錦織復帰 ケガは投手が肩を痛めるようなものだった!
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日本時間の昨日の朝、ATP(男子プロテニス協会)のツアー大会「ニューヨーク・オープン」に出場した錦織選手。故障のためしばらく実戦を離れていましたが、半年ぶりにツアーの舞台に帰ってきました。
ニューヨークは、4年前に全米オープンで準優勝したゲンのいい街で、再スタートを切るには格好の舞台です。
相手は世界ランク232位、アメリカのルビン選手。錦織選手は、第1セットこそ手こずりましたが、徐々にペースを取り戻し、7-5、6-3のストレートで快勝。ツアー復帰初戦を白星で飾りました。
試合後、
「復帰してからの試合の中では、今日が一番良かった。試合勘や、出だしの入り方などに悔いの残る部分はあるが、ちょっとずつ良くはなっている」
とコメントした錦織選手。本来の感覚が、徐々に戻りつつあるようです。
錦織選手は、去年の8月に右手首の腱(けん)を脱臼。テニスプレーヤーにとって手首のケガは、たとえて言うと、野球のピッチャーが肩を痛めるようなもの。手術するかどうかで、本人もずいぶん悩んだようです。結局、手術を受けずに、治療で治す道を選んだ錦織選手。リハビリ中はベルギーで過ごしたそうですが、早く治そうと焦るのではなく、
「自分を見つめ直すいい機会をもらった」
とポジティブに捉えました。
この機会に、体のメンテナンスをしたり、新たなトレーニング方法を試したり、気分転換にこれまで行ったことのない場所へ出掛けたりと、ツアーを転戦している時には、なかなかできなかったことに取り組むことで、半年間のブランクを、マイナスからプラスに変えていったのです。
実戦から遠ざかっている間、最高4位まで行った世界ランクは、27位まで落ちてしまいましたが、これについて錦織選手はインタビューでこう語っています。
「まずは前の自分に戻るのが最低限の目標ですが、やはりそれ以上のことをやっていかないと、前のランキング以上にはなれないと思う。精神的にも強くならないといけない。もっともっと、強い自分を目指していきたい」
常に上を目指す姿勢を忘れないところも、錦織選手らしいところです。
さて、今回の「ニューヨーク・オープン」。続く2回戦は、今日この後、日本時間の午前11時半頃にゲームが行われます。相手は、世界ランク72位の、ロシアのエフゲニー・ドンスコイ選手。世界ランク100位以内の選手と当たるのは復帰後、初めてになります。
このドンスコイ選手は、強烈なサービスを武器にするパワーヒッターで、去年は王者フェデラーからも金星を挙げている、なかなか侮れない相手ですが、5年前の全豪オープンでは、錦織選手がストレートで勝っています。
テニスの神にいい休息をもらって、人間的にもまたひと回り成長した錦織選手。実力通りの結果を見せてくれれば、完全復活は、案外と近いかもしれません。
2月15日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」