最も金メダルに近い選手 女子スピードスケート・小平奈緒
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連日、熱戦が展開されている平昌オリンピック。日本勢は現時点でまだメダルを手にしていませんが、初メダルが出る可能性が、かなり高いと見られている種目が、きょう行われる「スピードスケート・女子1500m」。この距離で圧倒的な強さを誇る女王・高木美帆選手の金メダルが期待されていますが、もう一人、注目の存在が、小平奈緒(こだいら・なお)選手・31歳です。
長野出身で、平昌は3度目のオリンピック。得意は1000m、500mの短距離。去年の暮れにワールドカップで1000mで世界新記録を出し、500mではおととしからなんと24戦無敗。「今回の日本代表の中で、最も金メダルに近い選手」と言われ、日本選手団の主将にも選ばれています。
小平選手は14日の1000m、16日の500mに照準を合わせ、二冠を狙っていますが、今日行われる中距離・1500mにも出場する理由は、「まず平昌のリンクに慣れた上で、得意の2種目に臨ませたい」というコーチの戦略ですが、小平選手本人は、出るだけのレースにはしたくないようです。
ここで気持ちよく滑って結果を出し、得意の2種目につなげたい、というのが狙い。女王・高木選手にも真っ向勝負を挑みます。高木・小平、両選手の同時表彰台が、もしかしたら見られるかもしれません。
小平選手は、バンクーバーでは、3人1組で滑る団体パシュートにも出場。日本女子スピードスケート史上初となる、銀メダルに輝いています。初のオリンピックで、そんな快挙を成し遂げてしまったわけですが、個人種目では1000m、1500m、いずれも5位と、メダルに手が届きませんでした。
続くソチオリンピックでは、500mで5位、1000mで13位と、またも届かず。ここで小平選手は一念発起、スケート王国・オランダへの留学を決意します。日本と違って、専属トレーナーもおらず、自分で車を運転し、スーパーで米や味噌などの日本食を探す日々。孤独に耐えながら、地道に練習を積み、オランダ語も習得。30代にして短距離の第一人者となったのは、この辛抱強さと、あくなき探究心のたまもの。
立ちはだかるライバルは、女子500mでバンクーバー、ソチと連続金メダルに輝き、今回3連覇を狙う、韓国の李相花(イ・サンファ)選手・28歳。小平選手より年下で、プライベートでは仲良しだそうですが、競技生活では常に先を越されてきました。しかし、今シーズンは、李選手が右ふくらはぎを痛めているとはいえ、500mではすべてのレースで小平選手が上回ってきました。「女王交代か?」という声もありますが、李選手も、自国開催の平昌大会で、やすやすと王座を手渡すわけにはいきません。そして地元応援団の大声援もあり、予断は許しません。
しかし、小平選手には、こと短距離に関しては絶対の自信があるようです。オリンピック本番に先立って、同じ平昌のリンクで、今月7日に試走を兼ねた記録会が行われ、小平選手も出場。非公認ながら、なんと37秒05をマーク。これは、小平選手自身が持っていた、低地での世界最高記録・37秒07をさらに更新するもので、世界の報道陣からも、どよめきが上がりました。
それでも本人は
「あまり自分の中では、すごいタイムではないんですけど…」
と苦笑していたほど。
「まだまだ修正するところも多いですし、このリンクで、今の体の状態で、練習通りのスピードが出た」
と、自分の滑りを冷静に分析していました。
小平選手にとって「五輪は通過点にすぎない」そうです。最大の目標は、
「自分の体の限界、人間の体には、どんな可能性があるのかを知ること」
この平常心・探究心がある限り、小平選手、本番でも必ず結果を出してくれることでしょう。
2月12日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」