日馬富士暴行問題~相撲協会はどうあるべきなのか?
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12/4(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!④
組織体が崩壊しつつある状態
7:16~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)
日馬富士、今週にも傷害容疑で書類送検
大相撲の元横綱日馬富士による暴行問題で相撲界が揺れる中、九州と沖縄を回る冬の巡業が、昨日、長崎県大村市で始まり、今回の巡業の責任者を務める、春日野広報部長が、来場者へ謝罪するなど、問題への対応に追われました。一方、この問題で日馬富士は、早ければ今週にも、傷害容疑で書類送検される見通しです。
昨日始まった、大相撲の冬巡業。今月17日の、沖縄県宜野湾市まで、12日間行われます。昨日の長崎県大村市体育文化センターでは、ほぼ満員のおよそ4,000人が集まり、目立ったヤジもなく、暖かい拍手が送られました。
昨日の朝、貴乃花巡業部長の代理の、春日野親方が力士に訓示を行い、「何かあったら、すぐに親方衆に報告して欲しい。力士らしい振る舞いをして欲しい」と呼びかけました。門限は設けないということですが、移動の際は、ケガ等の特別な事情がない限り、別行動を認めないそうです。
また、玉ノ井巡業部副部長によると、「休場した関取の中で、貴ノ岩の分だけ診断書が届いていない。どうなっているのか分からない」ということで、貴乃花親方に連絡を取るそうです。
一方、鳥取県警は一昨日、およそ9時間にわたり、元横綱日馬富士の再聴取を行いました。捜査関係者によると、再聴取には、落ち着いた様子で応じていたとのことです。鳥取県警は、白鵬等の聴取内容と突き合わせ、事実関係に矛盾がないか再確認し、早ければ今週にも、傷害容疑で書類送検する方向で、詰めの捜査を進めているという状況です。
組織体制を大幅に改革しなければ、今後も問題は起こり続ける
高嶋)事が事だけに、鳥取県警も簡単に結論を出せないみたいですね。日馬富士も東京からわざわざ行ってね。9時間とはスゴいです。「鳥取県警張り切りすぎ」と言っている人もいました。
須田)張り切るというより、鳥取県警には、相当荷が重かったのでは、と私は思います。「どうして我々がやらなければならないのか」みたいな気持ちだと思います。だから、相当慎重になっているんだと思います。
高嶋)「結局は、貴乃花親方と横綱白鵬のガチの対決だ!」と分析する人もいて。それで、白鵬が、この間、八角理事長の訓話があった後に、「巡業は、貴乃花親方では、我々力士は着いていけません」みたいなことを言って。あれ、事実上認めてしまったでしょう?
須田)「認めた」という形になりますよね。
高嶋)それで、貴乃花親方も「反抗しなかった」みたいなことを言っていますが、あれは組織的には、私はスゴくおかしいと思います。横綱が手を上げているというのは……では、白鵬ではなく、下の方が手を上げて、遠藤が言ったらどうなのか、とか思うじゃないですか。これで、白鵬というのはやはり最大実力者で、万歳三唱も一応注意された。嘉風戦でも、「厳重注意」と言っているけど、何も変わっていない感じがする。
須田)そうした点で言うと、「相撲協会は、どういった組織になっているのか?」という部分で、ありがちな言葉を使えば、ガバナンスがまったく機能していない。つまり、理事長がトップにいて、その下に、各力士、親方が従う、そういう組織体が、崩壊しつつあるのかな、と。これがいま抱えているいちばんの問題点。これが1つ。
もう1つは、「訓話、講話は何のためにやったのか」ということを考えなければいけない。これは再発防止策でしょう? つまり、「こうした不祥事が二度と起きないように」という中で、これで決着をつけるつもりだった。しかし結果的に、その再発防止策がまったく役に立たない状況になってしまった。これも大きな問題だと思います。
高嶋)「理事長を部外者の人にしろ」とか、それから、「現理事長でいいから、権限を強くしろ」とか、いろいろな意見がある。それで、結局は昔の一門制度。二所ノ関一門とか、高砂一門とか。あれで昔は巡業をやっていました。つまり、その部屋の代表がそれぞれの部屋を仕切っていて、協会はただ上に乗っている組織だった。だから、時太山のとき(しごきが原因の死亡事故)、北の湖理事長が「部屋のことは親方に任せてある」と言って。死人まで出たのに、私には関係無い、みたいな。不思議な組織だと思いました。あの辺からキッチリ、見直す必要があるのでは?
須田)そうですね。だからこそ、今回貴乃花親方が、理事長の指示に、何も従わないという状況になっている。そうした点で言うと、問題点は明らかになったのだから、それをどうするのか。ようするに、部屋の集合体みたいな組織改革をしないと、今後こうした問題は、何度も繰り返されると思います。