アメリカ中間選挙~民主党のスター候補・オロークはなぜ敗れたのか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月8日放送)に上智大学総合グローバル学部教授の前嶋和弘が出演。アメリカ中間選挙の結果について解説した。

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選挙集会で演説する米国のトランプ大統領=2018年10月22日、アメリカ・ヒューストン 写真提供:時事通信

アメリカ中間選挙~上院は共和党・下院は民主党

アメリカ中間選挙投開票が行われ、トランプ大統領と対立する野党・民主党が、下院で8年ぶりに多数派を奪還した。有権者は政権に厳しい審判を下したとも言えそうだ。なお、上院は共和党が多数派を維持した。

飯田)「党派対立が厳しくなる」とか、いろいろ言われていますが、前嶋さんはこの結果をどう思いますか?

前嶋)予想通りでしたし、波乱がなかったです。上院は共和党が固めて、下院は民主党が奪還することはみんな予想していました。トランプさんも少し前に「下院が負けても俺のせいじゃない」と言ったことがあるくらいですから、トランプさんも含めて予想していたわけです。

テキサスの新スター候補オローク氏、あっさり敗れる

前嶋)しかし、どのような勝ち方、負け方か見えなくて、いまだにピンと来ません。共和党が勝ちきった感じもしないし、負けきった感じもしない。民主党も、有力な「この人はスターだ!」みたいな人がけっこう負けていますからね。

飯田)テキサスで「スターが出るのでは」とけっこう言われていましたけれどね。

前嶋)そうではなかったですね。テキサスに関してはいろいろな条件もあります。そもそもテッド・クルーズさんという大物中の大物がいました。そこにオロークさんという新スターが登場したわけですが、やはり追いつかなかった。他にもいろいろなことがあります。好景気もありますが、例の移民キャラバンが近付いている向こう側に、ちょうどテキサスがありますよね。

飯田)テキサスは、メキシコとの国境が長くある州ですね。

前嶋)アリゾナやテキサス辺りは困ってしまう場所です。そこへトランプさんが入って、「テッド・クルーズはいい奴だ! 移民キャラバンを追い出すぞ!」となれば、やはり共和党が盛り上がりますよね。だから、オロークさんとしても、お金は潤沢にあったのですが、負けてしまいました。

中間選挙で大統領が応援演説を行うようになったのはブッシュ・ジュニア政権以降から

飯田)日本は事前に「今回は民主党がかなりお金を集めている」とか「潤沢な選挙戦をやっている」と報道していましたが、その割には勝ちきれなかったとも言えるのですか?

前嶋)私はそう思います。いろいろな物が共和党の倍近くあって潤沢でした。ただ、最後はトランプさんがいろいろなところへ行き、「俺の候補をお願い!」と動いたのが効いたのだと思います。

飯田)大統領機を使ってかなり飛び回っていたみたいですね。

前嶋)それがいいかどうか、という問題もありますけれどね。そもそも昔は、大統領は中間選挙の応援演説をしませんでした。分極化で「政党のトップが大統領」というイメージができてからです。具体的にはジョージ・W・ブッシュさんの頃からですね。ブッシュ時代にいろいろ全米遊説したら、「あなたのやるべきは行政。そんなことをせずに政策運営をしなさい」と批判が出たのです。現在はまったく出ないですけれどね。オバマさんのときも応援演説をしました。今回はオバマさんが戻って来て、トランプさんに反対演説をしましたよね。「前大統領が現行の大統領を批判する」というあまりやらないことをやっています。それだけ、アメリカは割れているのですよ。民主党元トップと共和党のトップが激しく罵り合うということです。

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