リニア・スパコン両問題で試される特捜部の存在意義
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12/26(火)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③
“特捜部不要論”まで囁かれている?
7:10~やじうまニュースネットワーク:コメンテーター若狭勝(前衆議院議員)
スパコン開発会社の社長ら2人が起訴 東京地検特捜部
スーパーコンピューターの開発をめぐり国の助成金を騙し取ったとして、東京地検特捜部は詐欺の罪でスーパーコンピューターの開発を手掛ける会社の社長ら2人を起訴した。起訴されたのは東京のPEZY Computing(ペジーコンピューティング)の社長・斉藤元章被告ら2人で、関係者によると斉藤被告は起訴状の内容を認めているとの事。
昨日詐欺罪で起訴されたのはPEZY Computing(ペジーコンピューティング)社長の斉藤元章被告(49)と元取締役の鈴木大介被告(47)の2人です。斉藤被告はスーパーコンピューターの高性能化の旗手として知られておりまして、PEZY Computingなどが開発し海洋開発研究機構―JAMSTEC(ジャムステック)の横浜研究所に設置されているスパコンは世界のスパコン計算速度ランキング4位に入っています。
起訴状によりますと斉藤被告らは2014年の2月に嘘の実績報告書を経済産業省所管のNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)に提出しまして、国の助成金およそ4億3,100万円を騙し取ったとされています。
特捜部は2人の認否を明らかにしていないのですが、関係者によりますと斉藤被告は起訴内容を認めて「研究には多くの資金が必要で、別の事業の開発に充てていた」などと供述しているということです。また今回の起訴の対象となった国の助成金より前にNEDOから合わせて7億3,000万円あまりも助成されておりまして、関係者によりますと斉藤被告はこの一部についても不正受給を認めているということで、特捜部が捜査を続けております。
斉藤被告はこのPEZY Computingを含め、少なくともスーパーコンピューターの関連会社5つの会社の経営に関与しておりまして、内3社に助成金や無利子融資など国から100億円近い資金の投入が決まっておりました。
野党の立憲民主党はこの逮捕・起訴された斎藤被告が安倍政権の中にも人脈があると見ておりまして、来年の通常国会では森友・加計学園問題と合わせて政権を追及する考えです。
少しでも許せば不正が横行してしまう 特捜部の存在意義が問われている
高嶋)昔の社会党の“おたかさん”じゃないですけど「悪いものは悪い」なのですが、素朴に言ってスパコンというのは国の産業を引っ張って行く一番どでかい部分ですよね。それからリニアというのも東京オリンピック以降絶対に実現しなければいけないという大国家プロジェクトと言っても良いと思うのですが。それをたまたま東京地検が2つ同時に手掛けて来た。「少しくらいお目こぼしして良いじゃん」という風に思う人もいるのですけど、この辺はまずどうですか?
若狭)結論から言うと特捜部がそういう考え方を持つようになったらおそらく何の犯罪も摘発できなくなってしまいます。
目的が良くてもそこに不正な手段が加わるとした場合には、そこにしっかりと光を当てないと、結局他の人も「それだったら私も少しくらい不正をしても良いんじゃないか」と思い始めて、今度はどんどん不正の競争が始まってしまいます。やはり目的の為には手段を選ばないというのはいけないですよね。高嶋)東京地検特捜部がたまたま捜査しているのですが、この背景というのはどういうものがありますか?
若狭)特捜部は大阪の特捜部である厳しい批判を受けて、今は片肺飛行というかリハビリみたいなもので、これまであまり目立った事件を大掛かりにやってこなかった。いよいよ「特捜部は不要じゃないか」と言われかねない時期に来ているので、特捜部長が9月に変わったこともあって、しっかりと存在意義を示すということで華やかに始めているのだと思います。
ここでひとつ注意して見ていかなければいけないのは大阪地検で今森友学園のゴミの事件を捜査しているのですけど、あれは近畿財務局の役人が責任を問われる必要があると私は思うのですね。会計検査院も非常に問題があると指摘をしているくらいですから。そこはしっかりとやらなければいけないのですが、仮にそれが役人まで責任追及が特捜部でできなかった場合にいよいよ“特捜部不要論”という話にもなりかねない。そのときのいわば今東京地検特捜部で立て続けに大きく着目される事件をやっていくことによって、特捜部はしっかりと仕事をしているという最後の保険みたいな形だと、私は少し穿った見方かもしれませんけど思っていますね。高嶋)やはり組織というのはそういうものであることは間違い無いですよね。
若狭)そうですね。特捜部は事件をやってなんぼかと昔から言われてきていますので、事件をやらない特捜部はもう鳴かなくなったカナリアのようなもので要らないと言われかねないですよね。
リニア談合とスパコン助成金問題 国家大プロジェクトに関わる両問題は今後どうなる?
高嶋)だけどそうは言っても確信が持てなければそんなに踏み込むことはできないわけですよね。これはどういう風に発展していきそうなのですか? このスパコンとリニアについて。
若狭)リニアのスーパーゼネコン談合は間違い無く起訴されます。事件として起訴されることは間違いないと思います。この談合というのは、私は特捜部のときにひとつ大きな談合事件をやっていまして、談合と言うと昔から日本は“必要悪”と、要するに中小含めて皆助け合いで来ているのだからと。
高嶋)そうですね、決別宣言までしたのに何ということもないですもんね。
若狭)ただこの談合というのは本当は税金の無駄遣いに繋がるのですよね。
「入口と出口の問題」と言われて、脱税というのは税金の入り口のところで誤魔化すと。出口で税金を今度は無駄遣いするというところに談合の本質があるのですよね。国の出費や税金を多く出費するということです。
談合が良くないということは当然これからの有るべき考え方なのですが、そこを今回のそうしたスーパーゼネコンのリニアの関係で光をもう一度当てるという意味合いはあると思いますね。高嶋)でもこのスーパーゼネコン4社が無いとリニアができないという非常に厳しい現実があって、そうなると「あいつがいないと仕事ができない」というのが組織でもあるじゃないですか。「セクハラばかりやっていて嫌な奴だけど今は我慢しようよ」みたいなことを言っては駄目ですか?
若狭)それをやり出すとおそらく特捜部は仕事ができなくなりますね。
高嶋)また最初の話に戻るのですね(笑)。じゃあスパコンも徹底的にやるのですか?
若狭)スパコンはやはりまさに国の補助金ということで国の税金に絡む問題なのでこれは徹底的にやると思いますし、今回起訴されましたけど他の余罪についても相当力強く捜査を進めるとは思いますね。
高嶋)真逆に言えば、スパコンはやはり国の代表事業だから「これには手を付けられはしないよ」という慢心があったかもしれないですね。
高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00