米朝首脳会談~歴史的ではあるが、完全非核化へは遠い道のり

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5/11  FM93AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ!②

米朝首脳会談は来月12日にシンガポールで開催
7:10~お早う! ニュースネットワーク その1:コメンテーター高橋和夫(国際政治学者)

米朝首脳会談の仲介をシンガポールが行う

トランプ大統領は10日、自身のTwitterで米朝首脳を来月6月12日にシンガポールで行うことを発表した。シンガポールがアメリカ、北朝鮮双方と良好な外交関係を持つ中立的な立場であることや、保安警備能力の高さなどが評価されていると見られている。

飯田)シンガポールというと中タイの首脳会談の舞台にもなったところです。仲介外交というのはお手のものなのですか?

高橋)それをやることによって、小さな国だけど外交的には存在感を示してきた国ですね。

飯田)北朝鮮ともここは仲が良いということですか?

高橋)仲が良いというわけではないですけれど、繋いでおこうというところはあって、北朝鮮の人たちがシンガポールにいるときはかなり厳しく監視していて、事前に北朝鮮側の動きを封じてきていると。シンガポールにしろマレーシアにしろ、アメリカとの関係が深いですよね。アメリカに追従するだけでなく独自の立場を持っているということを示すためにも、北朝鮮と関係を持ってアメリカとの違いを主張しているということです。

CIA 長官 マイク ポンペオ 金正恩 握手

2018年3月31日、アメリカのCIA長官マイク・ポンペオと握手する金正恩(右)(金正恩 - Wikipediaより)

今回の会談での交渉は非核化への第一歩のにすぎない

飯田)板門店でやるとかモンゴルでやるとか、いろいろなところが出てきていましたがシンガポールということで、交渉の中身についてもっと詰まっていれば板門店だっただろうということを指摘する人もいるのですが。

高橋)朝鮮戦争も正式に終え、平和条約に行くのだったら板門店が相応しかったかもしれないですね。でもこの首脳会談で世界の注目が集まって、トランプさんは宇宙の中心に座るわけで、これが1回で終わるわけはないですよね。最後は板門店という落としどころだってあるし、シンガポールは第1歩であって最後の1歩ではないのかなと思います。

飯田)積み残しを残しても、まずはやることに意味があるところが大きいと。

高橋)恐らく、せいぜい「非核化に向けて努力しましょう」という原則合意ですね。その期間や詳細を詰めるというのは大変でして、イランとの核合意なんてオバマ政権は7年かけてまとめましたからね。

飯田)大統領2期丸々使って、ようやくまとまったと。

高橋)ですから始めて2、3週間で終わるというような交渉ではない、というのは北もアメリカも分かっていると思います。トランプさんは気が短いからもっと早くやれと言うかもしれませんが、中間選挙までにそれなりの成果を出せば良くて詳細はそれからということになると思います。

飯田)その中間選挙に向けての成果ということであれば、本当の中身よりはショウアップすれば良いと。

高橋)古い話ですがニクソン大統領が北京に行って、大歓迎を受けて毛沢東と握手していましたが、台湾の問題は実質解決していなくて今日まで引きずっているわけですから、ショウアップすることが重要です。そういう意味ではシンガポールの方が絵になりますね。

リチャード ニクソン 周恩来 首相 北京 空港 握手

北京空港で周恩来首相と握手するニクソン。1972年2月21日(リチャード・ニクソン - Wikipediaより)

非核化への双方の考え方には相当の隔たりがある

飯田)非核化についての道筋だとか、「CVID」と言われる完全で検証可能で不可逆的な核放棄というものをアメリカが求めている。一方で北朝鮮はもうちょっと段階的に「ちょっとこっちも譲歩するからおたくも譲歩してよ」みたいになっていると。落としどころというのは難しいわけですか?

高橋)相当難しいですね。例えばイランとの合意では、イランの核施設がどこにあるのかをアメリカは知っていたわけですよね。ところが北朝鮮に関しては、核施設の場所は分かってもミサイルがどこに配備されているのか分からない。だから先制攻撃できなかったというところもあるわけです。ですから北側はアメリカが全部知っているのか分からないのに手の内をさらけ出すというのはやらないんじゃないかなと思いますね。交渉で全部晒せということでアメリカがリストを出したら、北は知らないところがあるとわかりますから、これは相当な駆け引きになると思いますね。

飯田)かつてはIAEAが査察に入りましたけれど、全部見せてくれたわけではなかった。そして途中で追い出したというのがありました。今回はリビア方式と言われてアメリカが直接乗り出すとも言われていますけれども。

高橋)リビア方式というのは、事前にリビアの大量破壊兵器を晒させて処理して国際社会に復帰させますよというものだったのです。しかしリビア方式の結果何が起こったかというと、その後アラブの春のときにNATOがリビアに介入して、リビアは大量破壊兵器を持っていないから安心して爆撃して、結局カダフィさんは殺されちゃいましたよね。リビアとしてはカダフィさんが生き延びて、自分の息子に王朝を渡すというのがカダフィさんの狙いだったのに、結局殺されちゃってリビアがガタガタにされた。北朝鮮の人たちはとてもよく中東のことを知っていますから、リビア方式という言葉自体が引っ掛かるのではないかと思いますね。

飯田)そうすると、まずそこには乗って来ないと。だから段階的というのを言ってくると。これはとば口のところで結構隔たりが大きいわけですよね。イランは7年かかりましたけれどもっとかかる可能性だってあるということですね。

高橋)そうですね。ですから原則合意を早くして、詳細は小さなものを相当時間をかけてということになると思いますね。

カダフィ ムアンマル アル=カッザーフィー アフリカ連合 サミット

アフリカ連合のサミット出席時のカッザーフィー(2009年2月)(ムアンマル・アル=カッザーフィー - Wikipediaより)

日本人拉致問題の進展はあるか?

飯田)もう1つ日本にとっては拉致問題、拉致被害者をどう取り返すかというところですが、メールで頂いているのが「トランプ大統領は北に拘束されていた3人を取り返しました。ただ専守防衛、対外的な軍事力も無い日本ではどうしたらこの拉致被害者を取り戻すことができるのでしょうか」と頂きました。これは頭の痛い問題ですね。

高橋)簡単ではないですね。現在アメリカ、日本、韓国が協力して進めてきた経済制裁に、恐らく圧力を感じてこの3人を介してアメリカと交渉しようということですから、交渉がまとまるまでは簡単に経済制裁を緩めてはいけないということですね。「その代わり上手く進んでいけば北の経済が発展するのを助けますよ、日本人を捕まえていてもいいこと無いでしょう」ということで納得してもらうしかないと思いますね。

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