日米首脳会談~安倍総理がトランプ大統領に主張すべき2つのこと
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日米首脳会談~G7サミットへ向け安倍総理が羽田空港を出発
7:10~お早う! ニュースネットワーク その1:コメンテーター高橋和夫(国際政治学者)
米朝首脳会談へ向け、トランプ大統領へ言うべきことと交渉術
安倍総理は昨日夕方、トランプ大統領との日米首脳会談や、G7サミット(先進7カ国首脳会議)に望むため、羽田空港を出発し、先ほどワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地に到着した。
飯田)まずは日米首脳会談をワシントンで行う。当然ここでテーマになるのは、目前に控えている米朝首脳会談ですね。
高橋)そうですね。「その後のG7サミットで対立を浮き彫りにするのではなく、米朝のサミットが成功するようにみんなで後押ししよう」と、安倍さんは呼びかけています。そういう意味では、トランプさんを上手に手懐けている気がします。
問題は、米朝で話す問題についてです。日本としては当然拉致問題を解決してもらわないと困る。その問題が解決すれば、安倍さんは選挙をしても勝てる。これは大きい。
もう1つは、あまり話題になっていませんが、問題なのはアメリカが北朝鮮に求めるのは核兵器や長距離ミサイルの廃棄ですよね。それはいいのですが、それで終わってしまうと日本に届く中距離ミサイルが残ってしまう。アメリカは安全になっても東京が北朝鮮の射程内のまま、というのは困ります。ここは、「しっかり中距離ミサイルまで話をしてくださいよ」と、安倍さんはトランプさんに釘を刺す必要があります。飯田)交渉前から言われていたのは、「アメリカにとっても脅威は長距離ミサイル(ICBM)だから、最悪の妥協としてはそれだけ廃棄させることもあるのでは?」と言われていますよね。
高橋)そうですね。日本としては困るので、トランプさんは気分がいいとき、いろいろ言うことを聞くと言いますから、「米朝首脳会談が成功するように応援します!」と言って、いい気分になっているときに主張を押し込むといい。
アメリカの政権下で唯一生き残っているのはマティス国防長官ですが、彼はいつもそうしているそうです。「大統領、あなたはいろいろ成功していて本当に素晴らしい……ところで、これやってください」と持って行くそうです。安倍さんはトランプさんにそこまで入り込んでいますし、せっかく上手くいっているので、「要所は拉致問題と中距離ミサイルです」としっかり刷り込んでいただきたいですね。米朝首脳会談はトランプ大統領にも金正恩委員長にも大きなチャンス
飯田)トランプさん、1度イスを蹴って「強硬になった!」と思いきや、ここのところ、「最大限の圧力は、使いたくない」とか、最近おとなしくなっている気がしますが、どうですか?
高橋)いろいろ見方があると思います。トランプさんは米朝サミットをやりたい。その素晴らしい栄光で中間選挙や次期大統領選挙を戦いたいのです。もちろん北朝鮮側もやりたい。だって超大国のリーダーと1対1で対等に話せるわけですから。委員長としても「俺の外交は成功している」と国民に言えます。重要なので、どちらもやりたいのですが、どういう条件でやるのかというところで綱引きがあったわけです。
私が心配なのは、みんな「トランプさんは取引が上手い」と言いますが、会社を何回も潰していますからね。「会社を何度も潰した」と、「何度も起きあがった」のどちらを見るかですけどね。なので、本当に上手いのかな、と。会社を潰さずに取引をやった方が当たるといいなというのが私の見方です。飯田)G7サミットは貿易問題が1つのテーマになります。G7の財務省と中央銀行の総裁会議では、かなりやり合ったというか、「G6+1で、アメリカだけ別」みたいな風にも言われましたが、この流れを引きずりますか?
高橋)構図は変わらないですよね。ただ、サイバーセキリュティとか、他の問題にフォーカスを当てれば中国が悪者になる。そういう意味では、意見が違うのは分かっているのだから、みんなの前でケンカしてみせる必要はないと思います。ただ、アメリカとしては、叩かれるほど有権者にトランプさんは「俺はお前らのために頑張っている。日本やヨーロッパに嫌われても、お前らの仕事は守る」となるので、応えないと思います。
日本がするべきは弱腰と言われようと拉致と核問題の解決
飯田)カナダやフランスはファイティングポーズをとって、財務大臣相手のときはやりました。一方、日本はアメリカにあまり強く言えない。「弱腰では?」と国内でも批判があがっていますが、どうですか?
高橋)拉致問題やミサイル問題もあるし、いい格好をしてもいいのですが、それよりも実をとりたいと私は思います。拉致問題解決を成功してもらうこと、サミットを成功させてもらうこと、そして核問題解決。これは日本人全体の問題ですからね。カッコよさを求める必要はない。ダサいと叩かれるくらいが、外交はいいと思います。
飯田)結局国益にフォーカスすると、立ち回りはパフォーマンスじゃない方がいい、と。周囲の国がパフォーマンスでトランプさんとファイティングポーズをやるとなると、安倍さんの橋渡し役としての存在価値が上がっていくわけですか?
高橋)そう思います。ヨーロッパから見れば「どうして付き合ってくれない?」はあると思いますが、安倍さんや近くで外交を仕切っている人としては「みんなでやってもトランプさんがひっくり返るわけじゃない」という見方があると思います。ヨーロッパ人も、「ファイティングポーズで国内的には自分たちの人気があがる」と分かっているし、それなりのお家事情があるので、ヨーロッパを悪く言うわけではないですが、別にもう1人がファイティングポーズをとってもどうということはないと思います。
飯田)お互いに打算と、自分の利益と国益とで、ぶつかり合うわけですね。
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