谷垣禎一前幹事長~依然として存在する待望論
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月1日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自らの記憶に強く残る谷垣禎一という政治家について解説した。
谷垣禎一前幹事長が2年3か月ぶりに公の場へ
自転車事故によるけがで政界を引退した自民党の谷垣禎一前幹事長が総理官邸を訪れ、体調の回復を総理に報告した。公の場に姿を見せるのは事故以来2年3カ月ぶりとなる。
飯田)まずは総理と面会後の記者団の質問に答える谷垣さんです。
谷垣前幹事長)去年12月に退院して10カ月、家でリハビリなどを続けて、多少は外出できるかな、というところまで参りました。きょうはそういう意味で、お詫びかたがた(ついでの意)退院をしたとご挨拶に伺いました。
飯田)声も元気そうですね。
側近周辺に依然と存在する谷垣待望論
鈴木)公の場についてですが、実は4月にも官邸や自民党本部を回る予定があったのです。だけど、モリカケ問題があって、なかなか官邸に行けなかった。それでこの時期までズレました。もちろん谷垣グループはまだちゃんとあります。谷垣さんはリベラルで、自民党ではハト派でした。だから、「谷垣さんを中心にもう1度」ということで、彼の側近のなかには「来年の参議院選挙に車椅子で出馬してもいいじゃないか」と。「東京オリンピック・パラリンピックもひっくるめ、リベラルのご意見番として、政界にもう1度復帰して欲しい」という側近たちの熱い思いはいまもあるのです。私はそれをずっと聞かされました。
飯田)しかし、昨日の時点では谷垣さんは「老兵は死なず、消えゆくのみ」とおっしゃっていましたね。
鈴木)待望論が周辺の側近たちにはまだあるのです。
総理になれなかった自民党総裁
鈴木)飯田さんは先ほど「谷垣禎一前幹事長」と言いましたが、私のなかでは「谷垣禎一元総裁」なのです。つまり「総理になれなかった自民党総裁」です。河野洋平さんもそうですね。谷垣さんは民主党政権時代の総裁でした。私はけっこうディープに取材させて貰っていました。谷垣さんはなかなか政策通で、リベラルで、俗に言う「スゴくいい人」でした。谷垣さんは「なかなか勝負できない」と言っていましたが、野党時代に、本当に勝負しようとした時期があるのです。2012年に民主党政権がガタガタだったとき、自民・公明で不信任案を出した。すると、民主党内の小沢グループなど、当時の民主党反対派が全部賛成して来て、それが通るかもしれない勝負どころがあったのです。
一方で、消費税について自公民でしっかり3党合意でやっていく考えもあったし、一気に政局で勝負に出て行こうとする瀬戸際があったのです。
飯田)当時は野田総理で、3党合意をやっている核は谷垣さんだったのですね。
鈴木)私は総裁室で小一時間1対1で話しました。「本当に最後勝負するかで悩んでいる」という話を聞きました。でも、結局は決断できなかった。その辺が谷垣さんの「らしさ」です。
飯田)政策の方を取ったのですね。消費税についていろいろ賛否はあるけれど、なるほど。消費税には絶対反対の小沢さんと、政局で手を組むことに踏み切れなかった。
鈴木)そうです。そういう瞬間に私は側にいたから、「そういう政治家」と私にとっていつまでも記憶に残る人です。個人的には、参議院選挙に出て欲しいとは思いますね。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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