築地市場移転問題~残された築地跡地が抱える2つの問題点
公開: 更新:
ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(10月8日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。引っ越しが本格化した築地市場の、今後の問題点を解説した。
築地から豊洲へ~引っ越し作業が本格化
6日土曜日に、築地市場が83年の歴史に幕を閉じてから一夜明けた、昨日の日曜日。早朝から引っ越し作業が本格化し、小型運搬車「ターレ」が大移動を開始した。今週木曜日の豊洲市場開場に間に合わせるために、今日も休み返上で、ターレなどおよそ2,600台が移動し、2トントラック5,300台分の荷物が運ばれる。
飯田)都では6日の築地閉場から、10日までの5日間を本引っ越し期間と位置づけ、現在も一般車両が通れない、環状2号線を使い、大移動をしているようです。
須田)ターレばかり注目されていて、パフォーマンス色が強すぎると思いますが、まずはターレについての豆知識から解説します。
もともとターレは特殊車両ですが、築地市場や魚市場のために開発されたのではありません。JRが国鉄だった時代、鉄道貨物の運搬用に、国鉄で開発したのです。ずいぶん昔の話です。「赤帽」と呼ばれる人がいた時代ですね。
飯田)駅留めで荷物を届ける「チッキ」という業務があった時代ですね。
須田)人力で荷物を運ぶのはかなり重いから、ターレが開発されました。小回りが効いて、狭い駅構内でも動けたのが最大のポイントでした。
しかし、駅構内では鉄道貨物の衰退に伴い、ほとんど使われなくなりました。それで市場で使われるようになった背景があります。
飯田)現在の鉄道貨物はコンテナばかりだから、フォークリフトを使いますからね。
築地跡地の問題点その1~オリンピックまでに埋め立てが間に合わない恐れがある
須田)先だって、築地市場跡地の解体やその後の整備を請け負っている業者に話を聞いてきました。すると、「とてもじゃないけれど、このままでは東京オリンピックまでに全面的に改修して駐車場にするのは間に合わない」と言っていました。
飯田)あそこにバスを駐車しないと、バスがあふれてしまうと言われていますよね?
須田)壊して、その上をアスファルトで囲えば済む話ではないのです。安全性の確保などがありますからね。
築地跡地の問題点その2~地下は放射線物質で汚染されている可能性が高い
須田)実は、これまで築地が営業していたときには、マスコミに対して「風評被害につながるから止めて欲しい」と言われていたポイントが1つあります。どうやら築地の地下は、かなり汚染されている可能性が高いのですよ。
例の、第五福竜丸の「原爆マグロ」の問題です。当時は静岡県焼津市を母港としていました。本来であれば焼津に戻るべき漁船を、行政命令で全部東京港へ行くことになり、汚染されたマグロが陸揚げされたのが築地なのです。
そして、それは1隻ではなく、すべてのマグロ漁船を全部持ってくることになっていて、築地で廃棄されました。どういう形で廃棄されたかは定かでないですが、そこに持ってきたことは間違いないし、搬出された形跡もないのです。どこかに埋まっている可能性が高いのです。
飯田)そうなると、放射性物質は半減期が長いものもありますから、いまだに放射線を出している可能性がある?
須田)とにかくそれについて、築地が営業していた当時は早急に対応しなければならなかったのですが、この問題を指摘しようとすると、「実際にその上で魚の売買をやっていて風評被害につながるから、言うな!」と言われていたのです。
それが大きな問題になっているかは分からないけれど、それを調査・検証して、万一のときは掘り起こして、土壌汚染を取り除かなければいけない問題があるのです。ところが、その日程がスケジュールに盛り込まれていないのです。
飯田)大変な問題が、実はあったのですね。
番組情報
忙しい現代人の朝に最適な情報をお送りするニュース情報番組。多彩なコメンテーターと朝から熱いディスカッション!ニュースに対するあなたのご意見(リスナーズオピニオン)をお待ちしています。