日産ゴーン被告、特別背任容疑を立件して有罪に持ち込むための3つの構成要件とは?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月24日放送)に須田慎一郎(ジャーナリスト)が出演。特別背任容疑で再逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の10日間の拘留を認める決定について解説した。

日産ゴーン被告、特別背任容疑を立件して有罪に持ち込むための3つの構成要件とは?

日産のカルロス・ゴーン前会長、再逮捕 拘置所前に集まった報道陣 提供産経新聞

 

特別背任容疑で再逮捕された日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告(64)に対して、昨日東京地裁は2019年、来年の1月1日まで、10日間の拘留を認める決定を下し、ゴーン前会長は小菅の東京拘置所でクリスマスや年末年始を過ごすことになった。

飯田)スポーツ新聞などが『ゴーン 除夜の鐘』と見出しをつけておりました。

須田)東京地検特捜部とって、拘留が認められないというのは計算違いだったと思うんです。本来であればもう少し時間的な余裕をもって特別背任容疑に持っていくはずだったのが、急遽ということで、東京地検は一か八かの大勝負にでたと睨んでいます。そもそも有価証券報告書虚偽記載で事件が終わってしまったのでは、形式犯だろうということで、東京地検は批判を免れなかった。だから本線としての特別背任、あるいは横領、そういった経営者としてあるまじき行為を立件するというのが問われていました。

この特別背任容疑を立件して有罪に持ち込むためには3つの構成要件が必要とされています。一つ目は身分。特別背任というのは会社を代表する人間ということで社長とか会長、CEOだとか代表権のある役員というのが対象になってくる。これは形式的に満たしている。
二つ目は犯罪額の確定、損失額の確定。そして三つ目は犯意といって、会社に損害を与えることが十分に予見された、会社に損害を与えることを目的としました、などの犯意・心象風景の立証が必要とされています。その辺は客観的な事実で立証できるものではないですから、本来の特別背任容疑の公判廷で一番の肝となってくるのが、3番目のポイント・犯意の認定というところになってきます。

ところが今回の場合は二つ目の犯罪額の確定がそもそも出来ているものなのか。それは日産がゴーン会長の損失を債務保証してくれた、その会社に対する資金提供の16億円を損失額としていること。それに対して様々な仕事をやってもらった対価なんだと主張していますが、このお金が果たしてどこから出ているものなのか、会社そのものから出ているのか。対価だという主張を特捜部が崩せるかどうかは厳しい状況です。そして3番目。犯意の確定というところに関しても、果たしてゴーン会長は損失を与えるつもりだったの?というところが問われてくる。これをクリアするのは結構難しいだろうなと思います。

飯田)今回は最初の逮捕で捜査の端緒の部分だから拘束をしてということになりますが、この先、拘留延長が1月1日ということになると、もう間もなく期限が来ます。その辺も含めてどこまで検察はカードを持っているのか、難しいところですよね。

須田)ただ、この特別背任容疑で出てきているような話はグレーゾーンですが、立件することに関してはそれほどハードルは高くないと思います。ですから拘留延長はスムーズに進むものと思っています。ただこれが果たして公判廷を維持して有罪にまで持ち込むことができるのかというと、結構厳しい局面があるのかなと思います。

飯田)それとは別のところで走っている日産とルノーの関係。帰属の問題というのは結局こっちの方が本丸になってくるんでしょうか。

須田)そうですね、日産の経営責任。共犯関係にあるのではないかという部分がありますから、その辺りがクリアになってこないと。

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