南北首脳会談~韓国の狙いは北朝鮮を通じて中国に近づくこと?!

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4月27日  FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②

南北首脳会談今日開催、その行方は
7:10~お早う!ニュースネットワーク:コメンテーター宮家邦彦(外交評論家・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹)

文在寅 大統領 金正恩 朝鮮労働党委員長 南北首脳会談 支持 韓国人 ソウル

2018年4月25日、ソウルで韓国の文在寅大統領と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のお面を着け、南北首脳会談を支持する韓国人(韓国・ソウル) 写真提供:時事通信

南北首脳会談が本日開催

韓国文在寅大統領と北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長の首脳会談は、今日午前10時半から軍事境界線上の板門店で南北首脳会談を行う。金氏は1953年の朝鮮戦争休戦以来、初めて韓国領に足を踏み入れる北朝鮮の指導者となる。

飯田)未明に平壌を出発し向かっているということですが、この行方について伺っていきます。ここで産経新聞の元ソウル支局長、加藤達也記者と電話が繋がっていますので聞いてみたいと思います。加藤さん、おはようございます。現地からいろいろ報告があると思いますが、どういったムードですか?

加藤)現地のプレスセンターが凄く大きなものが用意されまして、世界中から3,000人くらいの報道陣が集まっているそうです。高揚感というものが訪れているのですが、この高揚感がくせ者でして。まるで芸術公演のような雰囲気、演出でして、周りの雰囲気を全部飲み込んでしまう。北朝鮮の91年に核が安全保障の問題となって以来、欺き続けてきた上にいまがあるのだという本質を、覆い隠してしまいかねないとの懸念も指摘されています。

飯田)でもそういった声というのは韓国国内ではあまり盛り上がらないところなのでしょうか?

加藤)懸念を指摘する人は保守の、しっかり物事を考えている人、そういった方々の間にとどまっているような感じがしますね。

北朝鮮を通して中国に近づきたい韓国~中国の政治に憧れる韓国の政治家

飯田)保守派の懸念としては、まるで北に飲み込まれるんじゃないかといった危惧もあるわけですが、そういった可能性はあるんですか?

加藤)いまの韓国というのは、北に飲み込まれるというより経済安全保障の方向性、中国に近づこうとしているフシがあるのです。ですから、北の懐に直接飛び込んで行こうという発想ではないような方向性だと思うんですね。

飯田)経済面では相当中国に依存している部分があると言われていますが、その部分も大きいわけですか?

加藤)そうですね。それから中国型の安定した、他の国に左右されない力強い国内外の政治運営ですね。ここに韓国の政治家が憧れてしまうという背景もあるようですね。

飯田)その流れのなかで、元々中国とも近い北朝鮮と話をしていこうという思惑もあるわけですか。

加藤)経済的には中朝韓、長期間にわたって経済の連携などを強化していきたい、そういう思惑もあるようだと思います。

飯田)日本としては対北朝鮮の拉致問題、これを産経新聞はずっと問題を提起し書き続けてきました。文大統領は今回の南北首脳会談で言及すると言ったようですが、実際予定通りに言うものですか?

加藤)これはアメリカのトランプ大統領とも歩調を合わせる形で、日米韓で協調して力を掛けていくという韓国政府の意思も反映されたことで、拉致を解決しろという日本とアメリカの圧力を背に受けて、それを反映した動きだと理解していいと思います。

飯田)宮家さん、何か加藤さんに聞くことなどありますか?

南北首脳会談~韓国の狙いは北朝鮮を通じて中国に近づくこと?!

韓国国民は文政権の政策に肯定的

宮家)韓国はどのくらい前のめりでしょうか。それでどれくらい北の上手い話に乗りそうな気がしますか?

加藤)一番新しい韓国ギャラップという世論調査機関のデータがあります。これを見ますと、現在の大統領の政権運営について、北朝鮮の対応を含めて約70%が肯定、21%が否定です。更に文大統領を支えている与党の支持率は50%を超えているのです。そして6月の統一地方選で政権は圧勝したいと考えていますので、今回のファクターを最大限に活用して国民にも一層融和ムードをアピールしていくと。飲み込まれることには警戒心は強いですが、文政権の力強くこのままいくんだといった方向性は変わらないだろうという見方ができると思います。

飯田)加藤さんありがとうございました。加藤元ソウル支局長のお話を伺いました。韓国は盛り上がっている感じが伝わってきました。

宮家)その通りだと思うんですよ。韓国にとって同じ民族が分断されているというのは事実ですから。そして中国もアメリカも朝鮮半島の人間から見ればよそ者なので、自分たちのことは自分たちで決めたいというのはわからないでもない。問題は前のめり過ぎて不必要な譲歩をしてしまって、その結果周りの国に迷惑をかけるのは困るということだと思います。

米朝会談へ向けて注目するべきところ

飯田)日本やアメリカとは考え方がそもそも異なるところですが、アメリカはどう見ているのでしょうか。

宮家)アメリカは北朝鮮がアメリカの本土を直接脅かすような、核弾頭付きのICBMを開発することに対して極めて強い拒否反応があると思います。問題はそれでアメリカに来なければいいやと思われたら困るけれども、恐らくアメリカとしては2つの相反する気持ちがある。本当はアメリカファーストだからアメリカのことに集中したい。外交とかどうでもいいのですよ。外国で介入する、戦争する、そんなものあほらしくてやるか、というのが1つの考え方ですね。
同時に日本、韓国、それ以外にも東アジアなどの経済成長が最も高い、世界で一番豊かになるだろう地域で同盟国がいて、アメリカもその地域でプレゼンスをもっているこの状況を変えたくない。それにチャレンジしているのは北朝鮮ではなくて中国ですから。米中関係のなかで北朝鮮の問題を捉えれば、核兵器を単に破棄させるだけでなく、中国が台頭してくるなかでこの地域を安定させたいとの気持ちがある。トランプさんがどこまで考えているかわからないですが、少なくともワシントンの心ある人はそう考えているはずです。その発想でトランプさんがちゃんとやるか、あるいは韓国から撤退したいとされたら困る。今回の結果というのは米朝首脳会談を左右する重要な会議ですから、その部分を注目したらいいと思います。

北朝鮮は「非核化」のカードを簡単には切らない

飯田)非核化ということが今日の新聞の一面にも出ていますが、これについて大きなカードは恐らく切らないということですか。

宮家)非核化で「恐れ入りました、全部やめます」なんて言うわけがないと思います。それを最初に切ってしまったら彼らは取れる物を取れなくなると思っていますから。最後の手段としてどうしてもやらなきゃいけないのであれば小出しに段階的にやっていく。その間に取れるものだけ取ったなら、なかったことにしようという風に考えているかはわかりません。真摯にやってくれていると信じたいですけれどね。しかしいままでの騙された経緯を考えたら、我々は眉唾で対応しなくてはいけないわけですから。いかなる理由でも核の開発だけは許さない気持ちで、本当に彼らがその気になっているのかをしっかり見なくてはいけないと思います。

飯田)もう壊れて使えない実験場を「破棄した」と言って成果のように見せるというような。

宮家)勘弁してくださいと思います。使わなくなったものを壊したりするのであれば査察をさせて、そして全部見せなさいと。それをやらなくてはいけないですよ。

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