トランプ大統領に金正恩委員長から書簡~北朝鮮の非核化が進まない理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月4日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。昨年からの米朝関係を振り返って解説した。

トランプ大統領に金正恩委員長から書簡~北朝鮮の非核化が進まない理由

米朝首脳会談 プレスセンターに流れる米朝首脳会談の映像 提供産経新聞

 

トランプ大統領が金正恩委員長からの書簡を受け取る

アメリカのトランプ大統領は2日、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長から書簡が届いたと明らかにした。書簡の中身は公開しなかったが、「再会談を楽しみにしている」と述べ、2度目の米朝首脳会談に向け意欲を示している。
飯田)考えてみると、去年の今頃、金正恩委員長の年頭の辞から融和ムードが始まって、というところでした。

宮家)オリンピックにチームを出すと言い出して、1月9日には閣僚級の会談があって合意が出ているわけですよ。そんなものが8日間でできるわけはないので、その前の年の秋頃からやっていたに違いないです。そうでなかったらできるわけがないです。ということは、去年1年で起きたことは南北でつるんだ田舎芝居と私は言っているのですが、程度の悪い芝居に3月にはトランプさんが参加した。6月には本当に舞台に上がっちゃったという話です。だけど所詮は田舎芝居だから、新しいものは何もないわけです。南北だけは話が進んでいるかもしれないけれど、肝心の非核化はどうなっているのかというと「朝鮮半島の完全な非核化」とは言うけれど、「北朝鮮の非核化」なんてことは一言も言わないわけです。それで6月以降の半年間は膠着状態ですよね。今年1月1日に新年の辞を出したのだけれど、何も変わっていない。それどころか、そんなことをやっているんだったら警告するぞ、といった感じで「他の道を考える」なんて言っています。本来は北朝鮮の非核化をどこまでやるかを求められているのだからそれを見ていなくてはいけないのですが、どうもその気は全くなさそうですね。
トランプさんも馬鹿じゃないと私は思っているから、北朝鮮の動きが鈍いのはわかっているはずなのです。恐らくトランプさんとトランプさん以外の、随分と人はいなくなってしまったけれど、いま残っている人たちでも、北朝鮮が如何にいい加減かということはわかっているはずなのです。ですが、トランプさんはトランプさんで別のロジックによって動いているはずです。簡単に言うと、北朝鮮のことなんてどうでも良いのです。国内の彼の評価、支持率、経済の動向、もしくはロシアゲートでどのくらいの火の粉が掛かってくるか。これを彼はいちばん心配しているはずですから、それがおかしくなってくるといつもの目くらましで、去年の3月と同じように「会おうじゃないか」と急に言い出す。メディアが厳しいことを言うようになってきたらそれを逆手にとって、別のことを言って目を逸らそうとする。安っぽいですね。これをまた今年やるのかと。やるのは良いけれど、北朝鮮のちゃんとした非核化について1歩2歩と前進しなかったら意味のないことです。

飯田)北朝鮮からしたら、事務方とやっても難しいから、トランプさんを落とせば何とかなると思っている。

宮家)あの人がいちばん単純ですから、乗ってくる可能性があります。

飯田)でも言った一言は重くなる。

宮家)去年の6月にやってしまったのですから。困ったものですが、アメリカの大統領なので仕方ないです。

ストッパーがいなくなり、在韓米軍は撤退も噂される

飯田)マティスさんがついにいなくなりました。これで在韓米軍も引くみたいな話も出ています。

宮家)それはないと思いますけどね。ボルトンさんやポンぺオさんもそこまでは考えていないと思いますよ。…だと良いのだけれど。

飯田)それによっては東アジアが動きます。

宮家)それが動いたら大変な騒ぎになります。日本の安全保障の根幹が変わるということになりますから。

 

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