齢は33.1歳。そして逮捕されたときの平均年齢は41.4歳。つまり初犯から逮捕されるまで8年も掛かっている、意外と捕まりにくい犯罪だからどんどんエスカレートしていって、最後は人生の破滅になるのです。被害者の女性もそうだし、自分の周りの会社の同僚や家族などにも迷惑がかかるわけです。
私は冤罪が怖いので、立っているときはずっと両手でつり革に捕まっています。これは冤罪防止だけでなく、そうやっていれば手に触れることも無いだろうと。私が今日言いたいのは、皆さん、つり革は両手で掴みましょうということです。
斉藤章佳・著「男が痴漢になる理由」、イースト・プレス社から発売されています。
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