北方領土問題~安倍総理が“2島返還”で決断

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月6日放送)にジャーナリストの末延吉正が出演。河野外務大臣とラブロフ外相が会談に入ることを受け、その先にある北方領土問題について解説した。

河野外務大臣が今月中にロシアを訪問、ラブロフ外相と会談へ

河野外務大臣が今月中にロシアを訪問し、ラブロフ外相と会談する方向で調整に入ったと、今朝の日経新聞が伝えた。来年1月に予定している日露首脳会談に向け、平和条約の締結交渉を前に進める。

飯田)河野外務大臣とラブロフ外相はこの平和条約交渉の責任者ということですが、日露交渉がどうなって行くのか。

末延)安倍総理は大きな決断をして覚悟を決めて、走り出しましたね。2島返還で国境を確定して、平和条約を締結して一気に行く。ターゲットは来年の7月、参議院選挙前の6月後半に大阪でG20首脳会談があります。トランプさんもプーチンさんも、習近平さんもみんな来ます。ここで合意に持ち込みたい。もしくは、8月末に世界柔道が東京であります。この間のG20、ブエノスアイレスでどうも安倍さんが招待したらしいですよ。

飯田)「見に来るか?」みたいなことを言ったようですね。

末延)こうなると、山下泰裕先生を抱える我が東海大学も……ですので、動き始めました。ラブロフさんは、国連大使もやっていた法律の専門家なのですよ。これから主権の問題、帰属の問題。領土交渉はそういった詰めが大事なのです。こういうタスクフォースでやると。

飯田)その条文にどう書くか、という魂は細部にあるわけですね。

末延)そういうことを70年くらいずっとやっていて、一方で右派を中心に4島一括返還だという声もあります。だけど、70年続けて動かないものを、そこにこだわり続けてやらなかったら、あれは歴史の事実として確定してしまいますよ。だから安倍さんは決断したのです。

2島返還での国境確定か

飯田)国後・択捉と歯舞・色丹のところに一旦は線を引く形にならざるを得ないということですか?

末延)国境を確定しないと平和条約は結べない。それで、2島先行返還じゃなくて、2島返還国境確定ですよ。プラスアルファは、国後・択捉を日本も自由に往来できて、共同で経済活動ができるという環境です。ロシアがいま中国や韓国の企業を呼び込んで、日本を牽制しています。

飯田)北朝鮮の労働者が入っているという話もあります。

末延)ウラジオストクからあの辺を見ていても、日本は出だしが遅いのですよ。

飯田)プレゼンスに存在感が無いと言いますね。

末延)北朝鮮の出稼ぎに中国のビジネス、それは激しいです。日本人の旧ソビエト嫌いを止めて、ロシア人は浪花節的で、付き合うと面白いですよ。ちょっと飲み過ぎですけれどね。

飯田)それが平均寿命を短くしているなんて話もあります。

末延)遠隔医療でチェックするので、東海大学の医学部が、ウラジオストクを拠点として平均寿命を延ばすということをやっています。

飯田)医療支援もかなり大きなテーマですよね。

北方領土問題~安倍総理が“2島返還”で決断

ロシアのプーチン大統領(右)との会談で握手する安倍晋三首相(シンガポール)=2018年11月14日 写真提供:時事通信

憲法改正を見据えた参議院選挙

末延)北方領土は温泉もあるし、自由に行けるようになれば大変良いし、お魚が獲れる最高の場所です。蟹もいるし、昆布もあります。だから、これは4島で理想論を言い続けて固定化させないで、実際に動かす決断を安倍さんはした。来年に向けて、いよいよ決着する。夏に選挙があって、秋以降は憲法ですよ。

飯田)きょう憲法審査会は開かれないということですけれども、もっと先々の話だと。

末延)もともと、安倍さんの頭のなかで憲法は参議院選挙のあとだったと思います。そこで3分の2を維持できていれば、あと3年あるわけですから。腰を据えてやる環境作りで今回自民党が提案したのだけれど、なんせ野党が横を向いたままですよね。これはどうなのでしょうか。やはり国民に聞いて貰いたいですから、入り口でNOは止めて貰いたいですよね。

飯田)国民投票でどうなるかというところですか?

末延)自分の国の最高法規なのだから。憲法をそのままいじらなくても良いかどうかも含めて、YESかNOかを聞けば良いじゃないですか。入り口で「そういうことをやると危ない」とか、そういった議論はダメですよね。話せば良いし、土俵を作れば良いじゃないですか。

飯田)最後の最後まで残った戦後レジームみたいなものなのかもしれないですね。

末延)日本人はずるいのですよ。自分が決定に関わるのは嫌がるのです。後からグチグチ言うのですよ。自分を含めて、日本人のそういったところは嫌いです。裁判員裁判がそうですよ。いま、東名の煽り運転事故の裁判、僕がアメリカにいたときには陪審員裁判をずいぶん取材しました。間違うこともありますが、国民主権なのだから自分たちが主体的に関わる。この意識変革をしないと、日本はどんどん遅れていきますよ。

飯田)全部他人事、ではなく全部我が事で考えなければいけないですね。

末延)沖縄の問題もそうだし、100点は出なくても、決定は自分でするという覚悟が必要です。総理大臣は覚悟を決めたのだから、日本人全体が覚悟を決めて、1つずつ取り組みながら未来を作るという意識ですね。

アメリカがロシア極東沖で「航行の自由作戦」を実施

飯田)北方領土に関してもう1つ、アメリカ軍との関連で、ロシアの極東沖で「航行の自由作戦」をアメリカの太平洋軍がやったと、共同通信がさっき打って来たのですけれども。

末延)これはビッグニュースです。極東連邦大学と協定しているので、よく国際経済フォーラムを含めてウラジオストクへ出張しますが。

飯田)そのウラジオストクのピョートル大帝湾というところでやったらしいです。

末延)あそこは秘密都市で、昔は誰も入れなかったのです。つまり旧ソ連の太平洋艦隊の基地なのです。いまは潜水艦も駆逐艦も写真を撮れるのですよ。そしてお昼になると空砲を鳴らす。雰囲気はあるのですが、あそこから北方領土のところを通って、アメリカの太平洋艦隊と向き合うので、潜水艦を中心に軍事的には物凄く緊張しているところなのですよ。

飯田)そこの鼻先に、アメリカが駆逐艦を出して来た。

末延)北方領土が還らないのは、アメリカの安全保障上好ましくなかった。そこを安倍さんは決断したのですよ。北方領土の問題が進むためには、プーチンさんもそこにこだわっているでしょう。

飯田)安保の適用内かどうかですね。

末延)2島で確定して、残りの国後・択捉は自由に共同で開発して、両方を非軍事化する。これで進むんじゃないですか?

飯田)いま米軍も、本州の三沢や車力まではありますけれども、北海道のなかには無いですね。

末延)このニュースは凄く痺れるニュースで、軍事的には最果てしている。北方領土交渉と関連して見るべきですよね。

飯田)逆に言うと、こういう動きがあるということは、交渉が本腰を入れているというところがあるわけですか?

末延)その通りです。面白くなって来ましたよ。

飯田)握手するときというのは、その向こうで拳を磨いているところがあるわけですね。

末延)来年6月に向けて、新天皇が即位されるなどいろいろなことがあります。6月に向けて日本は歴史的な決断をしながら動いていく、重要なところにいるということを認識しておいた方が良いです。

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