ポンペオ国務長官訪朝~米は北朝鮮の核を認めるしかないのか?
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(7月5日放送)に国際政治学者の高橋和夫が出演。米・ポンペオ国務長官が訪朝するという報道から、北朝鮮と中国の関係もふくめ、米朝会談で掲げた北朝鮮の非核化の現状について解説した。
アメリカのポンペオ国務長官~非核化へ道筋、明日訪朝
アメリカ政府は記者会見の中でポンペオ国務長官が北朝鮮訪問に出発すると発表した。平壌への到着は明日の予定。ポンペオ氏の訪朝は6月12日の米朝首脳会談後から初めてで、3回目となる。金正恩朝鮮労働党委員長と会談の見通しで、首脳会談で合意した完全な非核化の具体的な手順を協議するということである。
飯田)もともと6月中に訪朝するのではと言われていたのが延び延びになっていたのですが、このタイミングでどういう成果がありそうですか?
高橋)6月の米朝首脳会談後、すぐに行けばよかったのですが、話が煮詰まらなかったのでしょうね。といっていつまでも行かないわけにはいかない。行くぞとなった途端にいろいろなニュースが出てきて、北朝鮮がウラン濃縮をやっているのではないかとか、ミサイル基地が動いているぞという報道があって、「どうなっているんだ?」とみんな思っているなかで、ポンペオさんも行かざるをえなくなりました。
飯田)ミサイル基地の増強の報道などがあったなかで、トランプさん自身は「非核化はうまくいっているんだ」とTwitterで言っていましたけど、トランプさんを比較的支持していた新聞も北朝鮮の核の話題を載せていました。
高橋)ウォールストリートジャーナルなど比較的共和党寄りと考えられている新聞もですから、「本当に大丈夫か」とみんなが考え始めている証拠だと思います。
「米は北朝鮮の核を認める決断をした」とメディアが報道
飯田)そうするとポンペオさんは苦しい立場で訪朝することになるのでしょうか。
『完全で不可逆的で検証可能な非核化』の『不可逆的』と『検証可能』の部分が抜けたじゃないかと言われます。これからどういう道筋をたどることになるのでしょうか?
高橋)『完全』のところも抜けているのではないかとみんな思い始めています。というのは、普通サミットをやるとなると、まず道筋ができて大丈夫だなというところでやるわけですが、今度は最初にサミットをやってそれから道筋をつけようということで、外交的手順の順番が逆になってしまいました。一部の東南アジアの専門家は、アメリカは北朝鮮の核を認めて、それと生きていくという決断をした、そうじゃないと合理的じゃないだろうと言っていて、完全な非核化は難しいなとみんながますます思い始めました。
飯田)日本としても独自に対策をとらなければいけないとういことでしょうか?
高橋)長期的にはそういうことも考えざるを得ない。ポンペオさんが完全なる非核化をやるんだと言っていますし、ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官は「1年もあればできちゃうんだよ」ということを言っていて、それはできちゃうという問題ではなくて、向こうにやる気があるのかどうかという問題なのですが。ボルトンさんもいら立ちを隠せないのか、という発言でしたね。
北朝鮮の後ろ盾である中国の存在
飯田)中国が後ろ盾と言われていますが、米朝首脳会談が終わった後にもまた北京で中国と北朝鮮とのトップ会談が行われました。中国・北朝鮮の間では貿易もまた始まって、制裁もグズグズになっていくのでしょうか。
高橋)北朝鮮と中国の国境地帯の、中国側の土地の値段が非常に上がっているということもあって、これから儲かるぞとみんな思っている。なし崩し的に貿易が再開されるとみんな思っている、ということですよね。そもそもこのサミットがうまくいってすべての問題が解決されるとは誰も思ってなかったわけですが、これだけはっきりしてくると、どうなんだと言いたくなります。トランプ大統領は「それはフェイクニュースだ」と、自分を支持していた新聞までやり玉にあげて、上手くいってるんだと言い張らざるを得ない。だって選挙がありますから、俺がやったことは全然うまくいかなかったとは言えない。
ただトランプさんの言い分にも一理あって、ちゃんと交渉していなければ、今頃戦争になっていたかもしれない。去年の今頃は核実験だミサイル実験だってやってたじゃないかと。いま、それをやってないんだからいいじゃないかというのがトランプさんの言い分です。
飯田)ポンペオ国務長官の訪朝は明日で、7日から8日、日本にもやってきて安倍総理にも成果を報告するという流れになっています。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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