プロゴルファー宮里優作 悲願の日本人メジャー制覇の第一号に近い男
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去年のゴルフPGAツアーは、松山英樹の活躍でおおいに盛り上がりました。なにしろ一時は世界ランキング2位にランキングされましたから、今年もおおいに期待が持てそうです。 日本人プロゴルファー悲願のメジャー制覇。その第一号にもっとも近い「大本命」が、松山選手であることは論を待ちませんが… ここにきて、「大穴」中の「大穴」が、大外から、松山を猛追してきました。それが、去年、初の賞金王に輝いた、宮里優作選手(37)です。
ゴルフに不案内な方にとっては、去年引退した宮里藍のおにいちゃんと言ったほうが通りがいいかもしれませんね。正直、つい最近まで、ず~っと、妹・藍ちゃんの影に隠れていた感があります。ところがところが… 実を言うと、アマチュア時代には、お兄ちゃんのほうが、はるかに「天才」の誉れが高かったんです。
中学では日本ジュニアで2勝、日本アマも制覇、日本学生選手権では楽々と三連覇。アマチュアなのにプロツアーに出て、2回も2位に食い込みました。2002年にプロ入りを表明した際には、「史上最強の怪物アマ・宮里、鳴物入りのプロ転向」と騒がれたものです。
ところが… 生来の「心根の優しさ」が、プロの世界では災いしたのでしょうか。10年間、なにをどうやっても、「まったく」勝てない…。 やがて、宮里三兄弟の長男、宮里聖志(きよし)選手が、沖縄オープンで初優勝。宮里優作は、「三兄弟の中でひとりだけ勝ったことがない人」と呼ばれるようになってしまったんです。
それでも腐らず続けてたら、やっとこさゴルフの女神が微笑みました。2013年の最終戦「日本シリーズ」、奇跡のチップインで涙の初優勝。これでふっきれまして、去年は4勝を挙げ、ついに賞金王にまで登りつめました。
躍進の秘密の一端は、メンタル・トレーニングにあったと言われています。彼は、ニールソンとマリオットという、ふたりのメンタルトレーニングコーチを付けているのですか、これがばっちりハマりました。
たとえば… 試合中、各選手の成績が出るリーダーズボードは、完全に無視します。スコアは、自分では付けません。必ずキャディに付けてもらい、目の前の一打にのみ集中。風向きをアタマの中で「色」でイメージするという方法もあるそうで、われわれ素人には計り知れない、数限りないメソッドが存在するのだそうですよ。
メンタル面がうまくいけば、もともと天才ですから怖いものなし。去年秋には、メジャー挑戦を見据えまして、思い切ってクラブをガラッと替えてしまったのですが… 直後の「ホンマツアーワールドカップ」では、4日間ノーボギーで優勝の快挙を達成。最終戦の「日本シリーズ」では、6打差で圧勝。クラブを取り換えてから、むしろ成績をグングンッと伸ばしているんです。
今年の4大メジャー、第一戦は、4月のマスターズ。練習ラウンドを制したものがマスターズを制すると言われていますが… ここで頼りになるのが、宮里優作の東北福祉大学の後輩の「あの選手」。 そう… 過去6度マスターズに出場している、松山英樹です。コースを知り尽くした松山選手と練習ラウンドを行えば、天才・宮里にとって「鬼に金棒」。先輩風もよしとしましょう。
マスターズといえば「ガラスのグリーン」と言われる高速グリーンも特徴ですが… 実は宮里選手、高速グリーンは大の得意としているんです。クラブチェンジの成功、心強い練習ラウンドのパートナー、そして類いまれなるパッティング技術。これらが全てプラス方向に働けば… 優作おにいちゃん、奇跡のメジャー制覇という「初夢」が見られるかもしれません。