北方領土問題進展へ、詳細の話し合い?

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(11月23日放送)に外交評論家・キャノングローバル戦略研究所研究主幹の宮家邦彦が出演。河野外相とラブロフ外相の会談について解説した。

北方領土問題進展へ、詳細の話し合い?

衆院外務委員会 河野太郎外務相 提供産経新聞

 

河野外務大臣がロシアのラブロフ外相とローマで会談へ

河野太郎外務大臣は、今月23日から25日までイタリアのローマを訪問するが、その訪問中にロシアのラブロフ外相と個別に会談する方向で調整していることを昨日明らかにした。また、昨日の会見では「北方4島が日本の領土に当たるのか」という質問に対し、河野大臣は「交渉の前なので、政府の考えについて申し上げるのは一切差し控えたい」と述べ、明言を避けた。

飯田)明言を避けたということが、ニュースで取り上げられています。“てっちゃん”さん、59歳川崎市中原区の方からメールで頂きました。「強かな方だとラブロフ外相の印象があります。今回の会談ですが、何か領土や経済交渉活動の下交渉で進展があるのでしょうか? 表に出ないやり取りがあると思うのですが、厳しいところを詰めあうんですよね。有益な会談を期待したいです」ということでした。

宮家)大きな流れとしては、首脳のレベルで最近になってですけれども、1956年の日ソ共同宣言を基礎にということですよね。ですから、方向性が少し動いたのだと思います。この後普通はどうなるかというと、事務方に任せるという部分があるわけですから、下へ卸すわけです。こういう形で外相レベルの話し合いが始まるということでしょう。だけども、悪魔は細部に宿るという言葉があります。実際に詰めていくと、悪魔がボコボコ出てくるということですよね。その意味では、これから交渉のなかで悪魔の時間が始まるということですよ。最も重要な詳細の部分が詰められるかどうかは、やってみないと分かりません。ですから河野さんは慎重になっている。考え方は、日本固有の領土と決まっているわけですから。

飯田)でも、それを言うわけじゃないと。

宮家)それが揺らぐようならだめですよね。最終的に交渉をして悪魔が宿るところまでいったときに、ある程度方針を変更するのは一般論としてあり得るわけですから、彼はある程度大事を取って言わなかったのだと思います。だけど本質的な立場が代わるわけではないです。

スムーズに話し合いを進めるため、その場での明言は避けたか

飯田)ここで言っちゃったら、交渉のときに「おまえはこう言っただろう」と、いろいろ使われる恐れもあるということですか?

宮家)そうですね。でもそれはロシア側も良く知っているわけで、お互いに歩み寄っていかなければいけないので、そういうときのジェスチャーとしてあまり原則論を言ってもしょうがないということなのかもしれません。

飯田)一部で危惧している人たちのなかでは、日ソ共同宣言まで戻ったということは、その後に出された4島の帰属を解決して平和条約を結ぶという東京宣言や、一連のプロセスが元に戻ってしまうのではないかということを言う人もいますが。

宮家)この問題には2つあるのです、1つは日ソ、日露だけの北方領土の歴史が沢山あるわけです。その結果として、4島だというのが2国間ではそうなのです。もう1つのポイントは、56年のときは冷戦の真っ最中で、いまは中国が台頭してきてロシアは弱くなっているし、アメリカもおかしくなっている。冷戦の最中のようなわかりやすい状態じゃないのです。戦略的に考えたときにこの状況で日本はどうするのかという国際レベルの大きなピクチャーというのがあるわけで、大きく見たときに北方領土がどのような意味を持つのかということも考えなくてはいけません。それは2国間とは別に、戦略的な意味で、です。
2国間の交渉の歴史とどうバランスを取るか、日本の国益がどこにあるのかを考える時期にきたということです。

 

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