横田拓也が語る「拉致被害者家族の40年」

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5/15FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!④

拉致事件解決へ日本政府がすべきこと
7:42~ココだけニュース スクープUP!:コメンテーター有本香(ジャーナリスト)

横田 めぐみ 拓也 全 拉致被害者 帰国

金正恩朝鮮労働党委員長に手渡してもらおうと米政府高官に託した「全拉致被害者の帰国」を迫るメッセージを示して訪米を振り返る横田めぐみさんの弟、拓也さん=2018年5月4日、米ワシントン 写真提供:産経新聞社

国連本部のシンポジウムでめぐみさんのぬいぐるみを手にスピーチ

北朝鮮による拉致被害者家族連絡会事務局長・横田拓也さんに話を伺った。

飯田)5月3日、国連本部のシンポジウムでスピーチされた際、手にぬいぐるみを持っていらっしゃいました。

横田)姉が拉致された時、その年まで遊んでいたぬいぐるみだと母から聞いています。シンポジウムでひとり4分の持ち時間をいただいているのですが、やはりビジュアルで、聞いている方にダイレクトに伝わる効果があるだろうと考えまして、母に無理を言ってぬいぐるみを持っていきました。これほど小さな時に起きた事件なんだと、しかも40年解決されないままなんですよということを多くの国のひとに聞いてもらって、この問題への理解をさらに深めてもらおうと考えました。

飯田)聴衆の反応はいかがでしたか?

横田)シンポジウム以外にもこのぬいぐるみをいろんな方にお見せしたのですが、皆さん一様に心を痛めて「大変なことだね」と言っていました。

飯田)様々なところで写真の巡回展を行ったり、僕は三越の展示を見にいったのかな、それこそドレスだとか人形なんかも展示されたりしていました。
メールもいただいています。
『横田めぐみさんの拉致事件、遠い新潟県のことだとずっと思っていたんです。ただある時、巡回展で広島県呉市の音戸(おんど)の瀬戸公園の写真を見ました。私はその時期、その近くで育っていたので、ひょっとしたらめぐみさんとすれ違っていたかもしれない、広島市民球場で同じ試合を見ていたかもしれないと思うと、拉致事件についてリアリティを持って感じられるようになりました。全ての拉致被害者の生還を祈っております』
めぐみさんが小学4年生の時にお母様の横田早紀江さんとふたりで写っている写真ですよね。

横田)幸せな頃の写真を見ると、心が痛むんですけど、この幸せな時間を取り返してほしいと、多くの国のひとに伝えてきました。

飯田)今、私が住んでいるのは東京の大森のあたりなんですが、横田さんのご家族もそのあたりの社宅にいらっしゃったことがあったと伺って、いつ、何時、我々に降りかかってきてもおかしくない、全く他人事ではないということですよね。

有本)めぐみさんは私よりも2歳若いのですが、13年位前にある方のホームパーティで横田さんのご両親とお目にかかりました。その時、お父様の滋さんが私の斜め前に座られたんです。座った途端に私に「大変失礼ですけど、めぐみと同じくらいの年ですか」とすぐ聞かれたんです。同じくらいの年齢の女性を見ると、そういう風に思われるんだろうなと思いましたし、その時に印象に残っているのが、当時、私は40ちょっとくらいだったんですけど、まだこんなに若いのかと、今帰ってきたら、まだまだ人生を楽しめるんじゃないかと、勇気が湧いてきましたと仰っていました。
あれからもう10数年経ちました。私たち自身の力不足というのも痛感するところです。
もっともっとこの問題に対する啓発を我々もしていかなければならないと思います。

日本政府には全被害者の即時一括帰国という大原則を貫いて欲しい

横田)姉にもし、この事件がなければ、いろいろな夢を抱いて自己実現も出来たし、平和な家庭も持てたと思うんです。そういうことが何故できないのかと思うと悔しいし、北朝鮮には一刻も早く返してほしいと、言い続けるしかないと思います。

飯田)40年も経ってしまって、振り返ってみて横田さんご自身はいかがですか?

横田)難しい問題に直面しているなと思っています。ただ、この問題に直面しているからこそ、日本が負わなければいけない大切なことを、私自身が学んでいると思っているので、この気持ちを消さないようにして、この問題を解決して、日本の皆さんにめぐみは帰ってきたよと、誇れるようなことがゴールになったらいいなと思っています。

有本)日本が直面している問題と仰いました。先ほどアメリカでは受け止め方が随分変わってきたというお話もありました。日本ではこの問題を国会で活発に議論することもないままきているわけです。日本政府に改めて今、望むこと、先ほどは幕引きをしないでということもありましたが、今後さらにいろいろな形で日本政府も交渉をするんでしょうけど、具体的に政府に望むことはありますか?

横田)日本政府は文部科学省ですとか、いろんな省庁に指示を出していて、啓発啓蒙活動はしているのですが、やはり40年と時間がかかりすぎていることが、忘れてしまうことを誘発するリスクがあります。ここで一番大事なのは、これから日朝で対話をする時も、日本政府は段階的な譲歩を受け入れてはいけなくて、全被害者の即時一括帰国、この大原則を貫いて欲しい。

有本)これは横田さんにというよりも我々がもっとお伝えしなければならないのですが、日本国内でもっと取り組めることは、あると思っています。例えば朝鮮総連の問題、拉致そのものに関わった人達、機関。こういうものに対する情報開示というようなことですね。あるいは朝鮮総連そのものの破産というような手段を取るかどうかというところも検討はしているのでしょうが、これをどう使っていくかというのは政治の力が試されるというように思います。
日本側の取り組みについて、逆に国際社会に出られた時に何か言われたりすることもあるとお聞きしましたが

横田)今回の訪米も、その前もそうですけど、国連の各国の代表部に行って、拉致問題を説明しに行くわけですけど、やはり先方からはじゃぁ日本ではどうなっているんだと、例えば朝鮮総連は今どうなっているのですかと聞かれることはよくあるんです。これはやはり日本が何をやっているんだと聞かれているのと同じことなので、聞かれる私たちとしては辛いところです。

横田拓也が語る「拉致被害者家族の40年」

国会では拉致問題、人権問題、北朝鮮問題に議論の時間を割いて欲しい

飯田)横田さんに聞くのは筋違いだし、酷だと思いながら敢えて聞くんですけど、Twitterで結構いただいたご意見ですが「拉致問題について詰めていかなければいけない時に、今の国会はなんであんな話をしているんだ」と。森友や加計問題も重要かもしれないけどと。
国会の審議をご覧になっていて、どうお感じになっていますか?

横田)拉致問題は、党派関係なく議員連盟、議連があって、今回の訪米も同行してくださったので、この問題は他の問題よりも協力していただいているとは認識しています。ただ日本が置かれている外交や政治的なリスク、安全保障のリスクを考えた時に、もう少し拉致問題、人権問題、北朝鮮問題に議論の時間を割いて欲しいなと率直に思います。

有本)それはそうですよね、

飯田)本来だったら、日本国民が拉致されているんだから、どうして日本が出ていかないんだ、どうしてアメリカに頼らなければいけないんだと。

有本)本当ですよね。

飯田)横田さんはそういう葛藤を何度もなさってきたと思いますが。

横田)今、解決していないということは、現在進行形のテロなので、今日、明日にでもまた起きても不思議はないと言っても過言ではありません。この問題は政府が真剣に取り組んでいただくべきだと考えます。

有本)今、拉致被害者として政府が認定しているひとが12人ですね、それ以外に拉致の疑いを排除できない特定失踪者と言われる方々が全国で800人以上いらっしゃいます。
私もそういった方々にテレビで取材をしたことがありますが、この方々もこの事件の行方を見守っているわけですよね。
横田さんの場合は日本海側でしたが、実は太平洋側も含めて飯田さんがさっき言ったみたいに、本当に我々自身がそういう目に遭っていたかも分からない、この実感をもっと持ち続けて、そして多くの人に持っていただかなければいけない必要があるなと思いますから、その意味でもやっぱり国会がもっとこの問題に時間を割くべきだと強く思います。

飯田)私たちメディアも含めてですね。横田さんは次の時間があるということで、そろそろお別れの時間となります。最後にリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。

横田)北朝鮮問題の一番の力になるのは、国民の皆さんの世論、ご理解、継続的なこの問題に対する関心だと思っています。この問題が忘れられた時点で、政府はこの問題を動かそうとはしなくなりますし、国際的な世論の喚起もできなくなります。
皆さんおひとりおひとりの、継続的な理解の浸透とご支援をお願いしたいと思っています。

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