北方領土問題とセットで求められる経済協力とは何か
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(12月3日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。北方領土問題の進展について解説した。
北方領土問題~新たな枠組みで合意
安倍総理大臣は昨日、ブエノスアイレスでロシアのプーチン大統領と会談。日露平和条約締結交渉の加速化に向け、河野太郎・セルゲイ・ラブロフ両外相を、交渉責任者とする高官協議新設を決めた。外相会談を来年1月の安倍総理のロシア訪問前に行う方向で調整に入っている。
飯田)安倍総理とプーチン大統領は前回、シンガポールで会談を行い「日ソ共同宣言を基礎に交渉を加速化する」という方向で一致しています。これを具体化させるのでしょうか?
須田)日ソ共同宣言のいちばん重要なポイントは、北方4島のうち、色丹と歯舞群島の引き渡しを明記していることです。よく「2島プラスα」と言われます。そこにプラスして何が積み上がって来るか、近年ずっと官邸を取材しています。聞こえて来るキーワードは「沖縄方式」です。つまり第2次世界大戦後の「主権は日本だけれど、施政権はアメリカ」という沖縄と同じような思考形態で望んで来ると思います。
シベリア開発と北方領土問題はワンセット
須田)もう1つ大きなポイントは、よく「経済協力」と言いますが、北方領土4島でどのような経済協力が行われるか語られて、マスコミはそのような指摘をするのですが、それはあまり意味がないのです。今回の経済協力は、実はシベリア開発とワンセットなのです。今月は開かれませんが、毎月のようにプーチン・安倍会談が開かれています。そのときに日本からは日本経団連を中心とした経済団体、経営者が同行しますよね。まったく日本のメディアは書かないですが、サハ共和国の首相が来るケースが多いのです。
飯田)ロシア側の随行員としてですか?
須田)サハ共和国の首都はシベリア東部にあるヤクーツクです。シベリア開発と経済協力で、北方領土問題はワンセットになっているのが、そこからも伺えるのです。だから、北方領土4島だけでなく「シベリア開発に向けて日本がどう関わって行くか」についても、今後注目だと思います。
飯田)かつて日本とのシベリア開発のときは、サハリン2のような天然ガスのガス田開発とかがありましたね。それのみならず、資源だけでない分野もやる、ということですか?
須田)特に、人口減少で困っているのもありますからね。雇用を確保するような、そういう経済協力も1つの手段になって来ると思います。
大きく影響するアメリカの意向
飯田)北方領土問題に関しては「日米安保がどう絡むか?」という話をする人もいます。そういえば、北海道にはまだアメリカ軍がいないのですね。
須田)その辺は首脳同士の人間関係、信頼関係が大きな影響を与えます。その意味で安倍・プーチンと安倍・トランプのバッチリした人間関係がある現在のタイミングを逃すと、この問題は決着が付けられないと思います。やはりアメリカの意向も大きく影響しますからね。
飯田)今回、外相同士が交渉責任者。河野太郎さんは祖父の河野一郎さんが日ソ共同宣言に絡んでいましたね。歴史のめぐり合わせを感じます。どうなって行くのでしょうか。来年1月は総理もロシアを訪問します。その前に外相同士の会合も行う方向で調整しているようです。
飯田浩司のOK! Cozy up!
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