北方領土返還後、米軍基地は置かれるのか?~プーチン大統領が懸念
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月21日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。プーチン大統領の懸念する返還後の北方領土への米軍基地の設置について解説した。
プーチン大統領が平和条約締結後のアメリカ軍の配備を懸念
ロシアのプーチン大統領は20日、日本との平和条約交渉について「アメリカ軍配備の決定に関して日本にどの程度の主権があるかわからない。平和条約締結後に何が行われるかわからない。決定的な判断は非常に難しい」と述べた。
飯田)歯舞、色丹を日本側に引き渡すにしても、そこにアメリカ軍が来るのか、来るのだったら認められないというようなことです。
宮家)ロシアですから猜疑心が強いのはわかるのですが、米軍が遠い島にポツンと行くわけはないのです。ロシアの極東部隊の問題があって何かやらなきゃいけないと思ったら、当然北海道に米軍基地を持ちますよね。それでいま米軍基地は北海道にありますか? ないでしょう。いちばん北にあるのは空軍だと三沢です。ということは、あまり関心がないのですよ。
北海道にプレゼンスを持つということは少なくとも考えていないし、日米安保条約を結んだからといって、日本がアメリカの言われるままに基地を提供することはないのです。基地の提供は常に両国の合意で決まるものですから、日本だってNOと言えるのは当然なので、そういう状況の下でロシアに対してどのような形で約束、もしくは将来の自分たちの手を縛ることを言うのかは国家として考えなければいけない問題です。未来永劫それがちゃんとなるという保証はないのですから、その意味ではこれからロシアとのせめぎ合いがあるのだと思います。だけど、いま北海道に無い米軍基地があの島にできるかと言えば個人的には想定しにくいし、かと言って将来のことまではわかりません。将来のことを考えたのならば、そこで絶対に無いということを言うべきではないです。そこを考えた微妙なバランスを、これからどう取るのかということだと思います。
飯田)この話ってけっこう前から言われていた話で、プーチンさんが言ったからちょっとニュースになっているということなのでしょうか。
宮家)もちろん還って来れば日米安保条約を適用するのですが、それを適用除外なんてことはありませんが、何を守るのかは日本が自主的に決めるものなのですよ。そしてアメリカと協議をして、もしアメリカが必要だと思うのだったら、そういう土地があるのか、それが必要なのかを考えた上で合意して決めることです。長い問題ではあるけれど、それはそのときどきの状況に応じて決めることであって、初めから決めておくことではないです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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