ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（7月9日放送）にジャーナリストの須田慎一郎が出演。日米韓外相会談における、日本の外務省の特徴について解説した。

3カ国外相会談を前に、記念撮影する（左から）ポンペオ米国務長官、河野外相、韓国の康京和外相＝2018年7月8日午前、東京都港区の飯倉公館（代表撮影）　写真提供：共同通信社

日米韓外相会談～日本は交渉できる体制が整っているか

日本・アメリカ・韓国の外務大臣が、昨日都内で会談した。アメリカのポンペオ国務長官が、6～7日にかけ北朝鮮を訪問し金英哲副委員長と協議した内容について、河野太郎外務大臣と韓国の康京和外務大臣に説明し、CVID（完全で検証可能かつ、不可逆的な非核化）に向けた具体的手順について協議している。

飯田）3カ国会談に先立ち、河野氏はポンペオ氏と個別に会談もしたようです。「最大限の圧力の維持について議論した」とのことです。北に対して、どこまで圧力をかけて非核化できるかの議論になっていますが、どこまで進展があったのでしょうか？

須田）日本の立場で考えると、キチンとアメリカ側と交渉・やり取りができる、あるいは、これから日朝交渉の段階になったとき、キチンと交渉できるだけの体制が整っているのか。いまアメリカがどうなっているのかと言うと、ポンペオさんは国務長官なのでカウンターパートナーは外務大臣になりますが、元はCIA主導でずっと進めてきた交渉ですよね。いまのアメリカのホワイトハウスは、「国務省は過去5回騙されているから、今回の交渉では外すんだ！」となっている。ポンペオさんは国務長官ですが、CIA主導で交渉しているのです。
一方、北朝鮮からは金英哲副委員長が出てきていますが、彼は統一戦線部長です。統一戦線部は言うまでもなく北朝鮮の諜報機関で、当時のトップは金英哲氏ではありませんが、かつては日本人拉致を主導した組織です。拉致問題について詳細を把握しているセクションであり、そこのトップとポンペオさんが出てきたということは、ある意味でCIAと統一戦線部が交渉しているような側面もあるのです。

諜報機関ではない外務省では力不足感が否めない

須田）では、「いざ日本は？」となると、外務省は諜報機関ではないので、情報、インテリジェンスの点に関して言うと、ちょっと外務省では役不足ではないかなと思います。
日本も北に対して「警察や諜報の専門家が交渉に立つ」となっているけれど、そこに外務省が、「いやいや、外務省主導でやります」と、組織改編を最近やりましたよね。

飯田）北朝鮮担当の課を作りましたね。

須田）これは北朝鮮との本格交渉に備え、このセクションを作りました。どうも見ていると、そこで綱引きが行われているのではないか。だから、そこは外務相が主導するのがいいのかどうか、日本は考えてみる必要があると思います。
なぜこういうことを言っているのかというと、北朝鮮の放送では、「アメリカは強盗だ！」と言い出している。その真意はどこにあるのかです。国営メディアがプロパガンダ的に放送する内容と、実際の交渉現場のギャップをどう捉えるか、外務省にできるのかどうか。アメリカは自信を持って「あれはプロパガンダ。交渉の1つの手段」と冷静に対応しています。

警察との連携が必要になってくる

飯田）ポンペオさんは「我々が強盗なら世界中が強盗になる。元は国連安保理の物だから、何が強盗だ？」と言い返していますからね。でも、諜報機関を相手にする日本のカウンターパートとなると、NSC（国家安全保障会議）とか、その辺が「本来的にはカウンターパートになるのでは」と作る当初は言われていましたが、ここはどこまで機能しているのですか？

須田）確かにトップは外務省OBの谷内正太郎さんですが、ここは外務省と防衛省両方のセクションを共管しているようなところなのです。外務省は頼りにならないけど、防衛省の情報セクションが主導権を握ることが、必要なのではないかと思います。
しかもアメリカのCIAのカウンターパートナーとなると、日本で言うと警察です。公安なのですよ。警察や警察庁との連携が必要になってくると思います。

飯田）本来的には、官僚側の官邸トップとなると事務の副長官ですが、杉田和博さんは元は警察出身ですよね。その辺で「上手くできないことはないのでは」と素人は思いますが、なかなか難しいですか？

須田）外務省のよけいな横槍をどこまで抑えられるか、だと思います。

飯田浩司のOK! Cozy up！
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