外務省に北朝鮮専門担当課を新設~朝鮮半島のパワーバランスは変わるか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(6月29日放送)に外交評論家の宮家邦彦が出演。外務省が発表した北朝鮮の専門担当課の新設について解説した。

外務省の北朝鮮専門担当課

外務省は北朝鮮の問題を専門に扱う担当課を明後日、来月1日付けで新設すると発表した。現在、朝鮮半島全体の外交を担う「北東アジア課」を韓国担当の「第1課」と北朝鮮担当の「第2課」に分割する。

飯田)1つの課だったものを2つに割るということですけれども、外務省ご出身の宮家さんからご覧になって、こういうことはあるのですか?

宮家)時々あります。僕がいたときは北米局の「安全保障課」というのがありました。その課を2つに割って「安全保障条約課」と「地位協定課」というものを作りましたが、あのときは失敗しました。
北朝鮮の問題を専門にやる課長が必要なのはわかります。国会から呼ばれて国会答弁を作り、いろいろな方々に連絡を取りながら、同時に北朝鮮とも話をしなくてはならない。1つの課長が韓国も北朝鮮も、というのはなかなか上手くいかないのです。だから割らなくてはいけない。
問題は、課長が2人ということは1つの王国に王様が2人できるということです。本来、王国があったら王様と皇太子がいなくてはいけないわけです。そうして差をつけることによって上手く分業ができるのだけれど、王様が2人いたら上手くいかないわけです。北米局の場合は上手くいきませんでした。

バランスのとり方が難しい北朝鮮担当課と韓国担当課

宮家)ただ、他にも例があって「中国課」、これは1課と2課の2つに分けたはずです。このときは中国の経済と政治で分けました。経済と政治の分け方であれば、これは比較的上手くいきやすいと思います。
「北東アジア課」を2つに割るとき、韓国を担当するだけでも大変だから1つの課長が見るのはいいのだけれど、北朝鮮も含めた朝鮮半島全体の政策を考えたときに、課長が2人いたらどうやって上手くバランスを取るのかというのは、これから試行錯誤があるのかもしれない。実際に何が起きているのかというと、恐らく「北東アジア課」という大きな課があるわけだから、広いスペースがあるわけですよね。そこに看板を2つかけるわけです。なかではもう北朝鮮担当みたいな人が既にいるわけで、恐らく庶務をやっている人たちは共通。それで韓国担当と北朝鮮を分けるだけだから、外から見たら何が変わったのかよくわからないと思います。
両国のバランスを見ると、どちらかが主導権を持ってやっていかないといけないので、上手く相互乗り入れみたいなことができればいいなと思っています。北米局のときには上手くいかなかった。結局、いまどうなっているかというと「日米安保条約課」と「地位協定室」になりました。「課」のなかに「室」がある形になった。

飯田)そこで指揮命令系統のヒエラルキーをつけたわけですね。

宮家)確かに「北東アジア課」で「北朝鮮室」というわけにはいかないのでしょうね。課長2人になると王国に2人の王様がいる形になるので、これだけは注意しなければならないと個人的には思います。

飯田)北朝鮮を動かすにも韓国を見ておかなければいけないし、逆もまた然りですよね。

宮家)連動していますからね。同じ半島で南北に分かれているわけですからね。全く別々というわけにはいかないですよね。1つの賭けではあるかもしれません。

飯田)下手をすると、縄張り意識が芽生えちゃうかもですか。

宮家)そこまでの余裕はないとは思いますけれども、上手くやるためには良い意味で分業と協力をしながら、舵取りが求められるだろうと思います。

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