所得税改革「所得の高い方、介護や子育ての負担が少ない方からいただくしか無い」石破茂

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12/15(金)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

“次の時代”に責任を押し付けるわけにはいかない
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター石破茂(自民党衆議院議員・元防衛大臣)

所得税改革「所得の高い方、介護や子育ての負担が少ない方からいただくしか無い」石破茂

来年度の所得税改革 2020年に実施

自民・公明両党が決定した来年度の与党税制改正大綱では、賃上げ企業を減税とする一方で家計には負担が重なり、改正全体を通じた増税額はおよそ2,800億円に上る見通しとなった。政府は所得が高い人の給与・年金に掛かる税金を上げ、自営業やフリーで働く人に恩恵が広がる所得税改革を2020年1月に実施する方針。

来年度の与党税制改正大綱で決まった所得税改革は2020年1月に実施となります。この所得税改革では会社員優遇だと指摘される控除を見直しまして、給与所得控除や年金控除を縮小します。一方で誰もが受けられる基礎控除を拡充して、自営業者らの税負担を減らします。子供や介護が必要な家族がいない年収850万円を超える会社員、それから年金以外で1,000万円を超える所得がある高齢者らは増税をなります。
また2つの新税を新たに作ります。日本人か日本を訪れた外国人かを問わず出国するときに1,000円を課税する「国際観光旅客税」を再来年2019年1月に導入します。それから森林整備に充てる為年1,000円を住民税に上乗せして徴収する「森林環境税」も2024年度に導入します。
それから煙草は紙巻き煙草の税額を来年10月以降3回に分けて1円ずつトータル3円引き上げます。加熱式も段階的に増税となります。
一方で賃上げした企業には減税となるのですが、今回の所得税改革で900億円の増税、煙草税で2,500億円の増税となります。そして再来年2019年の10月には消費税率が10%に上がるわけです。
ある市場関係者は「選挙で議論されなかった所得税改革が政党間の調整だけで決まったことは驚きだ」という反応をしておりました。

“次の時代”に負担を先送りにしない為には誰かから税を徴収しなければいけない

高嶋)この決まりについて石破さんはどうですか?

石破)皆が満足する税制改革ってあり得ないので。かと言っていつまでも次の時代に負担を先送りして、“次の時代”ってあと80年したら日本人は半分になるのですよ、それはもう限界なので、どこかからいただかなければいけません。
そうするとやはり所得の高い方、あるいは介護や子育てのご負担が比較的少ない方からいただくしか無いし、煙草も嗜好品ですから、昔は「奢侈税」という言葉がありましたけど、これは吸わなくても良いわけでそれでも吸うという方からは頂戴をしなければいけない。
それは皆さんに満足していただけないのは分かるのですけど、ずっと負担を先送りにしていくわけにもいかないし、支出の削減というのはこれまたものすごく議論を呼ぶわけですよ。そうすると「これしか無いね」というのは誠実に説明すれば分かって頂けると私は思うし、その努力はしなければいけないです。

高嶋)850万円で線引きをされて、昔からサラリーマンの税金はガラス張りで1円も許してもらえなくてしっかり取られていると。それに対して自営業の方とか一概には言えないのでしょうけどいろいろと仕掛けみたいなものがあって相当得をしているじゃないかと。それでガラス張りの方ばかり取りやすいので必ずやるけど「冗談じゃない」と。
今回は800万円と850万円という、この50万円で公明党が何だか手柄みたいになっていますけども、これって大分大きいのですか?

石破)それは大きいですよね。やはりどういう層の方々がご指示いただいているかというのは、政党ですからそれは考えるのだけど、どこの党も自分の党の利益だけ考えているわけではないから、そこはあまり政局っぽく考えない方が良いと思いますけどね。

高嶋)今日の新聞を見ると「会社員は3,000円増税 フリーは3万3,000円減税」と書いてあるのですが、アメリカなんかはサラリーマンも全部自分で申告すると言いますよね。これはどっちが得なのですか? 控除されている方が得なのですか?

石破)今は控除されている方が得なのでしょう。やはり控除という仕組みは一律にあるので、税の事務負担とかそれぞれの煩わしさから言えば「えいっ」とやってしまうところがあるので。
でも本来自分が申告する、つまり「自分が申告して納めた税金だからちゃんと使ってね」ということにもなるわけですけどね。そこは一長一短あるので、どちらが良くてどちらが悪いかとは言えない。だから「皆申告してね」と言うと今度は「そんな面倒なことは冗談じゃない!」という話になるわけです。

高嶋)サラリーマンは給与明細の手取りしか見ないとかよく言われますよね。

石破)やはりそれも使い道ということにも皆さんにもっともっと関心を持っていただく。それはやはり我々にとっては厳しいことだけども。

アベノミクスは国民がお金の使い方を考えられる環境作りの一環

高嶋)ちょっと大きい話になってしまいますが、アベノミクスでずっと金融緩和をやり続けて、国債を買いまくったり株なんかに手を出したりといろいろやって、それで膨大な借金を抱えてしまって、それが最初におっしゃった次の世代にいわゆる預けてしまうみたいな、これの根本というのはもし自分が差配する一番の立場だったら石破さんはどう考えますか?

石破)大胆な金融緩和をすれば円が下がる、円が下がれば日本の株は7割を外国人の投資家が売買しているわけだからお買い得な日本の株を買う、よって株が上がりましたということまで来ているわけですよね。それで金利はほとんどゼロだった。そうすると民間の方々がどうやってお金を使おうかということを政府がやることではない。
やはり民間の方々がどうやってお金を使って儲けようかということを考えて実行していただける環境をどう作るかが政府の仕事なのです。今の金融緩和がいつまでも続くなんて誰も思っていないけれど、だけどそういう状況をどう活かすかということを官民一緒に考えていかなければいけない。地方創生だってその一環であって。

高嶋)アベノミクスのリアクションはどんな風になると思いますか?

石破)リアクションは何もしなければすごいことが起こりますよ。だけどそういうのができる環境を一生懸命政府として作っているわけで、そこはご理解いただきたい。

高嶋)今の状況でバトンタッチされたらどうしますか?

石破)それは誰がバトンタッチされようと「この状況をどうするんだ」と国民の皆様に語り掛けるというマインドは持っていかなければいけないことですよね。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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