男子プロバスケットボールリーグ・Bリーグ。
チーム名の通り、まるでジェット気流に乗ったように一度勢いがついたら止まらないのが千葉ジェッツ。昨シーズンは大型連勝あり、トーナメントで行われたオールジャパン(天皇杯)制覇など、勢いに乗ってタイトルまで獲得。今年も強豪ひしめく東地区で存在感を発揮しています。
勢いがあるチームほど、ゲームのスタイルや起用する選手など自らのスタイルを持ち、ケガ人が出た場合などを除いて大きく変わることはないかもしれません。しかし千葉ジェッツの大野ヘッドコーチは今シーズン9勝4敗で迎えた14試合目、9連勝中の首位アルバルク東京戦でスターティングメンバーを変更。選手は起用に応え、首位の東京相手に99-59と圧勝しました。
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
起用に応えた選手の名は原修太選手。地元・千葉県船橋市出身の24歳。187㎝。熱い胸板に太い腕、強靭な当たり負けしないフィジカルで攻守にわたって存在感を発揮するSG=シューティングガード、SF=スモールフォワードです。原選手はこの東京戦を境に、選手層の厚い千葉ジェッツのスタメンに定着。チームもその後12月24日まで10勝3敗と高い勝率をキープしています。
原修太選手①
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
チームは12月24日終了時点、19勝7敗で東地区2位。
まず、ここまでのシーズンを振り返り原選手にチームの状態を伺いました。
「最初の方は上手くいかず勝てる試合を落としてしまうこともありました。強豪の多い東地区は全ての試合が簡単じゃないですから。ただ、連敗をしないというところで修正は出来ていると思います。逆に1戦目で勝った後、2戦目を落とすことがあります。相手も対応してくるので、これからは2戦目の戦い方が重要になりますね。でも大野ヘッドコーチは『勝っても負けても40分間自分たちのバスケをする』ことを大事にします。点差が離れたゲームでは後半にディフェンスが緩んだこともあったので、その辺を修正していけばもっと強くなっていくのかなと思います。」
原修太選手②
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
昨シーズンは開幕から4試合連続でスタメンに起用されましたが、右足の小指を骨折し戦線離脱。以後、ゲームの流れを変えるプレーヤーとして40試合で起用され、チームのチャンピオンシップ出場にも貢献しました。
今シーズン前にはU-24日本代表にも名を連ね、陸川章ヘッドコーチ(東海大)やルカ・パヴィチェヴィッチテクニカルアドバイザー(現・アルバルク東京ヘッドコーチ)の指導の下、国際大会にも出場。そして迎えた今シーズンは原選手個人としてどんな手応えを感じているのでしょう。
「U―24日本代表の試合に行っていてチームへの合流が少し遅れました。代表で得たこともあったんですけど、チームとは役割が全然違ったので今のチームにアジャストするのに少し時間がかかりましたね。昨シーズンは<ハードにディフェンスをして、フリーになったら3ポイント打つ>プレーヤーだったんですけど。U―24ではセットプレーでボールを運ぶ役割も多かったです。貴重な体験をした反面、去年出来たことが疎かになって、今季の序盤はプレータイムが減ってしまいました。」
しかし、千葉ジェッツの大野ヘッドコーチは9連勝と勢いに乗るアルバルク東京をホームに向かえるにあたり、昨シーズンからスタメン出場を続ける石井選手に替わって原選手をスタメンに起用します。
「もともと大野ヘッドコーチはチームの立ち上がりにディフェンスが悪いケースを指摘していました。だからきっちりとディフェンスを締めて良いゲームの立ち上がりをする、勢いをもたらすという部分を買ってもらってのスタメンだったと自覚しています。東京戦の1戦目は大事だと思いました。スタメンに起用されたからこそ、やるべきことをやらなきゃという使命感があったので…勝ててホッとしましたね。」
ついにつかんだ初スタメン。そして結果を出したことで、このポジションを絶対に離さない!そんな気持ちがあるかと思い尋ねると、意外な返答がありました。
「あまりスタメンで出るかどうかは関係ないんです。去年も交代から出ていくことも多かったですし、もし石井さんがスタメンに戻ったとしても、『どうして自分がスタメンじゃないんだ?』ということはありません。スタメンにこだわりはないですね。ただスタメンの時は最初にコートに出ていく責任感は持っています。」
確かに大野コーチも「うちはスタメンもセカンドユニットもありません。」と常々コメントしている通り、どんな状況で選手がコートに出ても変わらずに戦えるのが千葉ジェッツの強み。選手たちにもその戦い方がしっかりと浸透していることを感じました。
原修太選手③
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
原修太選手といえば目を引くのが鍛え上げられた上半身。熱い胸板と太い腕は身体を187㎝以上に大きく見せます。持ち前の粘り強く、当たり負けをしないディフェンスは鍛え上げられた肉体の賜物といえるでしょう。もともと体作りについての意識は高かったのでしょうか?
「大学までは骨太だったんですけど、ちゃんとしたトレーニングをしたことは無かったんです。ジェッツに入ってBリーグ初年度にチームに来た多田我樹丸さん(ST=ストレングストレーナー)に出会うまではトレーニングの方法や食事面の知識もわかりませんでした。」とまさかの答えが。身体のバルクアップはプロ入り後、それもきっかけは昨年に足の小指を骨折したときだったと言います。
「去年ケガをしたとき、今できることをすべてやろうと思って食事面や苦手な動きに対応するトレーニングを意識しましたね。もともと筋肉がつきやすいタイプというのはあります。今の身体だと相手とミスマッチになっても、当たりが強すぎても負けるということはほぼありません。自分のディフェンスは読みでやるより身体を生かしたものなのでフィジカルは大事ですし、体重を6キロくらい増やしたんですけど変わりなく動けているのでトレーニングは大事だなと思います。」
まさに怪我の功名。しっかりとしたトレーニングが形となり、プレーにおける原選手の自信を生み出したといっても良いでしょう。
さらに「今年からアンダーアーマーに契約してもらってプロテインやジムを利用させてもらって多田我樹丸STの知識+αや栄養も学ぶことができています。」原選手の身体づくりには強い味方がサポートしてくれています。
トレーニングをすると身体に現れるタイプという原選手。チームメイトからは「何を目指しているの?といわれます」と笑顔で話してくましたが、その体作りは今後どこまで進化していくのでしょうか。
「これからは大きくするというよりは筋肉の使い方などの細かいトレーニングをやっています。皆さんが想像しているような毎日のベンチプレスとかではなくて地味なことです。細かくて嫌になるような地味にきついトレーニングの積み重ねですね。」
結果を出しても、まだ満足することはなし。原選手の進化はとどまることを知りません。
原修太選手④
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
原選手のスタメン起用となったアルバルク東京戦が再びやってきます。今度は年末年始、舞台は東京のホーム・駒沢オリンピック体育館です。
対戦したアルバルク東京の印象を原選手に伺いました。
「東京はチームの連動性が凄いですね。U-24日本代表でルカ・ヘッドコーチに2週間くらい教わっていたのはピック&ロール主体のバスケットで、東京もディフェンスの動きに合わせたパスする。何回も何回も練習をやっているイメージです。その中で田中大貴さんや馬場が崩してきます。そこを抑えられれば勝てると思うのですが、さすがに全部止めるのは難しいので、相手に嫌な感じでシュート打たせていきたいと思います。実際に戦って代表でも東京でもセットプレーのベースはだいたい同じように感じたので、少しはマッチアップでもやりやすさは感じましたね」
敵将を知る原選手だからこその分析。手応えも感じているようです。ちなみに千葉ジェッツ以外でも原選手以外にも日本代表では富樫選手や小野選手などもルカ・コーチの指導を受けた経験があり、ルカ・コーチのバスケットを知る選手が多く在籍していています。
アルバルク東京もリベンジマッチで臨んでくるであろう年末年始の東地区首位攻防戦。
最後に原修太選手に意気込みを伺いました。
「年の締めくくりは勝ちたいですし、年初めの試合は4日からのオールジャパンに向けて勢いをつけたい大事な試合です。自分たちは自分たちのバスケをしてディフェンスから走れば絶対に負けないと思います。内容を大事にしつつ2連勝できれば次につながると思います。ぜひ駒沢に来ることができない方はラジオで聞いて応援して下さい。よろしくお願いします。」
原修太選手⑤
(C) CHIBA JETS FUNABASHI
東地区首位のアルバルク東京と2位の千葉ジェッツの一戦。
駒沢体育館のチケットは指定席が既に完売。スタンドの自由席も残りわずかという状況です。チケットが取れなかった方、そして会場まで見に来ることができないブースターの皆様はぜひラジオでお楽しみください。
12月31日の午後2時30分から
「ニッポン放送イヤーエンドスポーツスペシャル Bリーグラジオ アルバルク東京×千葉ジェッツ」は解説:佐々木クリスさん、実況:煙山光紀アナウンサーでお送りします。ニッポン放送初となるBリーグ中継をお楽しみに!
駒沢体育館
cALVARK TOKYO
アルバルク東京 vs 千葉ジェッツ
開催日:12月31日(日)14:05~、1月1日(祝/月)15:05~
会場:駒沢オリンピック公園運総合動場体育館(東急田園都市線「駒沢大学」駅から 徒歩約15分)チケット:https://chibajets.jp/ticket.html
千葉ジェッツ:https://chibajets.jp/
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(清水久嗣)