文書書き換え疑惑~すべてを明らかにできない近畿財務局職員の事情とは?

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3/12(月)FM93AM1242ニッポン放送『高嶋ひでたけのあさラジ!』今日の聴きどころ!③

特殊な組織での特殊な人間関係
7:10~やじうまニュースネットワーク: コメンテーター須田慎一郎(ジャーナリスト)

佐川 宣寿 国税庁 長官 麻生 太郎 財務相

辞任の意向を麻生太郎財務相に伝えに向かう佐川宣寿国税庁長官=2018年3月9日、東京都千代田区 写真提供:産経新聞社

文書書き換え疑惑~佐川国税庁長官が電撃辞任

学校法人森友学園への国有地売却をめぐる決済文書の書き換え疑惑で、文書の書き換えが財務省本省の指示で行われていたことが分かった。政府関係者が明らかにしたもので、財務省が今日国会に示す調査報告盛り込まれる。

朝日新聞の報道に端を発したこの文書の書き換え疑惑ですが、これまで財務省は書き換えがあったかどうかについて、説明は後ろ向きで曖昧な回答に終始していました。それが一転、記述を削除した例があったと、書き換えを認める方針を示しています。これに先立ちまして先週は大きな動きがありました。まず森友学園の国有地売却問題の対応にあたっていました、財務省近畿財務局の男性職員が首を吊って自殺をしていたことが明らかになりました。自殺をしたのは今月7日、つまり5日前とみられます。これが国有地売却問題と因果関係があったかどうか、これについては明らかになっていませんが、遺書も見つかったということです。そして9日の金曜日には佐川宣寿国税庁長官が電撃辞任をいたしました。財務省は慌ただしい動きをみせていましたが、まずは辞任の理由を述べる麻生財務大臣です。

麻生財務大臣)理財局局長時代の国会対応に丁寧さを欠き、国会審議の混乱を招いたこと、また、行政文書の管理状況について様々な指摘を受けていることなどを踏まえて国税庁長官を辞し、退職したいとの申し出があり、本日付で退職させております。

そして佐川氏は麻生大臣の言った理由の「など」の部分、記者団に対して次のように加えています。

佐川)今回、取り沙汰されております決済文書の国会提出時の担当局長であったことを踏まえ、国税庁長官の職を辞し、退職したいとお伝えし、お認め頂きました。今回処分を受けましたこと及び、確定申告期間中に辞職ということになったことについてお詫びを申し上げます。

麻生 太郎 副総理 財務相 会見

【佐川国税庁長官辞任】会見に臨む麻生太郎副総理兼財務相=2018年3月9日午後、東京都千代田区・財務省 写真提供:産経新聞社

誰がいつ何のために書き換えをしたのか? 政治の働きかけはあったのか、政府への忖度はあったのか?

決済文書の話が国会で大きな議論となり、提出時担当局長だった責任を感じたと、書き換えの疑惑も辞任理由の1つとしています。この問題ですが、財務省が大阪豊中市の国有地に関して森友学園側との間で、2015年の5月に貸付契約を結びました。
そしてその翌年2016年の6月には、評価額からおよそ8億円を差し引いた額で売却する契約を結んだというものですが、書き換えがあったのは決済文書に添えられた調書とされています。

当初の文書では交渉の経緯や契約などの際に「本件の特殊性、特例的な内容」といった表現がありましたが、国会議員らに去年開示された文書では削除されたということです。

また複数の政治家の名前、今分かっているところでは、平沼赳夫元経済産業大臣、鴻池祥肇元防災担当大臣、これらの名前が記された国有地売却の経緯をまとめた文書が丸ごと削除されたケースもありました。この書き換えは佐川氏の答弁の整合性をとる、つまり矛盾の無いように、あるいは尻尾を掴まれないようにする、こういった意図があったと見られますが、関係者によりますと、これは財務省本省の指示があったとされています。となりますと、誰がいつ何のために、そして政治の働きかけはあったのか、政府への忖度はあったのか、こういったところが当面の焦点になります。ちなみに野党は書き換えの指揮系統や動機を追及するほか、国政調査権に基づく調査や、佐川氏の証人喚問を要求する構えです。奇しくもバラバラになっていました希望の党や立憲民主党や共産党、野党が1つにまとまるという副産物も今回の課題になっています。

高嶋)大阪地検特捜部が佐川さんに事情聴取するという動きがありますよね。これで急転直下で、とにかく近畿財務局の元担当していた人の部下、年齢も不詳なのですが、その方が首つり自殺をした。その背景には今回の片付かない森友学園の、特に金額とか交渉の経過についての、かなりディテールを知っていただろうというようなことがある。それで事は急に動いて、確定申告の最中であるにも関わらず、国税庁長官がいきなり財務大臣に呼び出されて、出てきたら「辞めます」と。

これ、何か重大な事実でも出てきたのですかね。遺書の中身は分からないでしょまだ。でも見ているはずですよね? 知っているはずですよね?

特殊な存在である財務局~特殊な人間関係

須田)財務局サイドはね。
私、新聞記者やっていた20代の頃に、大阪にいて近畿財務局を担当していたことがあります。これは近畿財務局に限らないのですが、財務局というのは非常に特殊な存在です。財務省の出先機関というからには、本省の命令直下で動いていくのだろうと受け止める人が多いのですが、必ずしもそうではなくて、各財務局、中でも近畿財務局というのは独立王国と言われています。亡くなられた方を含めて、現地採用ノンキャリアの人がほとんどです。財務局長であるとか、その下の理財部長なんていうのは、これ本省からキャリアが来るのですが、それ以外の人たちは地元採用です。地元の学校を卒業して就職するというケースがほとんどです。
その頃から感じていたことなのですが、本省に対するロイヤリティ、あるいは政治家に対するロイヤリティよりも地元の人間関係であるとか、利害関係が最優先されていく経緯があるのですね。今回の森友学園もそうだとは言わないけれども、そういった背景が色濃くあるのではないかなと思います。

高嶋)一部新聞が推理しているように、上の方からこう言われて、その上の方からというのは、まあ前理財局長であったと。それで書き換えたというような、そんな簡単な話ではないかもしれないってことですね。

須田)そうですね。書き換えられる前の文章には、「本件の特殊性である」とか、「今回は特例事項だ」と、その特殊性とか特例というと、すぐ我々はともすると大物政治家が動いたのではないかとか、総理や総理夫人の関与があったのではないかと見てしまいますが、どうもそうではないのではないかというのが、今回の取材を通じて感じることです。

高嶋)要するに地元の本当の事情だとか、かつてのいろんなトラブルが多かったわけですが、そういうものも全部分かっている須田さんとしては、一概にワーワー言ったからどうこうしたとか、それで値段を下げたとか、そういう単純な話ではないと。あそこの近畿財務局管轄の中の、実にこのような難しい問題が入り組んでいるのだということですか?

明らかにできない職員の事情とは?

須田)実は先週の金曜日、そして土曜日とですね、私大阪行って来たんですよ。もうこの際だから一切合切明らかにすべきではないかなと私は思うのですが、そうすると、地元のかつての知り合いだった財務局の職員が言うんですね。「そうは言っても、私たちはここでこれから生活していかなくてはならない」「すべて真相を明らかにして、じゃあその中でどういうハレーションが起こってくるのか、どういう反撃が起こってくるのか、そういったことも全部含めて考えてかなきゃならない」と、そういう言い方をしていますね。

高嶋)反撃。

須田)「お前、なんで喋ったんだ」とかね。そういうことだって考えられると。

高嶋)一般のみなさんは何をイメージしますかね?

須田)そういう特殊な人間関係と考えてもらって良いと思うのですけどね。

高嶋)この出てきた政治家の名前から何かピンと響くものはありますか?

須田)地元の政治家が中心ですよね。もちろん籠池さんの親しかった保守派の平沼さん、これは岡山ですから地元じゃありませんけどね。そういった保守系と、やっぱり地元、野党の、元民主党の政治家の名前も書かれていたとされていますからね。そういうところを考えると地元に顔が効く政治家に頼んでいますね。

高嶋)その微妙な箇所にまでことが及んで行きそうな事実関係というのは、だんだん掘られそうなのですが、安倍さん今までずっと一貫して丁寧に説明すると言って、してきたつもりのようですが、これから先を考えるとどんな事態が予想されますか?

須田)野党としては、書き換えの指示が本省の指示だったのではないのかというところで、内閣全体の責任にしたい。そして特殊性だとか特例っていうのは自民党、あるいは政府の関与があったのではないか、というロジックに持って行きたいのだろうなと思いますけどね。

高嶋)総裁選が秋にありますけど。二階さんの自民党としての態度とかね。ああいうのと照らし合わせてみると何か動きはありますかね?

須田)今後の動きを見ていかなくては、これについては何とも言えないのではないかなと思います。与党もあるいは政府もこの際、全部表に出すべきだと思います。

高嶋)本当ですね。

須田)何か事が起こったら、「全部面倒見るから」と、「保証するから」というような一言があれば、事実関係出てくると思いますよ。

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00

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