リニア談合~大手4社の高度な技術とゼネコン業界の悪しき慣習
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12/20(水)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
大林組が課徴金減免制度に基づき自ら違反を申告
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター鈴木哲夫(ジャーナリスト)
リニア談合~偽計業務妨害の疑いで大手ゼネコンの大林組本社などを家宅捜索
リニア中央新幹線の工事をめぐる入札談合事件で、大手ゼネコン4社の担当者が工事を受注する予定企業をまとめた一覧表を作成していたことが関係者の話で分かった。東京地検特捜部は一覧表が受注調整の結果をまとめた重要な証拠と見て、巨大プロジェクトの入札について全容の解明を目指す。
JR東海によりますとリニア中央新幹線の総工費は9兆円ですが、関連工事は2015年以降合わせて22件の工事契約を締結しております。この22件の内15件を「スーパーゼネコン」と呼ばれる大林組・鹿島・清水建設・大成建設の大手4社が3件から4件ずつ同じような数で受注してます。
東京地検特捜部はこの内名古屋の非常口新設工事の入札で不正があった疑いがあるということで、まず偽計業務妨害の疑いで大林組本社を家宅捜索しました。
大手4社の幹部らも任意で事情聴取を行いましたが、大林組は捜索を受けた後に大手4社による不正な受注調整を認めまして、課徴金減免制度について公正取引委員会に違反を申告していたことが分かりました。大手4社の担当者が受注予定企業をまとめた一覧表を作っていたことも判明しました。
この課徴金減免制度というのは企業が独占禁止法に違反する行為を自ら公正取引委員会に申告すれば課徴金が減免されるという制度で、自主申告すれば最大5社まで課徴金が免除・減免され、調査前に最初に届け出た1社は刑事告発されないというメリットがあります。いわば来年の6月までに導入されるという司法取引を先取りしたような形になっています。
ある大手ゼネコンの中堅社員は「大林組は他に問題を抱え特捜部に深く切り込まれる前に傷を浅く済ませようとしたんじゃないか」と疑心暗鬼となるような声も聞かれています。国家プロジェクトにおける公平性の重要性~公共事業の絡んだゼネコン業界の悪しき慣習
高嶋)これでいろんな人が声を上げていますけども、ひとつにはこのスーパーゼネコンの4社が無ければリニアの工事なんかできやしないと。例えば難工事が待ち受けていて地表から最大で1,400メートル下を掘り進み、山梨・静岡・長野の3県をまたぐ25キロメートルの「南アルプストンネル」。工事中にすごく高圧の水脈にぶち当たる恐れもあり、難工事が予想されると。これはいわゆる公平で安く入札したところに工事を請け負わせて、技術の有無もとても問題ですけど、これはやはり日本全体のゼネコンが文字通りスクラムを組んで力を合わせなければこんなリニアの工事なんかできないわけですよね。この辺と東京地検特捜部と公正取引委員会、これはどういう風に見たら良いですか?
鈴木)なかなか難しいところがあります。実は国交省の政務三役経験者の人とこのことをかなり話したのですけど、こういう見方もできるわけです。トンネルひとつ掘るにしても本当に1ミリとか5ミリとかそういうところでの成功とか失敗とかいう技術だから、高嶋さんがおっしゃったように一般入札でいろんなところがという話でもない。そういう意味ではある程度の分野分野での限界もあるわけで、そういう風に分かれてしまうのは仕方無いという側面もある。
そういう話が必要であるという一方でやはり国のお金が関わっている。特にリニアというのはやはり国のひとつの政策事業でもあるわけですから。高嶋)9兆円で財投が3兆円入っているとか。
鈴木)だから国家プロジェクトと言っても良いかもしれません。そういう意味ではやはりそこにある種の公平性・公正性は絶対に必要だと。だから何というか、背中合わせみたいなところはあると思うのですね、この辺は非常に難しいと思う。
ただやはりゼネコンのある種談合を含めた業界の悪しき慣習というのは、やめさせなければいけないということでずっとやって来て、さらに必ずゼネコンの事件は公共事業が絡んでくると政界ルートとかが出て来るわけですよ。そういう意味で言うとこれは全部綺麗にしなければいけないということで地検も捜査に入ったと。高嶋)例えばJR東海の思惑とかトップの意思とか、それから政界の中枢との関係とか、それからそこで今までにいろんな国家的に揺るがした大事件があったときは必ず政界ルートが出て来て。だから地検の方だって何かそんな匂いがしなければただ単に談合を懲らしめるだけでメスを入れるのかどうか、そういうことを言う人もいますが。
鈴木)という風になるわけですよね。やはりそういう話が永田町ではこのリニアがどういう風に政界に関わって来るのかという話になっています。
高嶋)もう噂は出ているのですか?
鈴木)噂は出ています。どういう形で関わっているとか、この問題に一番精通していたのは誰なんじゃないかとか、これはもう皆言いたい放題ですよ。ただそういう風に永田町は「どうなるの?」ということでウォッチしている感じはありますよね。
高嶋)大林組がいち早く課徴金減免制度で逃げ込んでしまって、スーパーゼネコンのスクラムが何だか変わりそうな感じがしなくもないですね。とにかく工期は伸ばせないと言っていますから、その辺との絡み合いでどういう動きになるのか。
鈴木)でも場合によっては私の話した国交省の政務三役経験者は「工期だってどうなるんだ。間に合うのか間に合わないのか、その辺の問題にも影響して来る可能性はある」という風に言っていました。だからちょっとピリピリして見ている感じはあります。
高嶋ひでたけのあさラジ!
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