女子プロゴルフ・鈴木愛 賞金女王を意識させた岡本綾子の一言
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宮崎市で開催された国内女子プロゴルフの最終戦『LPGAチャンピオンシップリコーカップ』で、7位に入った鈴木愛が、4年ぶりの日本人賞金女王へ輝きました。23歳201日は、1988年ツアー制度施行後、史上4番目に若いマネークイーン。獲得金額は、1億4,012万2,631円でした。
タイトルを意識したのは、7月後半。岡本綾子から、
「狙いなさい」
と激励を受けてからです。ただ、その後は山あり谷あり。
「9月ぐらいから、ずっとプレッシャーを感じていた。ようやく、解放されてまずは、ゆっくり休みたい」
と満面の笑顔で話しています。昨日の最終日、女王を確定させるには、14位以上の成績が絶対条件。13位タイからのスタートでしたが、3バーディー、ノーボギーの69をマークし、改めて勝負強さをアピールしています。
印象に残ったのは、18番のパーパット。5メートルを強気で沈めました。この1ストロークが、賞金女王に続いて、総合力ナンバーワンの選手に贈られるメルセデス最優秀賞を引き寄せます。同組でプレーしていた、キムハヌルがこのホールをボギー。順位を下げたために、わずか1ポイントだけ上回る大接戦。喜びが重なる2冠達成となりました。
出身は徳島県三好郡東みよし町です。小学5年でゴルフをはじめました。人生の転機といえば、ゴルフ部が新設された鳥取・倉吉北高校へ進学する際、家族が離れ離れになるのは良くないと、実家は3代続く製材業でしたが、入学の半年後、家業をたたんで鳥取へ引っ越し。そこまでして家族は鈴木選手をサポートしてきました。ちなみに、ゴルフ部は1期生だったために、部員は鈴木の他に男子が1人。とても、エリートとは呼べなかったそうです。
2013年のプロテストで一発合格を果たして、翌14年の公式戦、日本女子プロゴルフ選手権でツアー初優勝を飾りました。宮里藍が06年大会で達成した、同大会の史上最年少優勝記録を塗り替えたことで、一流選手の仲間入りを果たします。昨年はキャリアハイの賞金ランキング5位へ躍進しました。155センチ、55キロとそれほど体形に恵まれているわけではない。頂点を極めた原動力は、やはり練習量でしょう。
「プロになるまで、あまり練習はしない方でした。目の前に目標にあれば、やらなければいけないと思う。でも、目標がちょっと先では気分が乗らない。プロ1年目のオフ、メーカーの合宿へ参加し、マイペースで調整していると、ある関係者に怒られた。もっと、練習を。それではプロとして生き残れない、と…。2年目のシーズンから、試合では誰よりも遅く帰ることを自分に課し、日没まで居残って、練習をするようになった」
と告白。
鈴木が、他の選手と決定的に違うことは、コーチをつけずに自分で考え、練習や試合で工夫を行うことでしょう。だから、大一番に強く、人一倍、負けず嫌い。
「(ここ数年)賞金女王もそうですけど、外国人選手の活躍が目立っていた。試合でも、ギャラリーさんから『日本人頑張れ』と言われることがある。正直なことを言うと、みんな頑張っているわけですけど…。でも、プロは結果がすべてです。私にできることは何かと、改めて考えた。せめて、練習量は、外国人選手に負けないように。必死です」。
みごと賞金女王となり、日々の努力が結実することを身をもって教えてくれました。
11月27日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」