北方領土問題~22日の日露首脳会談で動くか

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(1月16日放送)にジャーナリストで東海大学教授の末延吉正が出演。プーチン大統領と安倍総理の間で進めて来た北方領土問題の進展について解説した。

嘉納治五郎杯国際柔道大会 日本対ロシア戦を観戦する安倍晋三首相とプーチン大統領 提供産経新聞

日露首脳会談に向け、次官級協議を開催

平和条約締結に向けた交渉を進める日本とロシアは昨日次官級協議を開き今月22日に行われる首脳会談に向けて、対立している論点についての意見を交わしました。14日の外相会談では北方領土問題に対する考えの隔たりがあることが改めて鮮明になっている。

飯田)外相会談は河野外相大臣とラブロフ外相でしたけれど、「もう日本の主権がなどと言うな」というようなことまでラブロフさんが言って、強硬派だというような報道もありました。

末延)通信社の原稿を含めて悲観的なものが多いけれども、メディアは去年からずっと間違ってきています。例えばいちばん大きいのは去年9月、東方経済フォーラム、ウラジオストク、プーチンさんがもう条件なしで平和条約をやろうと言ったでしょう。そうしたら安倍さんは何を言ったのだと石破さんは自民党総裁選のときにも、「こんな外交は酷い」と言っていた。しかし、あの後プーチンさんと安倍さんは2人で話しているわけです。56年の日ソ共同宣言、これは唯一ロシア側も2島で認めているところです。しかも、92年のあの時、秘密提案でロシア側からコズィレフ外相が2島返還論を持って来た、ところが日本は4島で蹴ったのですよ。

飯田)そうでした。

プーチン大統領と安倍総理の間で2島返還交渉は確実に進んでいる

末延)そして日本の経済力がドンドン落ちてきているなかで、もう2島で確定して、プラスアルファで国後・択捉で一緒に温泉開発をしたり、協力したりと言うことだし、歯舞のところのEEZ(排他的経済水域)がかなり広がっている。膨張する中国に対してロシアも日本と上手くやりたいし、日本もロシアカードを持ちたいわけです。
そういうなかで土俵に乗って一応動いてきているのです。だから9月にプーチンさんが言った、安倍さんは分かっていたから11月にシンガポールで2島を持ち出した。そして、ブエノスアイレスの首脳会談も含めて始まっているのです。プーチンさんが文句など言えるわけがないではないですか。言ってしまったら終わるのだから。安倍さんも言えないでしょう。
ラブロフさんというのはプーチンさんに忠実に演じる人なのです。国連大使として国連の場でアメリカとかを向こうにして、得意の名演技で拒否権の大演説を打ちながら、裏側ではきちんとパーマネント5の理事国の根回しをするという超ベテラン外交官なのです。条文も強いし。だから彼はそういう係なのですよ。

飯田)日本だと外相となると政治家というように見えますけれど、彼は職業外交官としてその使命を全うしている。

末延)しかも、僕は改めてロシアの憲法を呼んだのですけれど、エリツィンさんのときに、エリツィン憲法と言うのですが、大統領の権限も強くて、外交は大統領プーチンさんが決めるのです。

飯田)もう専権事項として。

22日の日露首脳会談で大きく動く可能性が

末延)ええ。そしてその執行機関として大統領府と外務省があって、かつては日本も4島派がほとんどだったし、ロシア側も強硬派は多いのです。しかし、プーチンと安倍の間でやる、土俵は作った、早ければ今年の前半だ、というこの流れは変わらないのですよ。去年の9月、11月、そしてここへ来ている。その都度一部報道を見ていると、僕はミスリードしていると思う。日本人は悲観論が好きだから「またダメだ、ダメだ」と。昨日の会見で大事なのは、きちんとラブロフさんはあの会見の中で、首脳同士が決めたことだからしっかり協議は継続しようということを言っているでしょう。そして河野さんの方は刺激したらいけないから、細かく言わない。4島のよの字も言わないでしょう。あれで良いのですよ。そして官房長官は留守番役で一応日本の公式なところを何度も言っておくという、これはもう一つのプロセスですから。だから来週の22日、ここのプーチンさんと安倍さんの様子、僕はひょっとしていろいろ動くのではないかと思っているから、ここを注目したらいいですよ。上手くいったり、前に進んだりするのは首脳の会談ですよ。こなして詰めていくというのは、外相であり、政府特別代表の森さんたちと次官がやるわけです。その辺をいちいち一喜一憂しない。戦争で負けて行ったものが、外交で還るかもしれないという歴史に残る大きな交渉の舞台がいま作られて動いている。どうもみんなせっかちで良くないと僕は思います。

ロシアは日本とのウィンウィンを望んでいる

飯田)長門で日露首脳会談をやるというときも期待値ばかりが膨らんで、4島どころかいっぱい還って来るみたいなところまであったけれども、そんなに外交は甘くない。

末延)駅伝で東海が46年目で初めて勝ったでしょう。あのときプーチンさんとも仲が良い山下副学長が、0と1は違うと、1度勝つと1から2はずっと行くと言った。今回1回勝ったから来年東海は三冠を狙いますが、同じなのですよ。2島で確定させて平和条約で関係ができていくと、両国関係とこのエリアの空気が、中国とか北朝鮮とか韓国が好き勝手やっている状況が変わっていくのですよ。そのことを安倍総理も見ているし、プーチンさんも狙っているわけです。そういうところはきちんと俯瞰して見ておかないと。僕は全然悲観していませんよ。

飯田)長年北方領土交渉を行ってきた方に伺ったことがあるのですけれども、いまは4島に日本人が1人もいない。1人の日本人もいないから何の存在感も無い。そこへ北朝鮮だ、中国だといろいろ入って来て、もうなんかとんでもないことになっている。ここで日本人が行けるようにすることも、1つ重要なのですよと言われました。

末延)ロシアは4000キロの中国との国境がある。僕はウラジオストクに何度も行っていますが、あのシベリア辺り、中国企業と北朝鮮の出稼ぎばかりなのですよ。すごくロシアには危機感があります。それだったら上品で技術もあって資金力もある日本ときちんとウィンウィンの関係、そしてお互いに上手くやりましょうと、僕はすごくいい話だと思います。なかなかイデオロギーの問題もあって大変でしたけれど、ここは大きく転換するところで、それはプーチン大統領も安倍総理もこれだけのリスクを背負って決断をして動いていますから。僕は動くと思いますよ。あまりラブロフさんの演技に一喜一憂しない。

飯田)それがラブロフさんの役割だと思って見ておけばいいと。

末延)ええ。もう超一流の外交官ですから。

 

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